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【暮らし】

「おしゃれ更年期」着こなし変えよう スタイリスト・大草直子さんに聞く 

近著「大草直子のNEWBASICSTYLE」

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 「何を着ても前のように似合わない」「何を着たらいいのか分からない」。四十代に差しかかる頃、こう感じ始める女性が多いという。スタイリストの大草直子さん(47)は「おしゃれ更年期」と名付け、新しい着こなしを見つけるチャンスと提案する。四十代以降の装い方のヒントを聞いた。 (今川綾音)

 女性は三十代半ばを過ぎると、体の輪郭が丸みを帯びる、顔色がくすむ、髪のつやが失われる、などの変化が表れ始める。こうした変化に伴い、似合う服の形や色も徐々に変わっていく。大草さんは「徐々に積もるほこりと一緒で気付きにくい。ある朝突然、鏡に映った自分の見た目の変化にがくぜんとするんです」と指摘する。

 着る物を決めるのに時間がかかる。何を着てもあか抜けないと感じる。おしゃれの不調が続くと、落ち込んだり自信をなくしたりする人もいる。

 「体と同じで、おしゃれにも更年期がある。でも、トンネルみたいなもので必ず抜けるし、新しいおしゃれに出合うチャンスでもある」と大草さん。「中身が変わった時は、ラッピングも変える必要がある」と話す。

 まずは形。丸みを帯びた輪郭には、角張った形を合わせると美しく見える。襟のあるシャツやジャケット、台形スカートは代表例だ。逆に、体の丸みを拾いすぎるぴったりとしたシルエットや、ゆったりすぎる形は似合わなくなっていく。

 膝回りも丸くなるため、スカート丈は膝の見える丈より、ふくらはぎや足首まで丈がある方が丸みが隠れ、すっきりと着られる。

 色も同じだ。くすみやしみが現れ、「墨っぽく」なった肌には、黒がなじむ。「ベージュや淡いグレーが似合わなくなったと感じるかもしれないが、代わりに、黒というプレゼントが降ってきた、と思えばいい」

 同じ黒でも、りんとした麻、つやのあるシルク、毛足の長いモヘアなど素材の違いでニュアンスは変わる。「似合う形や色の幅は狭まるけれど、その分、素材の変化で奥行きを広げて」

 人生百年と言われる時代。四十代で今までの服が似合わないからと、おしゃれを諦めてしまうのはもったいない。

 大草さんは「おしゃれ更年期は、これまでの自分とは違ったファッションを楽しめるチャンス。その面白さに気付けたら、年を重ねるのが怖くなくなる」と指摘。「おしゃれ更年期は何度もくるかもしれない。そのたびに工夫して新しい着こなしを探っていくことを楽しんでほしい」と話している。

◆自分らしく楽しく装う

 おしゃれ更年期の女性たちに多いのが、「デニムやパステルカラーが似合わなくなった」という悩み。具体的な解決法を教わった。

◇デニム テーパード/くるぶし丈

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 おしりの形の変化の影響が大きい。ヒップラインが下がってくるのをカバーする形を選んで、シャープに見せたい。全体に太めのボーイフレンドデニムはやぼったく見え、ぴったりしたスキニーはおしりが大きく見えたり、ウエストの肉がのってしまったりする。太ももはゆったりして、足首に向かって細くなるテーパードの形を選び、くるぶしの骨が見える丈にするとすっきり見える=写真<1>。

◇茶色 端に白を取り入れる

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 肌がくすんでくると、以前は似合っていた焦げ茶色が苦手になることも。赤みを帯びた茶色なら血色よく見える。その上で、首元や手首、靴など、端っこに白を取り入れて輪郭を明るくすると、反射効果でくすみを払ってくれる=写真<2>。白を配する技は、黒や紺、濃いカーキの装いにも応用できる。

◇黒のリブタートルネック

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 肩先が丸くなり、首やあごにも鋭さがなくなってくると、フィットするリブは体の線を拾いすぎて丸さをより強調してしまう。平編みで、肌が透けるような薄手のものを選ぶと、顔色と黒がなじみやすくなる=写真<3>。

◇パステルカラー 下半身に

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 くすんできた顔色とは相性が悪いので、パンツやスカートなど、下半身に取り入れるのが正解=写真<4>。顔の近くに持ってくる場合は、グレーがかった色味を選ぶとなじみやすくなる。

<おおくさ・なおこ> 1972年、東京都生まれ。婦人画報社(現・ハースト婦人画報社)でファッション誌「ヴァンテーヌ」の編集に携わった後、独立。2015年から、40代以上の女性向けウェブマガジン「ミモレ」の編集長を経て、現在はミモレのコンセプトディレクター。ウェブサイト「アマーク」主宰。近著に「大草直子のNEW BASIC STYLE」(三笠書房)。

 

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