――『千銃士』コーナーを作ってからの反響は、いかがですか?
喜多田 コーナーを作った直後、Twitterで告知をしたのですが、やはりかなり反響がありまして、ツイートした当日から、1日最低2〜3組は来られていたのではないかと思います。実際に来られた方のツイートを見て来られた方もいて、かなり反響が大きく、我々もびっくりしました。
――来店された『千銃士』ファンの声や様子を教えてください。
喜多田 まずは、実物の銃を目にされるのは、初めての方もいらっしゃり、そこに驚かれるのと、銃には名札も付いていますので、スナイダーやエンフィールドとゲームに登場するキャラクター名が書いてあると、あのキャラクターなんだと興奮されている方は結構いらっしゃいましたね。
――ファンの熱量をどのようなところで実感されていますか?
喜多田 弊社の通常のTwitterのツイートの反響に比べて、『千銃士』関係のツイートをした時のリツイート数やいいねの数が格段に多いので、そうしたところで、弊社としても反響を実感していました。また、かなり熱心に『千銃士』コーナーを見ている方がいらっしゃるので、そうした部分でも『千銃士』をキッカケに古銃にかなり興味を持っていただいていると実感しているところです。
――御社のTwitterを拝見すると、来店された方のツイートやファンイラストのツイートなど、『千銃士』関係をこまめにリツイートされている印象です。
喜多田 弊社としても、来ていただいた方の感想は気になるところではありますので、なるべくこまめにチェックさせていただいております。『千銃士』ファンの方は、古銃を愛称で呼ばれていますよね。我々は弊社の商品は銃として見ていましたが、みなさんはキャラクターとして銃を見ていて。そうした部分では、こうした銃たちが愛されているんだなと、ツイートから感じております。
■60万円の古銃が入荷してすぐに売れてしまう
――では、『千銃士』コーナーで人気の古銃はどれになりますでしょうか?
喜多田 スナイダー、エンフィールド、ドライゼ、あとシャスポーが人気ですね。こちらは戊辰戦争や幕末に使われた銃でして、もともとは歴史ファンや古銃ファンの人気が高い銃なんです。こうした中、若い女性が興味を持っていただくという状況は、今までにない傾向ですので、驚いております。女性の方がこういった銃の名前の知っていること自体、世界ではまず見られない傾向ですので、そこは『千銃士』の影響がかなり大きいと感じています。
――世界でも、古銃のファンは男性が多いのですね。
喜多田 そうですね。150年近く前の銃の名前は男性の間でも一般的ではなく、本当に銃が好きな方、歴史が好きな方が知っているレベルです。特にタバティエールなんて、銃が好きな方でも相当マニアックで、『千銃士』によって知名度が上がった銃だと思います。
――古銃の価格は、いくらくらいするものなのでしょうか?
喜多田 平均50〜60万円くらいです。シャスポーは約60万円で、一番価格が高かったと思います。女性が高価な古銃を買うというのは、これまでになかった事態ですし、『千銃士』の影響を感じております。弊社としてはありがたい反響ですね。
――古銃の価格は、どういう基準で付くのですか?
喜多田 古銃ですので、コンディションのほかは、オリジナル度ですよね。後の時代に手が加えられていると価値は落ちて、より作られた状態に近ければ近いほど、価値が上がります。またモデルによっては、現存数が少なかったりしますので、そうした点で価格は上がったりしますね。古銃はどれも作られてから百十数年経っていて希少なものですが、中でもタバティエールはかなり希少な部類に入ります。あとはホール。アメリカ本土でも珍しいです。
■『千銃士』は古式銃業界全体に大きな影響を及ぼした
――今後、『千銃士』コーナーに加えたい古銃はありますか?
喜多田 シャルルヴィルは入っていなかったので、入れたいですね。これまでにも入荷があまりない銃でして。いかんせん、古い銃ですので……。過去に復刻品は入ったことはありますが、なかなか入らない銃のひとつですね。
――6月にTwitterでシャルルヴィルを仕入れたとツイートされていましたね。イタリア製ということでしたが。
喜多田 それは本物ですね。ナポリ製のイタリアで作られたシャルルヴィルですが、復刻品ではないです。入荷時期は未確定ですが、入るときはお知らせします。
――イタリア製のシャルルヴィルは、珍しいのですか?
喜多田 もともとフランス製の銃なので珍しいですし、ローマ教皇領の義勇兵が使っていたという特別な血筋なので、ヨーロッパでもなかなか見つけられないくらいレアですね。通常のシャルルヴィルですと、結構な数がフランス軍に配備されたと言いますが、ローマ教皇領の方はフランス軍よりは規模が小さいはずなので、かなり貴重ではないかと思います。
――先日、シャスポーも売れたそうですね。5月に仕入れをツイートしていたシャスポーですか?
喜多田 あれとは別個体ですね。仕入れてから日本に入ってくるまでは、最低1年くらいかかってしまうので。
――では、これからシャスポーもタバティエールも入荷するんですね!
喜多田 また入って来ると思いますね。古い銃ですので、1点1点個性がありますからね。
――1点1点の個性といいますと、古銃の魅力はどのようなところにあるのでしょうか?
喜多田 まずは、作られてから最低150年近く経っている銃ですので、今の銃と違い、手作業に頼って作っているので、細かいところで職人技が光っていたりするんですよね。あとは、銃一挺一挺にちょっとした個性があったり、国ごとに設計思想やデザインの違いが現れていたりして、そういった部分で面白いのではないかと思います。また、当時実際に戦闘で使われた銃もあったりするので、世界史や日本史が好きな方は、そういった歴史的な部分かも、ロマンを感じていただけるのではないでしょうか。
――では、そうした古銃の魅力を踏まえた上で、『千銃士』の魅力はどこにありますか?
喜多田 これまで古銃はとっつきにくい部分がありましが、『千銃士』によって、銃の個性をキャラクター化してもらったことで、銃の特徴が分かりやすくプレイヤーの方に伝わったのではないかと感じております。
もともと銃に関わっていた我々も、「この銃がキャラクター化するとこうなるんだ」と、新しい発見があったりしますので、キャラクターになったという部分は非常に意義があるのではないかと思います。ドライゼがワイルドな雰囲気になり、タバティエールはフランスっぽい感じのキャラクターになっていたりと、キャラクターになるとこういう性格になるんだと、新鮮な印象がありました。
――それでは最後に、シカゴレジメンタルスにとって、『千銃士』とはどのような存在ですか?
喜多田 古式銃、古銃という、一部のコレクターしか知らなかった存在を、かなり多くの人たち、特に女性の方に知っていただけたキッカケとなったコンテンツかと思いますね。『千銃士』をキッカケに、より深いところまで古式銃について調べていただいている方も結構いらっしゃいます。そうした部分では、古式銃業界全体にかなり大きな影響を及ぼしたコンテンツではないでしょうか。たとえば、骨董イベントにも若い女性のお客様が増えたという話を聞きます。さらに、古式銃から一歩踏み込んで、銃以外の古い骨董などにも興味を持たれる方が増えていっている印象です。『千銃士』をキッカケに、より広い世界を知っていただけるようになったのかなと思います。
――ありがとうございました。今後も古銃の入荷を楽しみに待っております。
(取材・文/桜井飛鳥)
■シカゴレジメンタルス
http://www.regimentals.jp/
■『千銃士』公式サイト
https://noble.game.line.me/
■『千銃士』オフライン版(ダウンロード無料)
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