ドラマ『緊急取調室』主題歌『Prime Numbers』をはじめ、『もし君を許せたら』『この世界で』など
タイアップ曲も多数収録された自身6枚目となるオリジナルアルバム『DUO』が完成!
どんなアルバムに仕上がったのか、作品への想いや制作秘話を含め、常に進化を続ける家入レオから話を聞いた!
Profile
2012年に『サブリナ』で鮮烈なデビューを果たし、同年の日本レコード大賞最優秀新人賞に輝く。その後も、『太陽の女神』『君がくれた夏』ほか多くのヒット曲を歌う。5月10日から全国ホールツアー『7th Live Tour 2019 ~DUO~』もスタート。「自分がやりたいことが叶った、分岐点になりうる自信作を提げてたくさんの場所に行けることが嬉しいし、今からみなさんと音楽で1つになれるのが楽しみです」と話す。
前作『TIME』は普遍的な言葉にどれだけ説得力を持たせられるかがテーマでしたが、それを携えたツアー中のある日、喉を酷使していたので、リハーサルでディレクターさんに『Bless You』を歌ってもらったんです。その時に「家入レオになりきって歌うものなんですね」と言われ、「私にしか歌えないものを求められているんだ」と、アルバム制作に取り組む上でとてもいいヒントになりました。私にしか歌えないものを誰かと一緒に作り上げようと思ったんです。
誰かが作った曲だからこそ、自分が知ってる感情を歌うことを大切にしました。私にはあまりラブソングのイメージがないみたいなんですが、例えば『Prime Numbers』(アルバムリード曲)の歌詞の後半は人との繋がりを歌いたかったので、ラブソングっぽい構成にしてもらったんです。でも、そこに孤独なイメージをまとう“Prime Number=素数”というワードがあることで、私らしくなるといったように。役者さんで言うところの、当て書きをしていただくような感じで作っていただきました。
はい。作り始めた時は、自分1人で完成させるつもりで何度もスクラップ&ビルドを繰り返しました。それでもしっくりこなくて、『もし君を許せたら』でご一緒したJazzin'parkの久保田真悟さんにお声がけをしたんです。
ドラマが人と深く対峙する内容なので、人を掘り下げるってどういうことか考えて、最終的に「自分」に行き着いた時に思い出したのが、松任谷由実さんに初めてお会いした際に「あなた素数ね。どこにいても馴染めないでしょう」と言われたことでした。人と関わるたびに見えない薄い壁を感じていた気持ちに、名前をつけていただいたような不思議な安心感を覚えました。このエピソードなどを松尾潔さんにお話しして、歌詞を書いていただきました。
私にとっていい音楽、いい言葉を歌うことが何より大事なんです。もともと平井堅さんの楽曲が好きで、制作に関わっていた松尾さんにいつか書いていただきたいと思っていました。「嫌いな人に好きと言う~好きと言えなくて」のくだりを読んだ時は、新しいアプローチだなとハッとさせられました。甘い言葉で直接好きと言わなくても、歌詞の主人公が相手を好きだということがいじらしいくらいに伝わる歌詞なんですよね。
自分で書いた言葉はどうつくろっても自分の歌にしかなりませんが、今回のようにドラマ主題歌を前提に他者に書いていただいた歌詞なので過剰な演出感を排除するよう細心の注意を払いました。今回は他の曲もそうなんですが、完成度が高い歌ではなく味わいのあるものを基準にボーカルトラックを選んでいます。
歌い始めに「つくり笑い」という言葉が出てくるところから、証明写真というモチーフが浮かび監督と密に話し合いました。映像の中の証明写真機は美術さんが作ってくれたもの。なので、被写体第1号は私です(笑)。
この曲はイントロもほとんどなく、始まったらずっと歌い続けるんです。キーも高くレンジも広めですから、最初から飛ばしすぎると続かなくなると思うので、徐々に気持ちを高めていってください。サビはずっと高音が続くので、2番目のサビまでを乗り切れるかどうかがカギですね。高音は声量で出すというより、むしろ声量を抑えめにして頭の奥で歌うイメージで。その方が艶っぽさや色気が出せるんじゃないでしょうか。
はい。事務的なやりとりだけで依頼したくなかったので、直接お会いしたりお手紙を書いたりしてできる限りこちらの誠意が伝わるようにしました。今大注目のバンド、King Gnuの常田大希さんに『Overflow』という楽曲を作っていただいたのですが、もともとインディーズで活躍されている時から聴いていて「凄い同世代が出てきたな」ってリスペクトしていて。お手紙も書きましたが、ライブを拝見して、楽屋でご挨拶する際にも「作ってください」と直接思いを伝えました。常田さんは私に対してバラードやクールなイメージを持っていたみたいで、「King Gnuのアッパーなエッセンスをそのままください」と伝えたら 少し意外だったみたいですね。
その通りです。小谷美紗子さんから『JIKU』という楽曲を受け取った時、「こんなふうに私を見ながら一緒にご飯を食べていたのかな?」と思い、ちょっとショックを受けつつ(笑)、「よく見てらっしゃるな」と愛を感じて。みなさんが私のために心を込めて書いたラブレターを受け取ったような気持ちなんです。
『Neon Nights』は相対性理論の永井聖一さんによるものですが、以前から私に曲を書きたいと言ってくださっていたのでようやく実現できました。最初に聴いた印象は、ラメ感が強いな、と。でも、それを失くしたらこの曲の良さも損なわれてしまうと思いました。歌詞を“僕”の目線にしていただいたことで、男の子の言葉にできない切なさが歌に込められたんじゃないかなと思います。
『Spark』は、メロディラインや歌唱法で今までにない自分が出せているのかなって。他者と作ることで自分の中にたまっていく感覚を、自作の曲で“下ろす”みたいなところはあったかもしれません。自分の声がどう響くか一番知ってるのは自分だし、どう歌えば他とは違う歌になるか熟知しているから新たな挑戦もしやすくなる。ある意味で、自分とのDUOなのかなって。
今作は、どの曲もメインディッシュのように濃密です。歌で一本筋を通さなければ、単なる豪華な寄せ集めになってしまうと思ったので、できる限り同じスタジオで同じエンジニアさん、同じマイクを使い同じ空気感を閉じ込めたつもりです。声という私の軸があるからこそ、何かとのDUOであることが伝わりやすくなっていると思います。
TEXT:Yuko Kitsukawa
約1年2カ月振りとなる6thアルバム。テレビ朝日系4月木曜ドラマ『緊急取調室』主題歌『Prime Numbers』をはじめ、『もし君を許せたら』などタイアップ4曲を含む全12曲を収録。バラエティに富んだ作家陣による楽曲提供により、新たな一面も感じられる1枚だ。
Colourful Records/ビクターエンタテインメント
[4/17発売]楽曲タイトル | 歌詞 | マイうた |
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Prime Numbers | 歌詞 | マイうた |
Overflow | 歌詞 | マイうた |
JIKU | 歌詞 | マイうた |
Neon Nights | 歌詞 | マイうた |
Spark | 歌詞 | マイうた |