“広義のフリーランス” 安倍昭恵・総理夫人が語る「これからの働き方に期待すること」とは

“広義のフリーランス” 安倍昭恵・総理夫人が語る「これからの働き方に期待すること」とは
ファーストレディーとして多忙なスケジュールのなか公務をこなす傍ら、自ら食や環境について考えるプロジェクトを発足したり、神田に居酒屋を開いたりと、個人の活動も精力的に行う安倍昭恵・首相夫人。 今回は、去る3月23日(水)に、渋谷ヒカリエにて開催された「Lancer of the Year 2016」で行われた基調講演で、彼女が語った言葉をご紹介いたします。 女性として、総理夫人として様々な経験と併せて彼女が語った、「これからの働き方に期待すること」とはどのようなものなのでしょうか。
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安倍首相夫人 安倍昭恵の考える枠にとらわれないワークスタイル

有名、無名を問わず、インターネットを通じて誰しもが自ら情報を発信し、人とつながることができやすい時代になりました。物の売り買いはもちろん、自宅を宿として提供したり、自分の夢に共感し投資してくれる人を募ったりと、人とつながることが容易になった時代では、もはや働き方においても、場所や時間すらも自らのライフスタイルに合わせた選択ができるようになりつつあります。

公務のみに留まらず、自らのプロジェクトをも推進する安倍昭恵・総理夫人もまた、枠にとらわれないワークスタイルを送っている一人と言えるでしょう。

ただ、彼女は自ら世の中に情報を発信することについて「必ずしも賛同の声だけが返ってくるわけではない」と語ります。にもかかわらず、なぜ彼女は発信を続けていくのでしょうか。

これまで自らの好奇心を追究してきた彼女だからこそ経験した「自ら情報を発信すること」、そして「新しい働き方」について語っていただきました。ここからは、『Lancer of the Year 2016』での基調講演の模様をお届けします。

“総理夫人”として発言をすることは、時に批判の対象になることもある

最初、主人が総理大臣になったのは2006年、今から10年前でした。今から10年前というと私は44歳で若かったですし、小泉さんの就任中の5年間は総理夫人がいなかったということもあって、いろんなことを週刊誌等で書かれました。

いいことも悪いことも書かれましたが、それに対して、自分で反論する術がなかったので、ブログ(「安部昭恵のスマイルトーク」)を始めたんですね。今だと、別にブログって当たり前のことなんですけども、当時は“総理大臣夫人がブログをやる”ということが珍しく、大変な話題になりました。

当時ブログで、有名な方の家に行って食事をしていたりとか、大使夫人たちとのお食事会というちょっと豪華なところに行ったことを話題にすると、「何という贅沢をしているんだ」といった批判が週刊誌にまで取り上げられてしまったりということもありました。また、そのブログの内容をアップする前には、総務省の方が、全部チェックをして「てにをは」を直す、問題があるところは削除される。私はとても嫌だったんですけれども、でも、それが当たり前の時代でした。

批判もあるけど、自分の声を直接発信できることは“いい世の中”であるということ

今は、自分で直接Facebookを毎日更新しています。私は誰にも相談をせずに、そのままアップすることができていますが、それに対して、いろんな批判コメントも入ってきます。けど、皆さんが自由にコメントをしていただけるようになったことで、時代は大きく変わったんだなと思っています。

そして、直接いろんな方とつながれるようになり、私も直接メッセージをお返ししいく中で、最初は私に批判をしていたけれども、やり取りを交わす中でファンになってくれて、リアルに飲みに行ったりするような人たちも出てきました。心ない言葉が耳に入ることもありますが、でも、そうやって人と人がつながることができる世の中は、いい世の中だなというふうに思っています。

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ビジョンに向かって、まだ「目に見えないもの」を形にする力がこれからの世の中には必要

