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【社会】

新型コロナ 休校、振り回される自治体 「国は後手後手」「防疫効果は」

急きょ学年最後の日となり、たくさんの荷物を手に下校する児童=28日午後、東京都江東区で

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 新型コロナウイルスの感染拡大を受けた安倍晋三首相による全国一斉の休校要請。都道府県教委などに通知が出された二十八日、自治体や教育現場に混乱が広がった。首長からは突然の要請を受け入れつつも、苦言が相次いだ。首相の政治判断に振り回された格好の教育関係者や生徒からは「現場は大変」「先輩にお別れが言えず悲しい」と声が上がった。 (新型コロナウイルス問題取材班)

 県内で感染者が確認されていない茨城県。この日、会見した大井川和彦知事は「県で感染症が出ていない中、正直、驚きを禁じ得なかった」とも。水戸市教委の職員も「いきなり全国一斉とは思っていなかった」と戸惑う。日立市教委には「よく検討した上で決めたのか」との苦情も寄せられているという。

 同じく感染者ゼロの群馬県。同県太田市は小学校は休校せず、登校するかは保護者の判断とした。清水聖義市長は首相の要請について「思い付きではないかな」と手厳しい。製造業の工場が集積する大泉町では共働きの住民も多く、保護者の負担は大きい。村山俊明町長は「国は後手後手だ。町は先手先手で対応する」と話した。

 「国の要請は突然の話」。千葉県の森田健作知事は休校開始を三月二日にこだわらない方針を表明した。県教育委員会には、朝から県立高校などからの問い合わせ電話が相次いだ。千葉市の熊谷俊人市長は「本来はより感染リスクが高い成人、高齢者の対策があった上でなされるもの。期間を春休みまでとする疫学的根拠も知りたい」と政府の方針に疑問を呈した。

 大野元裕埼玉県知事は休校要請を受け入れたものの、「理解は困難」と放課後児童クラブを受け皿として期待するという首相発言を批判した。幼稚園や保育園などを対象外とする政府の方針にも「本当に防疫措置として十分なのか、もう少し議論があっても良かった」と述べた。

 東京都立中学と高校の休校を決定した都教委。期末テスト自体も見送ることにし、成績についてはこれまでの評定を基にして決めるという。担当者は「新たに切り替えるのは現場は大変。混乱がないようにしたい」と気を引き締めた。

 五百校を超える都内私立小中高校を所管する都私学部には各校から問い合わせが相次いだ。担当者は「各校の判断で」と回答に追われ、「企業側への要請など、保護者の対応なども合わせて方針を出してほしかった。余裕を持っていれば混乱も少なかっただろう」と漏らした。

 

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