女性向けの武器の擬人化作品で、今、ブームになりつつあるジャンルがある。古銃をモチーフにした『千銃士』だ。
『千銃士』は、圧政を敷く「世界帝」とレジスタンスの戦いを描いた、LINEとマーベラスによるスマートフォン向けゲーム。レジスタンスであるプレイヤー(マスター)は、古銃から銃の化身である「貴銃士」を呼び覚まして育成し、現代銃を有した圧倒的戦力の世界帝軍に立ち向かっていく。2018年3月22日にリリースされ、同年7月にはアニメ化もされている。
だが、この『千銃士』がすごいのは、ここからだ。残念ながら、ゲームは今年6月11日にサービス終了となったのだが、作品人気はまったく衰えない。サービス終了後も続々とコラボレーションが決まり、グッズの供給も続いている。また、古銃業界も前代未聞の事態となっており、それまで男性ファンばかりだったところ、続々と若い女性が何十万円もする高価な古銃を買い求めるようになっているという。
このとどまる所を知らない『千銃士』ブームについて、本記事では、ライセンシー(THEキャラCAFE)、グッズ販売店(ソフマップAKIBA④号店アミューズメント館)、古式銃専門店(シカゴレジメンタルス)を取材。全3回にわたって、そのブームの現状をお届けする。
■第1回/『千銃士』サ終したのに勢いが止まらない! コラボカフェからその人気を探ってみた【コラボカフェ編】
■第2回/『千銃士』ゲームがサービス終了してもファンの熱量は止まらない! 人気の裏を探る【女性向け専門フロア編】
第3回は、ゲームに登場する本物の古銃を取り扱う、国内唯一の無可動実銃と古式銃専門店「シカゴレジメンタルス」を訪問。大人気の『千銃士』コーナーの様子や『千銃士』が古銃業界に与えている影響について、株式会社シカゴレジメンタルスの統括マネージャー・喜多田氏に語ってもらった。
■女性が古銃に興味を持つ時代が来るとは想定もしていなかった
――御社は、『千銃士』のカタログ制作にも協力されていたとのことですが、『千銃士』とはどのような関わり方をしているのでしょうか?
喜多田氏(以下、喜多田) ゲームがリリースされる前に、Anime Japan2018で『千銃士』の告知イベントを企画されていまして、来場者に配るパンフレット『高貴なる古銃の世界~特装版~』を作成するにあたって、マーベラスさんと制作会社さんが弊社に相談されたのが初めてでしたね。
――古銃をテーマにしたゲームを作ると聞いて、社内での反応はいかがでしたか?
喜多田 歴史物ですとか、日本刀ですとか、そうしたゲームが存在することは存じていましたので、古銃のゲームが出ることは、そんなに違和感なく受け止めていました。これでブームになってもらえれば、弊社としてもありがたいですし。
――そもそも古銃は、どのような方々がたしなんでいるのでしょうか?
喜多田 もともと日本は火縄銃が多いので、昔から火縄銃のコレクターや、イベントなどで火薬を詰めて空砲を撃つ演舞で使っている方が多いです。洋式の古式銃はコレクター人口が多くはないですけれど、国内には一定数いらっしゃいます。ただ、基本的には男性が多い印象ですので、今のように、女性が古銃や古式銃に興味を持つ時代が来るというのは、弊社としても想定していませんでした。また、どうしても古式銃はそれなりの価格なので、購買層はある程度年齢が上のほうになるので、若いお客様はそこまで多くなかったです。
――もともと古銃に興味を持たれる方は、何をキッカケにされているのでしょうか?
喜多田 歴史から入られる方が多いですね。火縄銃なんかは、特に戦国時代や幕末の歴史から、興味を持たれたという方が結構いらっしゃいました。あとは、古式銃は実際に撃てる状態で所有することができるということで、もともと銃が好きで興味を持たれたという方も一定数いらっしゃいます。
――そうした中で、『千銃士』をキッカケに古銃を知ったというお客様が来店するようになったのは、いつ頃からですか?
喜多田 1階に古式銃のギャラリーあるのですが、ゲームがリリースされた後から、そこの見学を希望する連絡をいただくようになりました。最初は、『高貴なる古銃の世界』のパンフレットで知って、だったと思います。あとは、インターネットで検索をされてでしょうか。弊社は「古式銃」で検索していただくと、上の方に出てきますので。でも、『千銃士』のファンの方が一気に増えたのは、実際に『千銃士』の銃をまとめたコーナーを作ってからですね。
――『千銃士』コーナーを作った背景を教えてください。
喜多田 1階の古式銃ギャラリーは、ご予約をいただいてご覧いただくシステムにしていましたので、より多くのお客様や『千銃士』のファンの方に見ていただけるように、予約の要らない2階に、『千銃士』コーナーを作ることになりました。