青識亜論の「論点整理」

表現の自由に関する様々な事象について、ネットでの議論などを「論点整理」し、私の見解を述べるブログです。

インセル・ミソジニー批判論序説

※ 平安和気氏から、「インセル」ではなく「ミソジニー」であるとの指摘があったので、謝罪の上、修正させていただく。本稿では、彼のことを最大限の敬意をこめてミソジニーと呼称させていただくので御了解いただきたい。関係各位には誤解を与えたことをお詫び申し上げる。

やりとりの内容を知りたい方はこちら↓

https://twitter.com/heianwaki/status/1224238472304611328

 

 

 

 

いま、Twitter上で二つの潮流が炎上している。

 

一つは、#Kutoo運動を主導してきた石川氏をはじめとする「ツイフェミ」であり、もう一つが、従来、彼女らに対抗する論陣を張ってきた弱者男性論界隈である。

 

彼らは、フェミニズムと批判・敵対するばかりではなく、少子化や弱者男性の非モテの原因を女性の社会進出に求め、それらの解決のためには、女性の権利制限が必要であることを示唆してきた。

 

本稿では欧米のインターネット空間での用法に倣い、後者を「インセル」または「ミソジニー女性嫌悪)」と呼称したいと思う。

 

ja.wikipedia.org

 

ja.wikipedia.org

 

このインセルミソジニーたちの言説について、私は長い間、微温的な態度をとっており、フェミニズム批判的な立場から、時には肯定的に援用したこともある。

 

しかし、昨今の行き過ぎたこれらインセルミソジニーの言説に対して、私が助長する一端を担ったことへの反省もこめて、本稿においてはっきりと批判を加え、反対の意見を表明したい。

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討論会後記:それでもなお、寛容と対話を(青識亜論)

  

これフェミ討論会に参加いただいたみなさん、また、運営側で尽力してくれたみなさん、本当にお疲れさまでした。

   

私は、言うべきことは討論会の中で全て言いましたし、議事録的なものは書かないと決めていたので、当初、沈黙するつもりでしたが、登壇のお二人(小保内氏、石川氏)が記事を書かれたようですので、ごく簡単にですが、後記というかたちで今の所感を書きたいと思います。

 

togetter.com

 

note.mu

 

www.ishikawayumi.jp

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グラビア防衛論 ~フェミニズム・ハラスメントの脅威~

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川村海乃作品撮影 TomokoTomoko/2017/CC BY-SA



 石川優実氏の一編の論考が話題を呼んでいる。

 

note.mu

 

 コンビニエンスストアから成人誌が撤去されたことは記憶に新しいが、さらに一歩踏み込み、「グラビア表紙」についても是非を問う声を上げたのである。

 この問題については、グラビアアイドルの倉持氏も言及し、議論はさらなる広がりを見せている。

 

blogos.com

 

 本稿は、石川氏の主張が誤りであり、それどころか、ある種のハラスメントとしての構造を有することを、ひとつひとつ、彼女の主張を整理しながら解き明かしていく。

 

  • 論点整理:議論を支える二つの「前提」
  • 反論①:グラビア雑誌はセクハラ肯定でも女性差別でもない
  • 反論②:グラビア写真の排除はセクハラ対策にはならない
  • 結論:「大切な何か」を守るために人質はいらない

 

 少し長いが、最後までお読みいただければ幸いである。

(長い文章がまどろっこしいと思われる方は、「結論」だけでもお読みください。)

 

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  • id:andworks

    これは揚げ足取りなんですが、セクハラといえばおっさんというステレオタイプに基づいて、セクハラ親父という概念を濫用し、とくに必然性がないにも関わらず生臭い息とまで書くのは如何なものかと思うのですが、青さんはおっさんが嫌いなのでしょうか?

