◆スカーレット127話 あらすじ感想~視聴率は3/3の発表です
昭和58年(1983年)、8月――。
新しい関係を築こうと言ってから、数ヶ月が過ぎました。
時折三人で、食卓を囲むようになったそうで、その日のお昼はそうめんでした。
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親の前で子どもに戻る瞬間
ここで、喜美子はこう言い出します。
「サニー」でそうめんを出すとか、何を言い出しとんねん。カフェでそうめんという提案で、武志はこう言い出します。
「流しそうめん!」
カフェで流しそうめん? どっから流すねん。そう突っ込まれ、竹を切って流すとかんとか言うわけですが。八郎も苦笑しています。
武志はすっかり子ども返りをしております。
「一本一本食うたる!」
「アホやなぁ……」
喜美子がそう見守っております。
武志は素直な子どもらしさを、両親が揃った前で見せるようになりました。家族の力を感じます。
喜美子はお金や時間に追われることなく、穏やかな幸せの中にいました――。
そう語られ、今週が始まります。信作&百合子のドタバタ劇場だった先週の後だけに、緊張感が高まる出だしです。
課長と部下がやって来る
喜美子がスイカを出すのを忘れたと言い、八郎と武志を見送ります。
「ほなまた」
「気ぃつけてな」
昭和のおっちゃんファッションを出している、そんな八郎を見送りまして。
電話を受ける喜美子。相手は信作からでした。
はい、ここで信作がやってきます。先週のかわいいマスター姿(せやろか?)から、役場のおっちゃんとしての登場です。
ワイシャツの下から透ける、このタンクトップがたまらん! これぞ、昭和のおっさんの極みやで。八郎どころではない。
今でこそ、透けないインナー選びを男性も気にする時代ですが当時は違いました。
おしぼりで顔を拭き、ヌードカレンダーを職場に飾り、OLの尻にムフフとして、スポーツ新聞のピンク紙面を電車で読む――昭和のおっさんは、インナーなんて気にしなかったものです。
男性用制汗剤? あぶらとりシート? メンズメイク? ありえへん! そういう時代よ。昭和って、ええなぁ……ほんまに?
はい、そんな昭和のサラリーマン課長は、喜美子不在の「かわはら工房」に入ります。「いはりません、帰りましょう」と部下が言っても、入って待っとこと言い切る課長です。よっ、課長、流石ぁ!
ここで部下の鳥居は、ほんまに頼むんですかと全くやる気を見せません。
「また聞くかお前!」
「ほやかて……」
信作ががんばっとる。
先週がなんやかんや言われておりましたが、こういう課長があのアホ行為をかましていたと思うと、たまらないものがあります。あれこそ、昭和おっちゃんの恥ずかしいところであり、特定視聴者層に投げつけられた豪速球デッドボールやね。朝ドラHELLや。
はい、ここから先がアートトークです。
◆課長と部下の美術鑑賞トーク
課長:自然釉ね。独特の色合いやで。
部下:焼き物はなんでもそうちゃいます?
課長:アホ! よう見てみぃ!
部下:地味やなぁ……よう高い値段で売れますね。
課長:なぁお前、そういうこと、絶対本人の前で言うなよ。
部下:現物見てもピンと来なくてもいいのですか? これのどこがいいのか言うてください。
課長:仕事や!
部下:仕事やったら、ええも悪いも考えんのですか?
課長:……。
部下:黒川先生の息子さんがよかった。賞をもらってこれから。
課長:黒川先生に断られた。ここに頼むしかない。
部下:こんなんいくらくらいするんですかね。
なんやこの地獄は……えらいところに突っ込んできたで!
記憶を刺激されるで!
