久々の“本業復帰”だ。山本太郎(37)が反原発活動以来、初の主演映画「EDEN」(17日公開)でゲイ役に挑戦。個性派として期待された「俳優・山本太郎」はいったい、どこへ向かっていくのか? 本紙の単独直撃に山本は「金銭的にはそろそろ限界」と告白する一方、「反原発運動は今後も続けていく」と激白した。
――反原発の行動を起こして以来、久々の“本業復帰”だが
山本:ボク自身も驚きましたよ。プロデューサーの李鳳宇(リ・ボンウ)さん(52)から「映画に主演してほしい」と依頼されたとき、思わず「えっ!? この時期にボクの主演映画ですか…。李さんは勇気ありますね」と答えてしまったほどですから。李さんのプロデュースの映画には何度も出演していましたし、さすがに“男気”がある、と感動したな。
――それがゲイ役
山本:ゲイという設定で依頼されたのも初めての経験ですよ。でも、台本を読んだらホロリとしたり、笑えたり、感動したりできた。しかも、何度繰り返し読んでも、必ず同じところで同じ反応が起こる。20年近く俳優をやらせてもらってますけど、こんなに丁寧に登場人物の人間像や関係性が描かれているのは初めてでしたね。
――故原田芳雄さん(享年71)の最後の企画でもある
山本:それは撮影が始まってから聞きました。もしも最初から「原田さんの最後の企画を実現したい」と説明されていたら、余計なところに力が入っていたと思うし、自然体で撮影には臨めなかったんじゃないかな。撮影が始まってから聞いたことで、主人公のミロになり切れたと思います。現場では過剰にゲイを意識しないように注意したくらいで、あとは楽しく演じられましたよ。
――久しぶりの本業の手応えは
山本:やっぱり、心の底から「楽しい!」って実感しました。高校生のころからタレント活動をしてきて、特に映画が一番好きだったから、「オレはこれがやりたかったんだよ!!」と再認識できた。ただ、今のボクを取り巻く環境は十二分に理解しているし、あらゆるメディアは半永久的にボクを使おうとはしないでしょう。それは覚悟していますよ。
――生活はできている
山本:正直、貯金を切り崩して生活していく今の状況が、限界に達しているのも確か。このままならどうなるんだろう?という漠然とした不安もあるけど、それ以前に反原発は「将来、生き延びるための権利を獲得する」運動なんです。あの事故の以前には「ギャラがいいから、こっちの仕事を受けよう」なんてこともあったけど、もう元には戻れない。
――今後どうする
山本:ボク自身はずっと運動を続けていくつもりだけど、世間的に「反原発運動をしている芸能人・山本太郎」が飽きられている事実もある。メディアが反原発運動を取り上げるときには、分かりやすい象徴がいた方がいいじゃないですか。山本太郎の跡を継いでくれる芸能人の方、誰かいないですか?
☆やまもと・たろう=1974年11月24日生まれ、兵庫県出身。高校在学中に芸能界入り。92年「しあわせの決断」(フジテレビ系)で俳優デビュー。以降は俳優業を中心に活動する。2002年「夜を賭けて」で映画初主演。昨年3月11日の東日本大震災に伴う福島第1原子力発電所事故をきっかけに反原発運動に参加した。同年5月には所属事務所との契約を解除し、フリーとなった。