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【社会】

野田虐待死母証言「被告正義感強い心愛を嫌った」 死亡前に「被告が冷水」

 千葉県野田市の小学四年栗原心愛(みあ)さん=当時(10)=を虐待死させたとして、傷害致死罪などに問われた父親勇一郎被告(42)の裁判員裁判の公判が二十七日、千葉地裁であり、二十六日に続き心愛さんの母親(33)の証人尋問が行われた。母親は、心愛さんの死亡直前の状況を詳細に語った。

 証言によると、勇一郎被告は二〇一九年一月二十三日夜、心愛さんを風呂場に立たせた。母親が翌二十四日午前十時ごろに起きた後、被告に呼ばれて浴室に行くと、心愛さんは肌着がぬれた状態でまだ立っていたという。

 午後一時ごろ、浴室では、被告が肌着姿の心愛さんの体に、ボウルにためた水をかけ続けていた。その後、被告が冷水シャワーを浴びせても心愛さんは反応しなくなった。夕方になると、「体を反らせるプロレス技のようなことをされ、とてもぐったりしていた」という。

 夜になると、浴室から「ドーン」と衝突音を一、二回聞いた。「心愛が動かない。息をしていない」と別室にいた母親を呼びに来た勇一郎被告は「落ち着かない様子だった」という。浴室では口を半開きにした心愛さんが倒れている姿を見て、「亡くなったのだと思った」と声を詰まらせた。

 二十一日の初公判で、勇一郎被告は傷害致死罪について争わないとしたが、シャワーや体を反らせるなど暴行の一部を否認。「暴れる心愛さんを押さえるためだった」とする弁護側の主張に対し、母親は「元気がなく、暴れられる状態ではなかった」と反論した。

 勇一郎被告の性格を問われると、「他人には自分を良く見せ、家族には自己中心的」とし、借金のためストレスをためていたと説明。虐待の理由を「正義感が強い心愛の性格そのものが気に入らなかったのだと思う」と述べ、「できる限り重い刑にしてほしい」と訴えた。

 

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