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【スポーツ】[東京マラソン]大迫、また日本記録更新で東京五輪王手! 攻めて勝ち、感涙…2020年3月2日 紙面から
▽東京五輪選考会「グランドチャンピオンシップ(MGC)ファイナルチャレンジ」を兼ねる(男子のみ)▽1日▽東京マラソン財団主催▽東京新聞共催、東京中日スポーツ後援▽9時10分スタート▽東京都庁前~東京駅前・行幸通り間の42・195キロ▽スタート時の気象 晴れ、気温11・5度、湿度46・4% 自らの脚で東京五輪代表を大きくたぐり寄せた。大迫傑(28)=ナイキ=が、自身の日本記録を21秒更新する2時間5分29秒の日本新記録で日本人最上位の4位に入り、残り1枠となった最有力候補の座をさらに確実にした。8日のびわ湖毎日マラソンで今回の大迫の記録を上回る日本人が出なかった場合、大迫が五輪代表に決まる。前回覇者のビルハヌ・レゲセ(エチオピア)が2時間4分15秒で連覇を達成した。 クールに、表情を変えずに走る男の手足から、目から、ためていた感情がほとばしった。東京五輪代表をほぼ手中に収め、42・195キロ走ってきたとは思えない躍動感で、雄たけびとともに大迫がフィニッシュテープを切る。「9月に3位に入ってから非常に苦しい戦いだったけど…。しっかり走れてよかった」。涙を流し、声を詰まらせながら、駆け抜けてきた2時間5分29秒を、一敗地にまみれたMGCからの5カ月半を振り返った。 日本記録保持者として、待つ、守るという手段を選ばず、3枠目の五輪代表を狙い、攻めに攻めた。象徴的なシーンが32キロすぎ。2時間4分台のハイペースで先行していた井上大仁(MHPS)に追いつくと「集団がきつそうな雰囲気だったので、チャレンジしてみようと思った。ケニアや今までの練習で1人で耐えることを学んできたので、残り10キロぐらいだが行けると思った」と表情も変えず抜き去った。38キロ以降、何度も見せた右脇腹を押さえるしぐさにも「いつもあの場面でくる。対策は分かっていたので落ち着いて走れた」。鍛え抜かれ、無駄をそぎ落とした肉体は最後まで力強く地面を蹴り続けた。 「(日本記録更新は)38キロくらいから行けるかなと思った。(最後の)直線に入った瞬間に記録を切れると分かった。最高の直線だった」。日本人の追随を許さなかった圧倒的な走りと、その後の涙。その理由は「プライベートなことなので、内緒にしておく」と明かさなかったが、「ずっと会えなかったので力になった」と、2カ月半ものケニア合宿に身を投じた自身を支えてくれた家族やスタッフの応援へ感謝の気持ちを口にした。 大迫とケニア合宿をともにした神野大地(セルソース)は「会話をしても『俺が勝つでしょ』みたいな感じで、一切不安な感情が伝わってこなかった」と証言する。己を信じ、過去の自分に打ち克ち、ライバルを圧倒し、そして事実上勝ち取った東京五輪代表だ。 傑出するようにとの願いを込めて命名された男は「東京五輪が決まれば、また元気を与えられる走りをできるように練習したい。五輪に近い存在になれたので、自分を信じて準備したい」と宣言した。自身を超え、世界と伍(ご)する存在になって8月9日、札幌のスタートラインに立つ。 (川村庸介) ◆残るは記録出にくい「びわ湖」<東京五輪マラソン男子代表選考の行方> 8日のびわ湖毎日マラソンが、中村匠吾(富士通)、服部勇馬(トヨタ自動車)に続く3枠目の代表最終選考会となる。東京マラソンで大迫傑が記録した2時間5分29秒を上回った日本人1位の選手が代表に決まる。該当選手が出なかった場合は大迫が代表となる。びわ湖にはMGC4位で自己ベスト2時間10分12秒の大塚祥平(九電工)、2時間10分21秒の鈴木健吾(富士通)らがエントリーしている。びわ湖毎日の大会記録は2011年キプサング(ケニア)の2時間6分13秒。風の影響で記録が出にくいコースとされる。 PR情報
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