  • id:Hepppoko

    id:andworksさん

    この論考は、石川氏に対して
    「あなたのやり方はおかしい」
    と説得するのが目的だと思います。

    石川氏を説得するためには、同氏に届く言葉、同氏の心に響く言葉を用いなくてはなりません。

    「セクハラといえばおっさん」というのは、確かにステレオタイプであり、現実には、そうでないケース、たとえば女性上司が男性部下にセクハラする事例などもあります。
    書き手もそんなことは百も承知でしょう。

    にも拘わらず、書き手があえてステレオタイプを用いたのは、ひとえに、
    「石川氏の心に響かせるためには、その表現が必要だったから」
    だと思います。

  • id:kakinotanenomoto

    青識様

    初めてコメントいたします。
    イベントお疲れ様でした。
    ここから申し上げることしかできませんが、いろいろ大変だったと思います。
     単なる共感かもしれませんが言わずにはいられませんでした。

    表示は不要です。

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ポルノグラフィは福祉である ~「性の商品化」礼賛論~

 

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海外のポルノ撮影現場(wikiより抜粋)

 

誰もはっきりと言わないので書くが、

ポルノグラフィは福祉としての側面がある。

 

福祉(welfare)とは何か。

経済学的には「厚生」とも称されるそれは、人間が通常追求する幸福の総量であり、

有限で稀少性のある資源(リソース)の獲得と定義される。

そして、厚生経済学の始祖A・C・ピグーによれば、

資源の分配が不足している貧困者が獲得する一単位の資源は、

豊かで余剰の資源を有する富裕者が獲得する場合よりも多くの厚生を生み出す。

 

小難しい言い回しになったが、要するに福祉の基本原理というのは、

豊かな人生を送るための何かが不足している人に対して、

それを再分配してあげることなのだ、ということである。

 

これは、現代的な福祉国家の基礎となっている理念である。

 

ところで、私たちは多くの場合、他者からの承認を欲する。

それも、特に異性からの承認を不可欠不可避的に欲求する。

マズロー自己実現理論のピラミッドにおいて、

社会的欲求の重要な要素として「Love」が挙げられているのは有名な話だ。

 

ja.wikipedia.org

 

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  • id:uyokugomiwatch

    人っこ一人賛同してないのに僻地で詭弁のゴミを不法投棄する才能だけは感服するなw安倍が正しいって言ったら唾垂らしながら賛同するんだからその用意だけしてろよ。魂のない糞袋馬鹿式阿呆論のネトウヨ中年風見鶏wwwww震災でも安倍寄生の手のひらクルーで世間ってそういうものですよ(顔真っ赤 だっておwwwwwwwwwwwwwwwwww本当に主体性がないネトウヨ奴隷だなwネトウヨよりミミズの方が人権性あるだろうねw土に土下座してお前を生んだ無能母親と帰ってなさいw

  • id:umeboshigohansan

    初めまして
    青識亜論さんの文章について質問があるので、答えていただければと思います。
    「商品化された愛」について、現代において「商品化された愛」のなかでも「究極の承認の形態として、セックス」は極めて高価であり中々一般の人に供給することが難しい商品であると私は考えています。
    また、それ以外の種々の「愛」にしても、それを買うには金銭が必要となります。
    青識亜論さんの言われるように、「福祉」として性の商品化が必要だとするならば、「福祉」として(フードスタンプ等のように)金銭やそれに類似する引換券を行政等が発行する事は考えられないでしょうか?
    差しさわりなければ、青識亜論さんの意見をお聞かせください。

  • id:jhgksw

    少し比喩に違和感を覚えたので

    本物の愛とポルノの差は、言ってしまえばパンと信仰のようなものかと

    ポルノや信仰では本当に満たしたい欲は満たされないが、餓えた人が本物の愛やパンを求めて規範から外れることを押し留めてくれる

    私は信仰を持たないが、しかしささやかな信仰をもって今日の飢えを耐える人を決して嘲ることはありません

    ポルノに対してもそう有りたいと思います

アンチフェミニストの弁明

  

いつものように私がツイッタランドを周遊していると、一編のテキストが流れてきた。

昨今の非モテ論を痛烈に批判した内容である。

  

note.mu

  

ここのところ借金玉氏は強力に非モテ論・アンチフェミへの批判を繰り広げているが、

いわゆる「非モテ論」界隈が反発するかと思いきや、実に静かである。

彼らは何を投げ返せばいいのかがわかっていない、

どころか「何を批判されているのか」すら分かっていないようにさえ見える。

 

私はとりたててフェミニストのアンチというわけではないし、

非モテ論というものに強い関心があるわけでもない。

しかし、あまりにもすれ違いが続いているのがもどかしいので、

あえてアンチフェミの側に立ち、「何を述べるべきか」を考えてみたいと思う。

 

もちろん、非モテ論まわりの知識について不勉強なので、

エビデンスをしっかり固めての論証にはならない。

(そのあたりは、すもも氏ら統計に明るいみなさんの今後の仕事に期待するとして)

