「屋内の閉鎖空間 急速拡大も」国の専門家会議見解【全文】

2020年3月2日

新型コロナウイルス対策の専門家会議は感染した人が最も多い北海道などのデータを分析したうえでの見解をまとめました。この中では、感染しても症状の軽い若い世代が気付かないうちに感染を広げてしまっていると考えられるとして、軽いかぜの症状でも外出を控え、風通しの悪い空間でのイベントにできるだけ行かないよう呼びかけています。その見解の【ポイント】と【全文】です。

国の専門家会議が示した「見解」のポイントは

  • 症状の軽い人も、気がつかないうちに感染拡大に重要な役割を果たしてしまっていると考えられる。
  • 屋内の閉鎖的な空間で、人と人とが至近距離で、一定時間以上交わることによって、患者集団「クラスター」が発生する可能性が示唆される。
  • そして、「クラスター」が次の「クラスター」を生むことが、感染の急速な拡大を招くと考えられる。
  • 重症化する患者は普通のかぜの症状が出てから、およそ5日から7日程度で、症状が急速に悪化し、肺炎に至っている。
  • 北海道では、この1~2週間の間に人と人との接触を可能なかぎり控えるなど積極的な対応を行えば感染拡大を急速に収束させることが可能。
  • しかしそうしないと急速に感染者が拡大するおそれ。
  • 日本では社会機能を可能な限り維持しつつ、感染拡大を可能なかぎり抑制することが求められている。
  • そのためには次のような行動を。
    ①軽いかぜの症状でも外出を控えること。
    ② 風通しの悪い空間で人と人とが至近距離で会話する場所やイベントにできるだけ行かないこと。
  • 事業所などにおける活動も、テレワーク、リモートワーク、オンライン会議など、人が接触しない形態を大いに活用を。<全文に続く>。

「新型コロナウイルス感染症対策の見解」(全文)

この見解は、新型コロナウイルス厚生労働省対策本部クラスター対策班が分析した内容に基づき、 専門家会議において検討した結果をまとめた見解です。
現在までに明らかになってきた情報をもとに、我々がどのように現状を分析し、どのような考え を持っているのかについて、市民に直接お伝えすることが専門家としての責務だと考え、この見解 をとりまとめました。
なお、この内容はあくまでも現時点の見解であり、随時、変更される可能性があります。

1.この一両日で明らかになったこと

(1)症状の軽い人からの感染拡大
これまでは症状の軽い人からも感染する可能性があると考えられていましたが、この一両日中に 北海道などのデータの分析から明らかになってきたことは、症状の軽い人も、気がつかないうちに、 感染拡大に重要な役割を果たしてしまっていると考えられることです。なかでも、若年層は重症化 する割合が非常に低く、感染拡大の状況が見えないため、結果として多くの中高年層に感染が及ん でいると考えられます。

(2)一定条件を満たす場所からの感染拡大
これまでに国内で感染が確認された方のうち重症・軽症に関わらず約80%の方は、他の人に感染させていません。
一方で、一定条件を満たす場所において、一人の感染者が複数人に感染させた事例が報告されています。
具体的には、ライブハウス、スポーツジム、屋形船、ビュッフェスタイルの会食、雀荘、 スキーのゲストハウス、密閉された仮設テント等です。このことから、屋内の閉鎖的な空間で、人と 人とが至近距離で、一定時間以上交わることによって、患者集団(クラスター)が発生する可能性が 示唆されます。そして、患者集団(クラスター)が次の集団(クラスター)を生むことが、感染の急 速な拡大を招くと考えられます。

(3)重症化する患者さんについて
これまでにわかってきたデータでは、感染が確認された症状のある人の約80%が軽症、14%が重症、6%が重篤となっています。しかし、重症化した人も、約半数は回復しています。
重症化する患者さんも、最初は普通の風邪症状(微熱、咽頭痛、咳など)から始まっており、その段階では重症化するかどうかの区別がつきにくいです。 重症化する患者さんは、普通の風邪症状が出てから約5~7日程度で、症状が急速に悪化し、肺炎に至っています。

2.現在の北海道の感染状況

推定される発症者数は、日毎に急速に増加していると考えられます。しかし、この1-2週間の 間に、人と人との接触を可能な限り控えるなど、積極的な対応を行えば、感染拡大を急速に収束さ せることが可能です。しかし、そうした対策を実施しないと、急速に北海道全体に感染者が拡大す る恐れがあります。

3.なぜこのような感染状況に至っているか

(1)北海道における地域的特徴
都市部には、人口が多く、社会・経済活動の活発な若年層が集中していますが、他の圏域には重症 化のおそれのある高齢者が多く住んでいるという特徴があります。また、北海道の6圏域間の人の 移動は、都市部と他の圏域との間での流動が多い状況です。

(2)北海道における感染の特徴
北海道には中国からの旅行者が多く、そうした人々から感染が広がったと考えられます。北海道 全体をすべて覆うほどの感染状況にはなっていませんが、北海道全域に感染者が点在している状況 です。また、人口比率で考えると、圧倒的に遠隔地で感染者の報告数が多い状況です。

