「光と闇どちらもある自然体の私」......最新アルバム『WE』で広がった家入レオの世界/<視線の先>インタビュー

2016/6/20 10:20

MC・荘口彰久で送る「Yahoo!チケット」ライブトークに、当時17歳だった1stアルバムリリース時から約4年ぶりに家入レオがゲスト出演。10代の内面にある鬱屈した感情を歌い上げていた家入だが、7月6日リリースの最新アルバム『WE』では、21歳となった家入が果敢に他者とのコラボレーションに挑み、急成長を遂げている。9月から行われる『家入レオ 5th LIVE Tour 2016 ~WE|ME~』では、その大人のしなやかさも身につけた姿を見せる。

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9月からツアー『家入レオ 5th LIVE Tour 2016 ~WE|ME~』がスタートする家入レオ




■"大人嫌い"の家入レオが成長

荘口彰久(以下荘口): 「レオさんのブログを見たら、箱根に行って好きな時間を過ごせて"大人ってなかなかいい。素晴らしい!"と書いてあったから、昔と比べてずいぶん変わったなと思いましたよ」

家入: 「16歳で東京に出てきて17歳でデビューが決まったので、大勢いる大人たちの何を信用していいのか、当時はわからなかったんですよ。話半分くらいで聞いて、自分の思いを大事にしていました」

荘口: 「当時は大嫌いだった大人に、自分が今なっているという状態ですよね。今までのアルバムは、自身の名前『LEO』や自分の年齢『20』 と名づけていたけれど、最新アルバムのタイトルは『WE』で、急に"私たち"と意味が他者を含んで広がりましたね。今まではご自身の世界観が強かったんですが、何か変わったきっかけはありますか?」

家入: 「デビュー5年目に入って、変化していくのも私自身だと受け入れられるようになってから変わりましたね。『君がくれた夏』という曲をリリースした時期に、デビューから一緒にやってきたスタッフが入れ替わったことも大きく影響しています。そのときは、いろんな人に意見されることが受け入れられなくて、言い合いばかりでした。でも、『プライベートとシンガーの家入レオを分けなくても、自然体のレオちゃんも本当に魅力的だよ』と言ってもらえたことがすごく嬉しくて、もっとパーソナルなことも曲にしていこうと思ったんです。"考え過ぎずに自分のやりたいように生きよう"と思ってパっと周りを見たら、こんなに素敵なスタッフさんに囲まれていると気づきました。そして一番励みになるのは、応援してくれるファンがいることですね。

■最新アルバムで、自ら起こした化学反応

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9月からツアー『家入レオ 5th LIVE Tour 2016 ~WE|ME~』がスタートする家入レオ


家入: 「アルバム『WE』は、東京に出てきて一緒に音作りしたいと思った人たちと作りました。私はビートルズが好きなので、いつの時代に聞いても古くないものを残したいと思っているんです。でも最近、インディーズ系の音楽をすごくカッコいいなと思ったことにも影響されて、私は2016年に音を出しているんだから、今のエッセンスもどんどん入れていこうと思いました。今の私をおもいっきりぶつけられて音楽を楽しみながら作れたし、すごく家入レオの世界が広がったアルバムです」

荘口: 「以前は、人から自分が料理されることに抵抗があったんですか?」

家入: 「作曲家/プロデューサーの多保孝一さんとの出会いが大きくて、計算外のことも楽しめるようになりました。多保さんは、『レオちゃんがどうしたいのか、もっと言って』と私の意見を尊重してくれて、発言の真意を掴もうとしてくれるのですごく嬉しかったです」

荘口: 「僕は多保さんが越智志帆さんのソロユニット、Superflyにメンバーとして所属していたときに1回だけお会いしてるんです。音のイメージからすごくエッジの効いた人物だと思っていたら、ご本人はすごく優しい方ですよね」

家入: 「意見の伝え方も上手で本当に優しい方です。音に対しては厳しいですけどね(笑)。お互いにできあがった曲をちゃんと分析して、単純なノリでは作らないです。本当に勉強になりました」

荘口: 「シングル『僕たちの未来』は、日本テレビ系ドラマ『お迎えデス。』の主題歌ですが、ドラマ内容を知った上で作った曲ですか?」

家入: 「ドラマのプロデューサーさんとお会いして、『命がテーマのドラマなので希望を感じる曲をお願いします』と言われました。そこで、自分にとっての希望は"ファンの人たち"と自然に出てきたんです。今まではずっと1人でこもって歌詞を書いていたので、自分でもびっくりしちゃいました」