界隈の議論を端から見たものの意見として、率直なところを述べたいと思う。

 

 

 

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  • id:lcwin

    ブコメ書かせていただきました。長文もディベートも議論も苦手なのでご勘弁ください。
    真実が人それぞれなら、正道も人それぞれ、ただし世の中には色々な前提もあれば、色々な制約もあるでしょう。
    老婆心ながらマクロとミクロが全然違うのが非モテ論なのだと改めて思います。

  • id:uyokugomiwatch

    うーんゴミ。一文字で飛ばした。誰が読んでんの?頭の足りないオケラネトウヨか?暇人だなぁ。学歴低そう。シンプルに俺がモテない中年ネトウヨなのも野党と左翼が悪い。ただし無能案山子女小野田、シンジローと安倍が擁護したらそれに奴隷従僕します。でいいだろう。精神が分裂したゴキブリ野郎の一貫性のないどうでいい自分語りなら便所でやれ。安倍の分身が一生聞いててくれるから。なんならそれ食べて死んで地獄で漫才やっててね。ネトウヨおじいちゃん

小宮・青識論争――または「最善の相」について

 長い論争がありました。

セクシズムやレイシズムに基づく海外の人からの発言に対して怒るべきか、についての小宮友根氏と青識亜論氏の対話(継続中)
https://togetter.com/li/1263573

 振り返ると、二人合わせて500ツイートにも上ったようですね。
多くの観客の方にも見ていただき、様々な御批判もいただきました。
非常に勉強になり、私としては得るところが大きかったです。

 小宮友根先生におかれては、学会前のお忙しいところ、
きわめて丁寧に御返答をいただき、大変ありがとうございました。
当該議論における論点も簡潔にまとめていただいており、
議論を復習するのに大変役に立ちます。

小宮主張再説
http://www.twitlonger.com/show/n_1sqlclu

 また、観戦しておいでた江口先生も、
以下のように感想を書いていただいています。

チラシの裏:小宮青識論争観戦記
http://yonosuke.net/eguchi/archives/8995

 以後、この二つのテキストを基に、
私の見解を書いていきたいと思いますので、
どうぞよろしくお願いいたします。

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『二度目の人生を異世界で』を巡る議論について

 こんにちは、青識亜論です。

 さて、異世界転生系ライトノベル二度目の人生を異世界で』について、
各界隈で様々な議論が巻き起こっているようです。
作品そのものの評価はさておくとして……多くの興味深い論点を含む反面、
論点が多岐にわたり、いささか混乱しているようにも見受けられます。

 今回は、当該作品を巡る諸論点について整理してみたいと思います。

 

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  • あえとす (id:aetos382)

    いつも Twitter での論戦を拝見しております。

    少しご教示頂きたいのですが、よろしいでしょうか。

    本件に関して、小説の回収や出版停止が表現の自由の侵害にあたらないのは、作者の意志によるものだからということでよろしいでしょうか。
    また、声優に関しては、暴力をほのめかす脅迫なので、表現の自由の侵害にあたり得るということでしょうか。

    たとえば、回収と出版停止を作者が望んでいないにもかかわらず、出版社が(「ここで回収しなければ、もうウチでは作品を出させない」などと言って)強制した場合には、表現の自由の侵害にあたるのでしょうか。
    それとも「イメージ戦略」の一環であるとして、侵害にあたらないのでしょうか。

    最近気になっているのは、「表現の自由の侵害」とは何か、です。
    少なくとも「政府などの公権力による検閲」が侵害にあたることは明白です。
    今回の例で言うと、さらに、私人が行うものであっても、暴力に訴えるようなものは、侵害にあたるということになりますでしょうか。
    実力行使によって、現実に作者の身体の自由を制約すれば、表現もできませんから、これが表現の自由の侵害にあたることはわかります。それが現実化するおそれがあるのであれば、未遂であっても。

    一方で、出版社が回収を強要した場合はどうなのでしょうか。
    作者は身体の自由を拘束されていませんし、何となれば、他の出版社に持ち込んだり、自費出版するという道が残されています。
    そのことをもって、「表現の自由は侵害されていない」ということになりますでしょうか。
    それとも、この表現を生かす別の道を歩むというのは、現実問題として極めて困難であることから、侵害に当たるという判断がなされるのでしょうか。

    御回答頂けましたら幸いです。
    よろしくお願いいたします。