ただアインズ様をブチキレさせるだけ   作:寝心地のいい丸太

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ペロロンチーノ逝く

神聖みを感じる教会の一室で変態は目覚めた。

 

「…ここは、何処だ?

俺は確か新作のエロゲをプレーしていた筈だけど。」

 

手元をみれば、今は懐かしいVRMMO『ユグドラシル』そのゲームで活用していたアバターの鳥人間。バードマンのものへと変化している。いや、全体的に感覚が何か気持ち悪い。背中がムズムズするし、たぶん全身がアバターのペロロンチーノへと変わっているのだろう。

 

「はっ!?まさか、シャルティアへの未練が描いた夢の中?明晰夢ってやつなのか!?」

 

だとすると、ここはかつて自分が所属していたギルド『アインズ・ウール・ゴウン』の何処か。正直見覚えはないが、引退したのは随分前だったからなぁ…モモンガさんが内装を変えたのかもしれない。

 

「――て、夢の中なんだからモモンガさんがいくら変えたって夢で再現されるわけないじゃん!」

 

所詮ここは夢の中なのだ。

あのギルドが今どうなっているか、自分が知るわけもない。知りもしないのに夢で出てくるなんて……何それ怖い。

いや、そもそも今ギルドがあるかどうか……。

 

ふと、ペロロンチーノは骸骨姿のギルマスを思いだしポツリと呟く。

 

「…そう言えば、メールが送られてたな。

確か、ユグドラシルの最後に会いませんか…だったけ?

アカウントは消していなかった筈だし、最後ぐらいログインしてみようかな」

 

ゲーム時代最も仲の良かった彼のことだ。

久しぶりにエロゲネタで盛り上がるのも良いかもしれない。

 

まさか、()()()()()()()()()()()()()とは思わず、異業種でも入れる酒場を思い出すペロロン。

夢が覚めたら行動に移ろう。そう決意したところだった。

 

「おお、ぷれいやー様が降臨なされたぞ!」

 

チャイナドレスを着たババア

 

「……ガフッ」

 

毒物をみた変態は泡を吹いて気絶した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……嘘、ペロロンチーノ様?」

 

次に目が覚めた時、ペロロンチーノの目の前にいたのは『ユグドラシル』時代、自分の性癖の全てをぶちこんで作り上げたNPC”シャルティア“だった。

 

「おお、シャルティア!お前動けるのか!」

 

「ッゥ!はいでありんす!」

 

これを夢だと思っている彼からすれば、突然場面が教会から薄暗い森の中へと切り替わり、先の予想通りシャルティアが目の前に現れたのである。

ボロ布のような服で森の中なのはシチュエーションとしてどうかと思うが、自分が性癖を詰め込んだキャラが喋って動いている。

それだけで下半身が熱くなっていく感覚がヤバい。

 

……無精するかも。知るかっ!ヤれるなら夢でも構わん!

 

「シャルティアぁぁぁぁ!!!!」

 

「ペロロンチーノ様ぁぁぁぁ!!!!」

 

二人は互いからの抱擁を求めて走り出す。

 

『その吸血鬼を殺せペロロンチーノ!』

 

ズキリッ頭の中で声が流れた。

 

「はぁ?ヤるはヤるでもそっち系じゃ……」

 

「ペロロン…チーノ様?」

 

『殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!』

 

「何だ……これ、痛い…ウゲェェ」

 

 

視界がボンヤリとして胸が苦しい。

まさかこんな所で、夢が覚めるのか?

 

 

「…いや、何か変だ……シャル、ティア!俺から離れろッ!」

 

 

兎に角、嫌な予感がした。俺は咄嗟に歩み寄るシャルティアを手で制しその場に蹲る。

 

 

『殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、殺せ!!!!』

 

意識がもっていかれる。エロゲマスターのペロロンチーノはそれが洗脳系リョナエロゲ、『魔女少女ワールドパンパン』と似た症状であると考え「これ……ワールド、アッ」

 

「ペロロンチーノ様!」

 

そして、タイミングよく堕ちた変態は弓を取る。

神器級は友人に上げてしまったとはいえ、偶然ボックスに放り込まれていた予備の伝説級の装備に身を纏い勢いよく空へ消える。

 

シャルティアがそれを追うようにして上空へ視線を向け、その瞳に映ったのは

 

流星の如く輝く矢の豪雨だった。




ペロロンチーノの記憶は百年ほど跳んでいます。

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