2月中旬、筆者と面会した際の中国人美女。新型コロナウイルス流行前から医薬品の個人輸入代行を行っていた

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取材・文:奥窪優木 

完売・品薄続出なのに、在庫を確保できる“裏ルート”を告白

2月中旬、筆者と面会した際の中国人美女。新型コロナウイルス流行前から医薬品の個人輸入代行を行っていた

「定価1000円未満の不織布(ふしょくふ)マスクを1箱6000円で転売しています。1日に平均100~200箱、調子がいい日は200箱以上売れます。新型コロナウイルスが流行してから2000万円は稼ぎましたよ。こんなにボロい商売はありません」

 女優の木村文乃に似た30歳の中国人美女は悪びれることもなくそう語った。

〈マスク完売しました〉

 今、日本中のドラッグストアの店頭にそんな告知が張り出されている。新型コロナウイルスが猛威を振るう中、マスクの品薄状態は当面続く見込みだ。

 このマスク不足に拍車をかけているのが、混乱に乗じてひと儲けすることを企む人間による転売行為だ。彼らに買い占められたマスクは、フリマアプリなどに定価の5~10倍で出品されている。

 なかにはケタ違いの稼ぎを叩き出す者もいる。それが冒頭の中国人美女である。筆者は「マスクを大量購入したい」と申し出てこの美女と接触。彼女は、現在のマスク不足の状況下でも在庫を確保できる理由を淡々と語り始めた。

「私は美容用品や医薬品の個人輸入代行会社を経営しています。だから、医療用品を扱う販売業者とも以前から付き合いがある。マスクは医療業界に優先的に供給されるので、ウチは医療用品の販売業者から横流ししてもらっているんです。

 小売店でマスクが品薄になり始めた1月中旬時点で、そうしたルートから仕入れたマスクを転売するようになりました。初めは中国人向けに売っていましたが、今は国際郵便が滞り始めたので日本で捌(さば)いているんです。在日の同胞だけでなく、日本人の転売業者とも取引がある。あなたも転売業者でしょ? 100箱を40万円で売りますよ。どうですか?」

 筆者は「考えておく」と切り上げようとしたが、彼女はさらにまくしたてる。

「日本はこれから花粉シーズンだし、メルカリに出品すれば絶対儲かるヨ! 要不要(ヤオブヤオ)!?(いるの? いらないの!?)」

 つかみかかりそうな勢いで畳み掛ける彼女。何とか逃げ帰った筆者は、次に別の中国人転売業者・X氏から話を聞いた。

「これまで紙オムツとか人気ブランドの限定アイテムとか、いろいろなものを転売してきたけど、マスクほど短期間で大量に儲かった商品はなかったヨ。なにせ、1ヵ月のうちに1000万円以上の売り上げがあったからネ。人件費や輸送費を差し引いてもザッと800万円は儲かった」

 X氏曰(いわ)く、彼の「勝因」は、初動の早さにあったという。

「当局が新型ウイルスの感染拡大を発表する前から、医師たちは『SARSに似た感染症が発生している』とSNSで警告していた。それを見て、『これは来る!』と直感したワタシは、ウィーチャット(微信)で『日本製マスク直送します』と呼びかけた。するとすごく反響があった。とくに人気だったのは子供用マスク。初めは定価1300円の60枚入りマスク1箱を4500円で売っていた。

 1月半ばを過ぎた頃から、『お一人様1箱まで』って制限する店が増えて仕入れが難しくなった。それに伴い中国人留学生をバイトとして使ったり、地方に買い出しに行ったりしなければならなくなったので、マスクも6000円に値上げした。それでも買いたいという人はいくらでもいた。2月に入ると、日本ではマスクが手に入らなくなったので、タイで売られている日本製マスクも買い占めて、全部で2000箱くらい売ったヨ!」

 店頭から姿を消したマスクは、実は転売業者の手元に大量に保管されている。いくらビジネスとはいえ、人々の生命を脅かしてまで行う転売行為は決して許されるべきではない。

中国人美女は仕入れたマスクを倉庫に保管している。医療用品販売業者が彼女に優先的に横流ししているという

東京近郊にある中国人美女の自宅はマスクで溢れ返っている。倉庫に入りきらなかった分を保管しているという

『メルカリ』で「マスク」と検索すると高額で転売されているマスクが次々と表示される

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