たまにはアーデさん家のリリルカさんが強くてもいいじゃない 作:ドロップ&キック
読んでくれる方がいると嬉しい(^^
副団長をはじめ多くの犠牲を払いながらも、ヴィーザル・ファミリアはオラリオへと凱旋する。
街は新たな英雄の誕生に大きく沸きかえった。
当時のオラリオは、まだ
そのせいか、久々の”偉業”と呼んで差し支えの無い明るい話題に人々は飛びつき、大いに喜び喝采し、半ばお祭り状態でヴィーザル・ファミリアの凱旋を称えた。
そして寡黙な男神は、ただ『よくやった』の一言で彼らを迎えたのだった。
☆☆☆
神々もその偉業を認め、Lv4へとランクアップを果たしたベートに”
一族でただ一人生き残り、それでも再び立ち上がり群れを率いて苦難に立ち向かった彼こそ、その名を名乗るに相応しいと。
神話のアセナはメスの狼だが、神々の間ではそれは些細な事と判断されたようだ。
性別よりもベートの生き方こそ、まさにアセナ的であると評された。
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その後、ロキ・ファミリアと共同戦線を張り
また、ヴィーザル・ファミリアはその高めた名声の効果もあり、入団希望者に溢れた。
ファミリアと言う群れを率いる
そしてベートは……良い意味で変わらなかった。
確かに大切な者、かけがえのない者は失った。
だが、それでも感謝の言葉を遺し彼女は逝った。
後を……遺された者を頼むと仲間たちは告げて逝った。
傷は簡単には癒えないかもしれない。
もしかしたら一生消えない
だが、彼には共に戦った
ベートは、先に天へと旅立った”家族”達に花を手向けながら願う。
『いつか俺もそっちに逝くだろうが……その時まで精々楽しくやってろや』
ベートは決して散っていった命を忘れない。
だが、それは過去を引き摺ることではない。
彼はちゃんと前を向き、今日も先頭を走り
それが、長としての正しい姿であると信じて。
☆☆☆
さて、時間は再び現在へと戻る……
”ひょいぱく”
「ふむ。けっこういけるじゃねえか」
リリルカの注文した山盛りのから揚げをつまみ食いするベートに、
「ローガさん、お行儀悪いですよ?」
「細かいことを気にすんじゃねーよ。今更、テーブルマナーだのなんだのを気にするようなお上品な店でもねえだろ?」
「それはそうですが……」
”ヒュン”
だが、どこか暢気そうな雰囲気の中で、唐突にベートの顔面へとテーブルナイフが飛んでくる!
「おっと」
”ぴっ”
だが、彼は何の苦も無く人差し指と中指の間に挟んで止め、
「おいおい、危ねえだろ?」
「失礼、お客様。手が滑りました」
『どんな手の滑り方をすればこうなるんだ?』と常人なら問い詰めたくなるだろうが……だが、ベートも彼の視線の先にいた”ウエイトレス服に身を包んだスレンダーな女性”も生憎と常人とはかけ離れた存在だった。
「ああ、そういえばまだ注文を承ってませんでしたね? なら、まだお客様未満と言うことで問題ないです」
その挑発と捉えられても不思議じゃない言い回しにベートはにやりと笑い、
「鼻っ柱の強さは相変わらずじゃねえか。安心したぜ、”腐れエルフ”」
「そちらこそ、”
彼の視線の先にいたエルフ少女の名は”リュー・リオン”。
”豊穣の女主人”の店員であり、かつてはギルドのブラックリストにその名を連ねた元”
付け加えれば……リリルカの古い
今回のノルマ:ベートさんにオリジナルの二つ名を設定
アセナはテュルク神話に出てくる狼で、「敵に一族を殺されたった一人の少年を助けた」優しい狼です。
そしてアセナとその少年の子が敵を討つ……ぶっちゃけ、このシリーズの”平原の主”戦の元ネタです(^^