モンスター・フレンズ   作:タクミ( ☆∀☆)

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あれ、俺疲れてるのかな・・・・orz


さばんなちほー

「ーーーうぅん、こ、ここは?」

 

目を明けると日の光りが眩しく手で遮る。肌に草の感触がチクチクしてくすぐったい。どうやら僕は倒れているらしい。

 

「ここはどこだろう。草原?」

 

見渡すと一面草原が広がっていた。所々にポツポツと木が生えているようだが、それ以外は何も見当たらない。

 

「どうしてこんなところにいるんだろう。っつ、僕は()だ?」

 

何も思い出せなかった。思い出そうとすると頭痛がする。草原に一人、途方に暮れていると、突然な目の前に真っ黒な渦が現れた。

そして、そこから漆黒のローブを纏ったアンデッドが現れた。

 

「う、うわーーーーーーー」

 

「追い駆けっこだな。フッフッフッ、負けないぞ」

 

ぐるぐるとアンデッドが現れた渦を中心に走り回る。しかし、追いかけているのは肉の無い骸骨のアンデッドだ。もし捕まったらと想像すると恐ろしい。

しかしまだ幼い少女には体力が無かった。次第に足が重くなり、ついにつまずいて転んでしまった。すぐ後ろを追いかけていたアンデッドも巻き込まれ一緒に倒れる。奇しくもアンデッドが少女を押し倒す形になった。

 

「こ、殺さないでくださぁぁい!」

 

「殺さないよ!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

「すまんな、私は逃げ惑う者を見るとつい追いかけ回したくなってしまって。君はあんまり追いかけ回されるのが好きではないのだね?」

 

「あなたはここの人(?)なんでしょうか?ここ、どこなんでしょうか?」

 

「ここはジャパリパークだ。私の名はアインズ。アインズ・ウール・ゴウン。ここは私の縄張りだ!」

 

「じゃあ、その体は?」

 

「貴様こそ肉体があるフレンズなのだな?どこから来たのだ?」

 

「覚えてないんです。・・・・気付いたらここにいて」

 

「サンドスターで生れたてものか。昨日あの山から生まれたのだ」

 

「そして何のフレンズか知るには・・・」

 

そう言ってアインズは少女の体を確認する。

 

「角と羽根があれば悪魔の子!・・・ない」

「牙と紅い目ならヴァンパイアの子!・・・でもない」

 

思い付く限り特徴を考えるが特に何もない。しかし、一つだけ気になる物があった。

 

「ん、なんだこれは?」

 

「鞄・・・・かな」

 

「鞄・・・、分からんな。図書館に行けば分かるかもしれん」

 

「そこに行けば何のモンスターか分かりますか?あの図書館ってどちらにあるのですか?」

 

「途中まで案内してやろう。こちらだ」

 

「それまで何て呼べばよいか。かばん・・・、いやモモン・ザ・ダークウォーリアーの方がいいか?」

 

「いえ、かばんでお願いします」

 

「そうか、ダークウォーリアーも良いと思ったんだが。ではかばん行くとしよう」

 

こうして二人はジャングル地方にある図書館に向かった。

 

ーーーーーーーーーー

 

サバンナを一時間以上歩き回り、暫くすると風景が変わり岩山が見えてきた。一時間以上歩き回ったかばんはヘトヘトになっている。

 

「ゆっくりな動き、もしや君はゾンビのフレンズか?」

 

聞いてみたが反応はない。そもそも聞いたところで答えを持ち合わせていないのでどうしようもないのだが。

 

しばらく歩くと法衣を纏った信仰心の高そうな男が立っていた。

 

「フレンズさん・・・ですか?」

 

「いかん、それはセルリアンだ。逃げよ!」

 

「《心臓掌握(グラスプ・ハート)》!!」

 

男は口から血をたらし崩れ落ちた。

 

「こいつはセルリアンと言うのだ。少し危険だから近づいてはダメだぞ。まあ、これくらいの奴なら私の自慢の魔法で倒してしまうがな」

 

「すごいですね、アインズさん。僕にはそんな力ないです。僕は相当ダメなモンスターなんですね」

 

「気にすることはない。私はよく魔王とかって言われているだけだ。比べる基準が悪い。かばんもすぐに自分の得意分野が見つかるだろう」

 

こうして再び図書館に向けて歩みだすのだった。

 

 

ーーーーーーーー

 

なざりっくちかだいふんぼ

しゅごしゃとうかつ

あるべどおねいさん

 

 

「クフーーー、アインズ様!!!」

 

「少しでいいです。天井のエイトエッジアサシンの数を数えてる間に全て終わります」

 

「どうかお情けを、お情けを~~~~」

 

 

ーーーーーーーーーー

 

「はぁ、はぁ、も、もう動けないです」

 

「そうか、仕方がない。《飛行(フライ)》。これで池まで行こう。そこで少し休憩をとるか」

 

かばんはもっと早く使って欲しかったと考えたが、黙ってアインズにおんぶされた。

 

池に着いた二人はしばらく休憩をとることにした。

 

