たまにはアーデさん家のリリルカさんが強くてもいいじゃない 作:ドロップ&キック
ベート・ローガほどではないが、リリルカ・アーデとリュー・リオンとの付き合いも結構古い。
いや、古いのもさることながら二人はかなり”
リリルカ・アーデは元々、リューの顔と名前くらいは彼女がアストレア・ファミリアにいた頃から知っていたらしい。
だが、その縁を決定的にしたのは……よりによって、
「はぁ~……まさか、こんなシーンに出くわすとは思いませんでしたよ」
それまで遠目でチラリとダンジョンで見ることがある程度だったリューをしっかりと瞼に焼き付けることとなったシーン……それは”18階層”で遺品である武器を墓標に使い、仲間達を弔ってる姿だった。
「何者っ!?」
深すぎる闇が蟠る……憎悪と怨念が渦巻く吊りあがった瞳に、竦むような感覚を覚えながらもリリルカ・アーデは両手をあげ、
「ソーマ・ファミリア所属のリリルカ・アーデ。ソロでしか潜れない、ただのしがない冒険者ですよ」
その日、リリルカは”平原の主”との戦いでやせ細った戦力を完全に回復したヴィーザル・ファミリアの中層アタックに同行していた。
そして、休憩中に”
リリルカは聡い。
ダンジョンの中とは思えない美しくも静かなこの場所で、半ば朽ちた武具を地面に突き刺す意味を理解できないわけはなかった。
「何があったかは聞きませんが……回収する遺品はまだあるんですか?」
「……ある」
短くそう返したリューにリリルカはため息一つを突いて、
「ならいきましょう。リリが言えた義理じゃないかもしれませんが、盗難にでもあったら目も当てられない」
「……どうして?」
その言葉の意味くらいわかる。
『何の関係もないお前がなぜ?』ということだろうと。
「さあ。強いて言うなら、きっと……」
リリルカは考える。
なぜ、自分がこんな一文の得にもならないようなことをしようとしてるのかを。
「きっと、リリは貴女が羨ましいんです。リュー・リオン」
「……?」
「仲間を弔うためにそんな
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ただ、ダンジョンの中の僅かな邂逅……二人はきっとそう思っていた。
リリルカにとっては特に理由もない、ただし彼女にしては珍しいお節介だった。
リュー・リオンは何でリリルカの提案を受諾したのか、今でも上手く説明できない。
ただ、特に意味もなく二人は出会った。ただの偶然のはずだった……だが、再会は思ったよりも早かった。
「これはまたなんとも」
いつものようにソーマ・ファミリアに帰らず、ダイダロス通りにある
そう、見覚えのある若いエルフが見知らぬヒューマンの心臓に刃を突きたてる瞬間を。
(これは”発展アビリティ”が仇になりましたか……)
”平原の主”討伐に参加し、ヴィーザル・ファミリアではないもののその一員として戦ったリリルカは、誰にも知られずLv2冒険者へとランクアップを果たしていた。
本来、ソーマ・ファミリアではランクアップどころかステイタス更新さえ有料、それも高額なはずだが……リリルカはある出来事から、秘密のうちに神ソーマの寵愛を受ける身となっていた。
それは言うならば団長のザニスですら知らない”秘密の関係”であった。
元々隠れ動くことを得意とするリリルカは、誰にも知られぬよう主神と逢瀬を重ね、こうして無事にLv2へと至ったのだが……
(”
血塗られた切っ先を向けられながらも彼女は酷く冷静で、
「リリの顔を覚えているのなら、刃を下ろしてくれると助かるんですけどね? リュー・リオン」
それは刺激的と言うには物騒すぎる再会だった。
発展アビリティ:”
・気配を希釈する
・認識を希薄化する
・効果は冒険者Lvに比例する
・任意に発動可能
リリルカ・アーデの内面や行動が反映された発展アビリティ。
今回のノルマ:リリの冒険者Lvが2であることをさりげなく暴露。
やはり平日は時間がなく、疲れでモチベが上がりにくいです(--
リューさんとの出会いは、平和的……とは言いがたかった模様。