旧海軍の艦艇をモチーフにした人気ゲーム「艦隊これくしょん―艦これ―」のファンたちが「聖地」として由良神社(京都府宮津市由良)を訪れている。「聖地のためにできることはないか」。境内を清掃するファンが増え、地域住民との交流が生まれつつある。
艦これは女性に擬人化した艦艇で艦隊を編成する育成ゲーム。軽巡洋艦由良が基になった女性キャラクター「由良」が登場する。
同神社は軽巡洋艦由良の艦内神社に分霊した歴史を持つ。境内には「献木 軍艦由良」と記された石碑が立ち、ファンが徐々に聖地巡礼するようになった。
7年前から足を運ぶ会社員はますけさん(30)=ハンドルネーム、神奈川県藤沢市=もその1人。軽巡洋艦由良が沈んだ10月25日に毎年、参拝してきた。「ゲームを通じて艦にまつわる歴史を知り、由良という地域への思いが強くなった」と話す。
同神社は常駐の神職がおらず、和貴宮神社(宮津市宮本)の禰宜(ねぎ)嶋谷知彦さん(40)が兼務。境内の清掃は地域住民が持ち回りで定期的に実施してきた。「有志で掃除させてほしい」。昨秋、はますけさんが申し出てツイッターで発信したことなどから清掃の輪が広がった。
清掃を通じてファンと地域住民らの縁が深まった。今月9日にはファン20人が社務所を借りて交流会を開催し、総代らが手入れした軽巡洋艦由良の写真などが展示された。前日には小雨が降る中、ファンたちが境内を清掃した。
嶋谷さんは「みんな、境内がきれいになって喜んでいる。『いつも掃除をしてくれるあの人たちになら社務所を使ってもらってもいい』と思うようになった」と語り、企画したはますけさんは「社務所に集まれたのは光栄なこと。これからも清掃など協力を続けたい」と力を込めた。