たまにはアーデさん家のリリルカさんが強くてもいいじゃない 作:ドロップ&キック
平日は疲れてどうにもならないので、なるだけ週末に書いていく方針。
汝向けし切っ先は鏡に映る己に突き立てられる
ゆえ貴方の
”
「おや? ザニス
クスクスと楽しそうに笑う害意と敵意……
「貴方にとって
その夜、ソーマ・ファミリア団長”ザニス・ルストラ”は、そのさして長くないだろう生涯においても最悪の状況が訪れていた。
その悪夢の正体は言うまでもない……
「アーデ……貴様、どうやって!!」
「そうですね……リリは誰にも気づかれぬよう忍び込むのは得意なんですよ」
いっそ朗らかに返すのは、巨大なウォーハンマー”バハムート”を片手で軽々と玩ぶ少女、リリルカ・アーデだった。
無論、彼女とて今こそ明確な”
どうせすぐ尽きる命ではあるだろうが、これまでの所業を考えれば冥土の土産を持たす意味も価値もない。
「さてさて……どうやらリリが生きていることに驚いてるようですが、」
彼女は嘲笑を浮かべ、
「リリの
「い、一体なんの話だ……!!」
「団長、目が泳いでますよ? それにカヌゥさん達から全部聞いてますから今更誤魔化されても興醒めなだけです」
「……何が望みだ?」
「ちょっかい出してこないのであれば、別にリリには望みなんてなかったんですけどね。ただ、やられっぱなしというのもリリのポリシーに反します」
リリルカは”バハムート”を握りなおし、
「強いて言うなら……その首を所望と言ったところでしょうか? そろそろ貴方の顔も見飽きてきましたし」
「貴様っ!! 私を殺すと言うかっ!?」
「さあ? もしかしたら首から上がなくなっても生きてるかもしれませんよ? リリは浅学につきそんなヒューマンの話は聞いたことはありませんが。それはともかく、助けを呼ぶなら早くした方がいいですよ。ただ、その前にリリの”バハムート”が確実に頭を潰すでしょうけど」
明確なまでの挑発……ここにきてようやくザニスは悟ったのだ。
そう、”自分より
ザニスの行動を思い返せば、状況証拠から考えてLv2に至ったと
つまり”出る杭を打つ”行動だった。
だが、ここに致命的な認識の齟齬が生じていた。
ザニスはリリルカがLv2に至ったとしても、自分より弱いと想定していた。
何しろ自分はリリルカの両親が生きていた頃より、いやその前からLv2だったのだ。そもそもLv2でなければ団長にはなれなかった。
なら自分よりLv2の期間が短いリリルカが自分より強いはずはないと、大した根拠のないまま無意識に思い込んでいた。
だが、読者諸兄は既にお気づきであろう。
リリルカは”あえてLv2に留まっていた”ということを。
ヴィーザル・ファミリアの”平原の主”討伐に参加しLv2に至った後も、リューの一件やら何やらでダンジョンの内外を問わず数々の
そう、リリルカ・アーデは『いつでもLv3になれる』状態だったのだ。
ただ、Lv3になってしまえば、流石に色々と誤魔化しが利かなくなるのでそうしてなかっただけだ。
実際、冒険者ギルドでも大分前から「リリルカ・アーデのレベル詐称疑惑」は一部で囁かれていたのだ。
しかし、それが表沙汰になってないのは確たる証拠がないことに加え、ギルドの上層部がどうにもこの件に関しての動きが鈍いからだ。
どちらかと言えば、疑念でしかない現状では静観するという姿勢が暗に見え隠れしていた。
「わ、私を殺したところで……」
だが、ザニスにも一応は奥の手はあった。
たとえリリルカが格上であったとしても、起死回生の手は確かにあったのだ。
「殺す程度の価値はありますよ? オマケにソーマ・ファミリアもついてきますし」
サラッと言うリリルカにザニスは袖口から隠し持っていた短剣状の”切り札”、”魔剣”を抜き、
「貴様ごときにくれてやるものかよっ!!!」
込められた炎の魔法を開放するっ!!
今回のノルマ:リリルカ先輩の魔法の発動
シンダーエラというルビは同じでも、効果はまるで別物です(^^
呪文から予想がついてる方もいるでしょうけど……その詳細は次回にて。
とりあえず、15話くらいで幕引きができるかな?