福島第1原発事故で全域が計画的避難区域に指定され、住民の9割超の避難が進んだ福島県飯舘村は22日、役場機能を移した福島市役所飯野支所(同市飯野町)で「飯舘村飯野出張所」を開いた。
菅野典雄村長は開所式後に記者会見し「国には、放射線量が下がった地域から段階的に計画的避難区域の指定を解除してほしい。『特定避難勧奨地点』への移行も選択肢の一つだ」と述べた。
村民に向けて9項目の「希望プラン」も公表。「村民を2年ぐらいで村に戻したい」と目標を掲げたほか、村民の長期的な健康管理を進め、子どものいる世帯に健康手帳を配布したり、土壌除染を進めることを挙げた。村独自の復興会議を設置することも約束した。
開所式では、菅野村長が「福島市には約4千人が避難している。村民、出張所を受け入れてもらいありがたい」とあいさつ。村長や瀬戸孝則福島市長らが出張所の看板の除幕をすると、列席者から拍手が湧いた。
村は6月1日に飯野支所に間借りし、職員5人を先行配置、避難住民らの相談業務などを始めた。その後、村議会を含めて全庁的に支所に引っ越した。
村の人口は21日現在で6177人。現在も住民約200人が村に残っているとみられ、現地の8つの会社と特別養護老人ホーム1施設の事業継続が認められており、職員5人が交代で村役場に詰めて放射線量測定や上下水道管理などを続ける。
村は年間積算線量が20ミリシーベルトに達する恐れがあるとして計画的避難区域に指定され、5月15日に避難が始まった。