ただアインズ様をブチキレさせるだけ 作:寝心地のいい丸太
「シャルティア・ブラッドフォールンが敗北しました」
「……は?」
その報告を受けた時、アインズは冒険者モモンとして活動している時だった。アルベドから緊急の《伝言》を受け、何事かと繋げてみれば……予想だにしない事件が舞い込んだ。
いや、ある意味恐れていた事が起きただけなのかもしれない。
「…敗北というからには逃げ延びたのだろう、敵の情報は?」
「それはシャルティアが直接伝えるべきかと」
階層守護者最強のシャルティアが敗れた。厳密には彼女が“守護者最強”というわけではないが、自由に動かせる駒として一番強力であるのがシャルティアであることは間違いない。相性か未知のアイテムかこの世界特有の何かか。それとも純粋にレベルという概念のないこの世界においてレベル100など弱すぎたのか。
少なくともシャルティア自身が勝てないと感じたから逃げたのは確定といえる。
直ぐに知る必要があった。
それ故、ほんの僅かにアルベドの冷めた物言いに苛立ちを覚えつつアインズは現状における最適解を叩き出した。
「現在ナザリック外にいる全ての階層守護者に命じていた任を一時中断とし、戻るように伝えろ」
「ハッ」
冒険者モモンのは連絡役としてナーベラルを残し、アインズはナザリックへと転移門を開く。
☆☆☆☆
目が覚めたらシャルティアが消えていた。
「嘘…だろ」
両膝から崩れ落ちたペロロンチーノは、泥に顎を沈めながら無気力に呟く。
「どうせ覚めないなら…穴に棒を通したいとは言わないから…せめて、ムレッムレッの下着をペロペロしたかった」
夜が明けて、森の中に光が差し込む…朝日が美しい。
でも、これも夢なんだよな。どっかのエロゲの一枚絵が現実ぽく見えるだけなんだわ。
はぁ~なんかもうどうでもよくなった。早く覚めないのかね~
『……ここにいたのか』
何だ。この加工ボイスは。シャルティアじゃないなら用はありません。消えて下さい。
真後ろからするコポコポした声にペロロンは曖昧な言葉を返した。
『ほう……弟の癖して随分と偉くなったものだな』
「申っしわけ御座いません!!!」
それは、ペロロンチーノの遺伝子に刻まれた恐怖。
“弟は姉に逆らうべからず”
地面に顔面がめり込まん勢いで土下座するペロロンチーノは、声の主、姉へ向け震えながら声を出す。
「えぇ、この度の件におかれましては大変に!」
何故かペロロンチーノの姉は自分と同じく『ユグドラシル』で使っていたアバター【ぶくぶく茶釜】へと変化していたが、ペロロンチーノにとって姉の外見が、いくら変わろうと恐怖が薄れることはない。
「ダメですよ、ぶくぶく茶釜さん。彼は僕らと違って“召喚”ではなく“支配”なのですから。記憶の欠落があるのは仕方ない」
「ふっ!?たっちみーさんまで!!!!
何なんだ。この夢は!アレか、シャルティアへの未練じゃなくて実は俺が辞めたせいで滅んだギルドの呪いとかなのか!?」
そこに、白銀の鎧を着た戦士【たっちみー】まで現れ恐怖を忘れて度肝を抜くほど驚くペロロン。
「そうだぜぇ~鳥頭にはしっかり体に
「ヒィィ!!!!ウルベルトさんまでッゥ!?
一体俺の夢はどこに向かってるんだよぉぉぉ!!!!」
最後に羊の頭をした大悪魔までも空から現れペロロンは頭を抱えて悲鳴を上げた。
苦手な姉に、エロ談義をしたらいつの間にか正座させられていた
ここにペロロンチーノにとって最低最悪のメンバーが揃った。
絶対悪夢だ。ペロロンは思った。
悲報、法国ドーピングする。