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 「核の番人」である国際原子力機関(IAEA)のトップで、昨年12月に就任したラファエル・グロッシ事務局長が26日、東京電力福島第一原発を視察した。敷地内の処理済み汚染水の処分方法について、「科学的に基づき、実証された手法であるべきだが、どんな方法でも批判にさらされるのは常だ」と述べた。

 グロッシ氏は、メルトダウンした1~3号機から100メートルほど離れた高台や、汚染水を処理する「多核種除去設備(ALPS(アルプス))」などを回った。東電の幹部社員を前にしたあいさつでは、経済産業省の小委員会が海洋放出と大気放出に絞り込んだ処分方法について、「今後、早い時期に日本政府からの決定があると思う。実際に始まれば、IAEAとしてはできる限り支援したい」と語った。

 その後、報道陣の取材に応じ、放出による風評被害への懸念について、「この基準であれば低いレベルであるとか発信することはできるが、人々の意見が変わるかはわからない」と述べた。

 グロッシ氏はアルゼンチン出身で、昨年7月に死去した天野之弥(ゆきや)氏の後任として就任した。(石塚広志)