東京都国立市にある一橋大学は、国内で最も伝統がある社会科学系研究大学だ。9月5日には、文部科学省から国内で7番目となる「指定国立大学法人」に認められた。
文部科学省によると、指定国立大学法人の対象になるのは「世界最高水準の教育研究活動の展開が相当程度見込まれる大学」。給与基準などの規制が緩和されるほか、外国人研究者を高額で雇うことや、収益性の高い金融商品などに投資することなどが可能になる。
この指定から5日後の9月11日、一橋大学は学部生の授業料を2020年4月から引き上げると発表。現在は年間53万5800円だが、2割増の年間64万2960円になる。また大学院生の授業料も、2021年4月から引き上げる。値上げで生まれた財源は国際的に活躍する教員の増員や、語学教育の拡充などにあてるという。
しかし、一橋大学が進める改革に対し「文部科学省の方だけをみて、学生の方を見ていない」との声が大学の内外から漏れてくる。それは学生の都合を考えずに授業料を値上げすることだけではない。学生が深刻なヘイトスピーチやハラスメント被害を訴えても、大学がそれを放置してしまう——そう見られても仕方がないような実態があるからだ。一橋大学でいま何が起きているのかを取材した。
一橋大学では今年5月から6月にかけて、英語の授業が行われる教室でアメリカ人の男性准教授(以下、「准教授」と表記)が学生に向けて発した言葉が問題になっている。次の2つの文章は、准教授の発言を書き起こしたものだ。差別用語を含むが、問題を明らかにするためにその内容を記す。
I mean this guy is like crazed, absolutely crazed, like most, like most Koreans, I mean, just a fucking idiot. So, if you are recording this, in my opinion, Koreans are bunch of fucking idiots! You are out of your mind, get psychological help! Just get psychological help! Ass-hole!
【日本語訳】つまりこの男は気が狂っているんだ。完全に気が狂っているんだ。ほとんどのコリアンのようにね。つまりただのくそったれの馬鹿なんだ。さて、お前がこれを録音しているのなら、私の見解によると、コリアンはくそったれの馬鹿どもの集まりだ!お前らコリアンは頭がおかしいんだよ、精神科に行け!いますぐ精神科に行け!馬鹿野郎!(5月7日に発言)