今年の私のテーマは『目に見えないものを感じる力を養う』ということです。今までは、物質的な「目に見えるもの」が大事だと思ってきた人たちが多かったと感じていますが、今は流れが変わってきていて「まだ形がない、目に見えないもの」をいかにつかみ取るかというのが、とても大事な世の中になってくると私は思っています。

2016年3月19日から21日までは、沖縄でG1サミットという、ベンチャー起業家や、スポーツ選手という今の世の中の中心にいる人が集まって、「これからの世の中を、どうよくしていくか」という議論をしたんです。そこには、秋好社長も来られていて、3日間ご一緒させていただきました。

それぞれのビジョンに向かってどんどん突っ走っていく人たちがいるのを目の当たりにしたことで、私もまだ形になっていない「目に見えないもの」を見極める力を養っていきたいなと感じました。

総理夫人でありながら「神田のお店の女将」もこなす、“広義のフリーランス”・昭恵夫人の活動とは?

総理夫人という立場上、公務として主人と一緒に海外に行ったり、海外からのお客様をお迎えしたり、5月のサミットでの夫人プログラムを考えたりというお仕事をしていますけれども、それ以外に、先ほどご紹介いただいた「UZU」というお店を神田でやっております。

そこでは、2011年から私が作っている無農薬のお米を食べていただいたり、あるいは、去年から作り始めたお酒を飲んでいただいたりしています。総理夫人がお酒を出す店をやるということで、最初は、周りの人たちにも反対されましたし、週刊誌でも批判をされました。

「神田の裏路地の居酒屋の女将に成り下がったアッキー」といったタイトルがどーんと週刊誌に出まして、そのお店の前でお掃除をしている姿であったりとか、私がお店でお酒を飲んではいけないというふうに言われていたので、帰りにコンビニでビールを買っているところを写真に撮られて、それが週刊誌に載ったりもしました。

去年の10月で丸3年が経ったんですけれど、3年の間で徐々に世の中も変わってきたのか、また、きちんとした店の運営をしているので認知をしていただいたのか、今では、多くのお客様に来ていただき、去年は、ミッシェル・オバマ夫人にも、日本に来られたときに来ていただいて、そこでお迎えをすることができました。

そして、女性のために働き方や教育のあり方を考える「UZUの学校」というのもやっているんですけど、次は「UZUハウス」というのを下関に作ることにしました。ちょっとチラシを配らせていただいたと思いますけれども、そこでは、ゲストハウスと、カフェと、シェアオフィスと、あと、イベントスペースがあったりという複合施設で、6階建ての、関門海峡を見渡せる、すごい、いい立地のところに作ることになっています。

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自分で場所やライフスタイルを決める「働き方」があってもいい

山口県から東京に来て、設計事務所をしていた人が、東京の設計事務所を閉めて、そして、下関に帰るという決意をしました。その人は「地元のために何かやりたい、育ててもらった下関のためにお返しをしたい」と考え、東京で成功していたにもかかわらず、40歳で山口県に帰る決意をされたそうです。

大学を卒業して、大手企業への就職を目指すのもいいと思います。ですが、これからの時代は、住環境は東京にいるよりも寧ろ広く、豊かな自然に恵まれた地方に住んで、「自分の好きなことをしながら生活する人生」がかっこいいんだ、と多くの方が考える時代になってもらいたいなと思っています。

まさに、この会場にいるフリーランスの皆さんがそれを実現されていらっしゃって、ランサーズがそのお手伝いをしているわけですよね。これから、また人の価値観というものが、大きく変わっていくのでしょう。そしてその動きの中で、ランサーズが先駆者であられると思いますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。私個人も、政府としても、いい世の中になるために、これから頑張ってまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

「総理夫人」であるからこそ味わった経験を踏まえ、一言一言丁寧に語っていく姿が印象的だった、昭恵夫人。会場に出席したフリーランスとも気さくに交流する姿からは、枠にとらわれない彼女の自由な人柄が感じられました。公務のみならず、個人の活動を通して自らの好奇心を積極的に追究していく彼女もまた、「新しい働き方」を体現する一人なのかもしれません。
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