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いつもの髪型に慣れてしまっていたからだろう。
こうして髪を下ろした彼は、まるで別人に見える。

男性らしくしっかりとした肩や、しなやかな筋肉の付いた背に、濡れて貼り付いた髪が、酷くなまめかしい。

「どうした? 早く来たまえ」

先に浴槽に身を沈めたベルゼーヴァが差し招く。
歴戦の勇者であり冒険者であるとはいえ、まだ少女めいた外見の娘は、
羞恥を隠せず、戸惑った様子で男を見つめた。

「何を今更恥ずかしがる必要がある? 君の体ならば、もう知っている」

ちゃぷ、と湯を揺らして上げた腕で髪を掻き上げる男に、
娘はカッと頬に血をのぼらせた。
そう。
初めてではない。

だが、まだ数えるほどしか肌を触れ合わせていない上に、
男の全てを見るのはこれが初めてなのだ。
普段は軍服に隙無く包み込まれている体は、思いの外逞しく、その事が娘を戸惑わせている。

それでも、何とか身に着けていた衣服を脱ぎ落とし、娘は浴槽へ入っていった。

「すっかり冷えてしまっているな。早く来ないからだ」

待ち兼ねていたように、男の手が娘の肌を這う。
温かく大きな手に、柔らかな乳房を包み込まれて、娘の体が寒さからではない震えに揺れた。
男が笑って、細やかな肢体を抱き寄せる。

剣を使う者特有の、固い手の平が、優しく胸の頂をなぶる感触に、
娘は甘い吐息をこぼして身悶えた。
愛する男の前では、無限のソウルの持ち主も、ただの女に過ぎない。

「人類の革新の為にも、君には早く子をなして貰わねばならない。
超人類である私と、無限のソウルの持ち主である君の血を受け継いだ子を…な」

娘は男の為すがままにその精を受け入れる。

例え、男の目的がどうあっても。