★この対応のどこが先手先手なのだろうか。新型コロナウイルス対策に人口560万のシンガポールで6000億円、740万人の香港で3500億円、2354万人の台湾で2200億円、5000万人の韓国で2800億円。1億3000万の人口の日本は153億円。「国民の生命と財産を守る」と防衛装備の高額買い付けには力を入れる安倍政権の国民の価値はこの程度なのか。

★政府発表の基本方針にはがっかりした国民が多い。いずれも判断基準があいまいで「丸投げ」といわれているが、政府が指針を持たず税金の投入を渋るのはこの新型コロナウイルスから身を守るのは「自己責任」と認定しているからだろう。政府は危険地帯への渡航自粛を無視したジャーナリストらに自己責任と厳しいレッテルを貼ってきた。国民も政府の指示に従わなかったからと政府を支持したところもあった。だが記者としての使命の前に屈することはなかったが、今回の政府の指針で元々国民を信頼し守る気がこの政府にないことがわかる。

★厚労省が機能していないのではないか、また厚労省にすべてを押し付けているのではないかと26日には衆院予算委員会集中審議で野党の厳しい追及を内閣は受けたが、医師でもある立憲民主党・阿部知子はクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の対応を「これだけの感染者を出した。明らかに失敗だった」「出掛ける時は元気にクルーズ船に乗ったはずだ。船内の医療体制の問題として認識すべきだ」と政府を攻め立てた。また元首相・鳩山由紀夫は20日ツイッターで「船ごと隔離しようという発想は狭い船内で感染が拡大することはやむを得ないということのように思える。かわいそうでならない」と政府を批判、26日にも「コロナウイルスのまん延を防ぐ最良の手段は、怪しいと思ったらすぐに検査する体制を整えることではないのか」と国民の声を代弁した。だが、自己責任を強調する政府に責任がなくなるわけではない。やる気のない無能な政府にも責任は伴う。(K)※敬称略