(3)現状に至った理由
都市部においては、社会・経済活動が活発な人々が、感染のリスクが高い場所に多く集まりやす く、気づかないうちに感染していたと考えられます。なかでも、若年層に、症状の軽い人が多いと考 えられ、そうした人々の一部の人が他の圏域に移動することで、北海道の複数の地域に感染が拡大 し、感染した高齢者のなかから症状が出たことが報告されたことによって、感染の拡大状況がはじ めて把握できたと考えられます。

4.北海道で実施すべき対策

感染を急速に収束の方向に向かわせるためには、人と人との接触を最大限に避けることが必須で す。これを、いま集中して実施すべきです。
もし、こうした対策が行われず、人々が何も行動を変化させない場合、感染者数が急増し(赤い上 昇線)、一定の潜伏期間後に発症者数も急増することが予想されます(青い上昇線)。その一部の方々は、重症化する可能性があります。こうした事態に至ると、多くの人々に健康被害をもたらすほか、 医療提供体制に甚大な悪影響を及ぼす事態を招きます。
しかし、現時点で、人々が急速な感染拡大を抑制するために適切な行動へ切り替えれば、新規の 感染者数は急速に減少していくと見込まれます(赤い点線)。これがうまくいけば、今後、患者数が 急激に増えることはありません(青い点線)。ただし、潜伏期間があるため、患者数の減少が確認で きるまでにはタイムラグがありますので、人々の行動が大きく変わってから2週間ほど経過しない と、その効果を評価することはできません。
なお、感染症のなかには、大多数の人々が感染することによって、感染の連鎖が断ち切られ、感染 していない人を保護する仕組みが機能できるものもあります(集団免疫の獲得)。しかし、現在の感 染状況は集団免疫を期待できるレベルではありません。
また、一度感染した人が再び感染するかどうかは、まだわかっていません。

6.北海道の皆様ができること

武漢では、社会機能を停止させることによって感染拡大の収束に向かっていますが、現時点では、 日本では社会機能を可能な限り維持しつつ、感染拡大を最大限に抑制することが求められています。 そのためには、できる限り多くの人々に、次のような行動をとっていただきたいと考えています。
①軽い風邪症状(のどの痛みだけ、咳だけ、発熱だけなど)でも外出を控えること
② 規模の大小に関わらず、風通しの悪い空間で人と人が至近距離で会話する場所やイベントにで きるだけ行かないこと(例えば、ライブハウス、カラオケボックス、クラブ、立食パーティー、 自宅での大人数での飲み会など)
ただし、症状のない方にとって、屋外での活動や、人との接触が少ない活動をすること(例えば、散歩、ジョギング、買い物、美術鑑賞など)、手を伸ばして相手に届かない程度の距離をとって会話 をすることなどは、感染のリスクが低い活動です。

北海道の事業者の方へのお願い

上述したように、症状が軽く、経済・社会活動が活発な人々を介して、感染が静かに拡大している ことが、今回、明らかになってきました。したがって、事業所等における活動も、テレワーク、リモ ートワーク、オンライン会議など、人と人が接触しない形態を大いに活用してください。出張も最 低限に抑制して下さい。
ただし、社会機能の維持に関わる事業者や医療機関においては、事業や診療の継続が必要です。 国民生活に影響を及ぼさないように、感染防御に十分注意して事業や診療を行ってください。

6.全国の若者の皆さんへのお願い

10 代、20代、30代の皆さん。
若者世代は、新型コロナウイルス感染による重症化リスクは低いです。
でも、このウイルスの特徴のせいで、こうした症状の軽い人が、
重症化するリスクの高い人に感染を広めてしまう可能性があります。
皆さんが、人が集まる風通しが悪い場所を避けるだけで、
多くの人々の重症化を食い止め、命を救えます。

「今後1~2週間が瀬戸際」国の専門家会議が見解【全文】

2020年2月24日

2月24日 ニュース7 政府の専門家会議 尾身茂副座長

新型コロナウイルスへの感染の報告が相次ぐなか、国の専門家会議は、今後1〜2週間が感染拡大のスピードを抑えられるかどうかの瀬戸際だという見解を示しました。
一般の人ができることとして、多くの人と近い距離で対面する場所を可能な限り避けることや、かぜなどの軽い症状の人は自宅で療養することなど対策への協力を求めています。その「見解」の【ポイント】と【全文】です。

国の専門家会議が示した「見解」のポイントは

  • 国内の感染が急速に拡大しかねない状況にある。
  • これから1-2週間が、急速な拡大に進むか、収束できるかの瀬戸際となる。(グラフの赤の線に進むか、青の線に進むかの分かれ道に)
  • 感染症予防の観点からは、全ての人に新型コロナウイルスの検査をすることは、有効ではない。また、設備や人員の制約のため、全ての人に新型コロナウイルスの検査をすることはできない。
  • 風邪や発熱などの軽い症状が出た場合には、外出をせず、自宅で療養を。ただし、目安の症状がある場合には、決して我慢せず相談を。
  • 心配だからといって、すぐに医療機関を受診しないで。
  • これからとるべき対策の最大の目標は、感染拡大のスピードを抑制し、可能な限り重症者の発生と死亡を減らすこと。
  • 症状のない人も、それぞれが一日の行動パターンを見直し、リモートワーク、オンライン会議などのできうる限りの工夫を。

国の専門家会議が示した「見解」の全文

新型コロナウイルス感染症対策専門家会議 「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針の具体化に向けた見解」

2020年2月24日