昨年、「誰もがうまい」と豪語するカップラーメンに、散々突っ込みました。
人間の感覚・価値観は人それぞれです。【誰もが】いいなんて思うものは存在しえません。『ハリー・ポッター』に出てくる魔法の何かのように、触れた瞬間理想を再現するようなものでもなければ、ありえないのです。
信作の部下・鳥居はある意味、素直です。
「なんやええかどうかわからへんけど、課長の友達やんか。なら褒めとこ」
そう思わないだけでも、鳥居は悪い奴ではないと思う。それに、主人公の作品を評価すれば善人というわけでもありません。
あのジョーは、喜美子の作品に値段がつくまでわかっちゃいないところがあった。
大久保も、喜美子のペン立ては金にならんと内職をやらせました。
草間やジョージ富士川のような人物が、その創造性を認めるものの。
これが難しいところで、八郎ですら、喜美子の穴窯には理解ができなかったわけでして。
それに本作は、散々言われてきたわけではありませんか。
「なんや地味やな。『なつぞら』のアニメがカラフルなのに、陶芸なんてもんはジジババしか見ぃひんよ」
せやろか?
そう思っていたら穴窯大炎上をかましたわけで、先入観と価値観はおそろしいものです。
小池アンリのような、人生を豊かにすると言い切る人もいれば。鳥居のような「地味」で終わる人もいると。
ほんで、信作な。
信作は、喜美子が親友だからええと思っているわけでもない。本音をぶつけるだけに、心の底からええとは思っている。それを言語化できない。そういう悲しみがそこにはあるのです。
百合子相手にも「記憶にございません!」でゴリ押ししかけて失敗に突っ込みかけた信作やからね……。
黒川先生の息子さんのことも、気になるところ。喜美子は追いかける側から、追われる側になりました。
権威で過大評価されてへん?
若い世代からそう思われる側になったということです。
信楽ピーアール大作戦や!
「冷たいもの持ってきたで、飲みぃ」
はい、そんな川原喜美子先生がお茶を持ってきました。あのトークもバッチリ聞いとったでぇ。そういうところが怖いってば!
大野課長は、観光課の鳥居を紹介します。ここで語られるのが【信楽ピーアール大作戦】です。
なんや昔もあったなぁ。
【お見合い大作戦】。そう思い出しつつ、喜美子はボソッと言います。
「大作戦、好っきゃなぁ……」
なんやこの生々しさは!
なまじ広告代理店を経由しないだけに、もっさり感あふれる宣伝をしてしまう、地方自治体あるある状態は!
慣れていないため、宣伝素材で割とテキトーなポスターを作り、炎上するパターンよ……。令和でもあんねん。なんや無駄にトラウマを刺激せんといてぇや。
信楽ピーアール大作戦とは?
焼き物の街を売り物にして盛り上げよう!
観光客向け、一日陶芸教室をします!
喜美子は「サニー」にチラシが貼ってあったと言います。
ええんか、それで?
地元客しか来ない場所ちゃう?
まあいっか。外国人観光客も先週来とったし、関西のデパートや駅にも貼ってあるっちゅうことで理解しました。
信楽らしいかもしれない。
こういうことを言うと失礼かもしれませんが、甲賀って不器用ではありませんか?
忍者でピーアールをしている部分もありますよね。
これも県境を隔ててはいても近い、そんな伊賀と比べると、生真面目なんですよね。
伊賀はピンクの忍者装束を着ても平然とショーをできるのに、甲賀はなまじ時代考証を踏まえて真面目に忍んでしまう。そういうイメージがあるで!
※伊賀はノリノリやしなぁ……
聞けば、5件の工房のもとで教室をするものの、最後の神林さんにアクシデントが発生したようです。水道管が壊れて工房が水浸しになり、対応ができないとか。
協力する中に、永山が入っているのがうれしいところではあります。信楽二位の大手ではないものの、まだ陶芸を続けてはいるようです。
そこで会議をしまして、かわはら工房に頼むことになったというわけです。
喜美子は聞いてきます。
「いつ?」
「明日!」
明日て……そんなんお前。
「どうか引き受けてくれんやろか! お願いします!」
「わかりました。うちでよかったらやらせてもらいます。よろしゅうお願いします」
喜美子は即答しました。
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