「飲食が必要とはアンデッドではないのか?」

 

「う、うわぁあーーーー」

 

アインズはかばんの方を見ると驚いて尻もちをついていた。

 

「コンナ所マデ来ルトハ珍シイデスネ」

 

湖の中から3メートルはありそうな巨大な虫型のフレンズが現れた。

 

「ああ、久しぶりだなコキュートス。これからゲートまで行くのだ。それにしても今日はフレンズが少ないな」

 

「今日ハセルリアンガ多イタメ、余リ出掛ケルモノガ少イノカト。ゲートニモ強力ナセルリアンガ居ルヨウデス。所デソノ者ハ?」

 

「かばんだ。名前は私がつけたのだ。どんなモンスターか分からんのでな。これから図書館に向かうところだ」

 

「貴様、魔法ハ使エルノカ?」

 

「いえ・・・」

 

「武器ハ使エルノカ?」

 

「いえ・・・」

 

「デハ、スキルガ使エルノカ?」

 

「い、いえ・・・」

 

「貴様、ナニモデキヌノダナ」

 

「マア、アインズノヨウニ魔法ガ使エテ、セルリアンヲ皆殺シニデキテモ、可哀想ナ永遠ノ魔法使イモ居ルノダ、気ニスル必要ハ無イ」

 

「ど、童貞ちゃうわーーー」

 

アインズが緑の光に包まれる。

 

「済まぬ、取り乱した。」

 

「タダシ、ジャパリパークノ掟ハ自ラノ力デ生キルコト。アインズ任セデハイカヌゾ」

 

「ではそろそろ私たちは行くとしよう。」

 

「セルリアンニアッタラ、基本皆殺シニスルノダゾ」

 

アインズ達はコキュートスに手を振りその場を後にした。しかしすぐにコキュートスが呼び掛ける。

 

「特ニアインズ、神聖魔法ニハ弱イノダカラ無理ハダメダゾ」

 

「分かった、分かった」

 

昔から心配性だなと思いつつも手を振り進む。

しかし、コキュートスの姿が小さくなってもまだ心配して声をかけてきた。

 

「打撃攻撃ニハ注意スルノダゾ」

 

「大丈夫だといっているだろう」

 

昔から心配性の爺やのような存在だが悪いフレンズではないのを知っているので仕方がないと諦めた。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

「そろそろゲートが見えてくる頃だな」

 

前を歩くアインズが案内板に目をやる。すると突然、アインズに青白い電撃が走り煙がプスプスと上がっている。

 

「ん、なんだ?少しチクッとしたぞ?」

 

「だ、大丈夫ですか?」

 

特に効いているようすはないみたいだ。ふとかばんは案内板の横に札が貼ってあるのに気づいた。気になって手に取ってみる。

 

「どうしたかばん?なんだそれは?」

 

「お札みたいですね。どうやら罠を仕掛けていたみたいです」

 

「ほう、札だと?かばんは面白いことを知っているな。私もその札が欲しいな。どこにある」

 

「あ、その案内板に貼ってあります。」

 

「ほうほう」

 

そういうとアインズは札を剥がそうとした。強力な電撃がアインズを襲う。しかし、アインズは全然気にしていないみたいだ。

 

「なんだ、これは直ぐに燃えてしまうぞ?」

 

札はその役目を終えたのか、またはアインズの力に負けたのか分からないが触れた途端に炭となって消えていった。

 

すると遠くから怒号が聞こえた。

 

「貴様ーーー!アンデッドの分際で我が結界を破壊するとは何者だ?それにそこのお前!人間のくせにアンデッドの味方をするとは恥を知れぇ!ええぃ、ここは我が秘宝、魔封じの水晶を使うときがきたようだな。威光の主天使(ドミニオン・オーソリティ)よ。アンデッド共々焼き払え!」

 

「あワワワワ!」

 

かばんは羽根が生えた巨大な天使の前に腰を抜かすことしかできない。しかし、アインズはそんなかばんの前に立って、魔法を放った。

 

「《ブラックホール》」

 

アインズと天使の前に小さな黒い球体が発生する。ただそれだけだった。しかし、効果は劇的だった。天使は抵抗も許されずその球体に飲み込まれた。

 

「ひっ、私の威光の主天使(ドミニオン・オーソリティ)が・・・」

 

絶望を悟ったのか既に何もない虚空を眺めている。しかし気が狂ったのか踵を返して逃げたした。

 

「セルリアンは弱いくせにこうやってすぐに挑発してくるのだ。そのくせ負けると逃げ出すし追いかけるのも面倒だ。数だけは大量に発生し、フレンズも困っているのだ。」

 

「そうなんですか、大変なんですね。じゃあ、そのセルリアンが一杯いる場所に行って、纏めて倒しちゃえば暫くは大人しくなるんじゃないですか」

 

「面白いことを言うな、かばん。そんな方法があったとは。かばんは頭がいいな。よし、今度やってみよう」

 

 

 

こうしてかばんの正体を知る冒険が幕を開けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 


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