荘口: 「この曲がアルバム『WE』の背骨になって、アルバム制作が突き進んでいった感じですか?」

家入: 「そうですね。こんなレオもいるんだと意外に思われる曲もいっぱいありますよ」

荘口: 「サウンド的には、どんなチャンレジをしたんですか?」

家入: 「今回は、迷わずどんどんやりました。もう解散しちゃったんですけど、ロック・バンドのGalileo Galileiが大好きで、クリストファー・チュウ(米ロック・バンド、POP ETCの中心メンバー)さんがプロデュースしているアルバムを聞いて、クリストファーさんにアレンジをお願いしました。それから、サカナクションのライブで見たドラムンベースがすごくカッコいいなと思って、アルバムに収録されている新曲『恍惚』で初挑戦しています」

荘口: 「人とのコラボレーションを楽しめようになったんですね」

■"光と闇"どちらも家入レオの自然体

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9月からツアー『家入レオ 5th LIVE Tour 2016 ~WE|ME~』がスタートする家入レオ


家入: 「人間誰しも光と闇の部分があるじゃないですか。私はデビュー当時から、闇の部分がピックアップされ過ぎて、『友達とパンケーキを食べに行くんです』と言うだけで、『家入レオが、パンケーキ食べるの?』と驚かれたりして(笑)。そういう反応は逆にこちらも驚いたし、私には光の部分もちゃんとあるんだと知ってもらいたいと思いました。光と闇どちらもある自然体の私が、最新アルバムでは表現されています」

荘口: 「アルバム『WE』は1曲目からこれまでのアルバムと違いますね。聞く度に違う扉が見えるなと思いました」

家入: 「インディーズバンドのライブに行ったときに、同世代でこんなカッコいいことやってる人達がいるんだと思って、すごくショックを受けて何日か引きずっていたんです。それも多保さんにすぐ見破られて(笑)、『インディーズの音楽はカッコいいけど、カッコいいものを貫き通すより、カッコいいものをみんなにわかる形にする方が実は難しいことなんだよ。だからJ-POPにもっと誇りを持っていいんだよ』と言われたときに、自分の中でピシャっとピースがはまった気がしました」

荘口: 「多保さん自身が、年代問わずいろんな人たちに聞いてもらえて、しかもマニアックにも楽しめる音楽をずっと作ってきていますよね」

家入: 「私もちゃんとエッジの効いたことをしつつ、ちゃんとみんなに伝わるような曲を作っていこうと思いました。私は誇りを持ってやっていくんだと思って、今回は攻めの姿勢で作っています」

■お客さんとの一体感を重要視するツアーに期待!

荘口: 「『WE』の冒頭は、勢いのある曲が続いてツアーのオープニングから見ているようでしたね。アルバム『WE』を引っ提げて9月17日からは5回目のツアーも始まりますが、このアルバムを聞いて、今日の話を聞くとツアーにも期待できそうですね」

家入: 「ライブは、何よりもお客さんともっと盛り上がりたいですね。自分の陰と陽は強みだと思っているので、お客さんの気持ちをあっちこっち引っ張って、目を離せないようなセットリストにしたいです。『WE』を聴いてくださる方は、この部分はライブで自分が任せられたパートなんだなと意識して(笑)、一緒に参加するつもりでライブに来てほしいです。最近ライブにすごく行っていて、ロック・バンドThe fin.がすごく良かったですね。海外でもライブをやっているし、お酒飲んでラフに聴いてよというスタンスもカッコよくて好きです」

荘口: 「いろんなことを吸収したい時期なんですかね。インタビューが始まる前に映画の話もたくさんしていたし、良いと思ったところを自分のものにしているんだろうなと。最新アルバムも良いと思った人とコラボレーションすると、いろんなことを吸収してさらに自分が成長できますよね。"良いな"と思ったことを気負わず口に出せて、行動に起こせるところが素晴らしいと思います」

家入: 「ありがとうございます。うれしいです!」

荘口: 「良い意味でずいぶん変化があったレオさんですが、今の自分がデビュー当時の自分と話せるとしたら、何と伝えたいですか?」

家入: 「『生き抜け』ですね。10代は自分でなかなか環境を選べないけれど、そこを生き抜いた先には自由に自分で選べる世界があるからと。今となっては、あの時が懐かしいといつか笑い話にできるときがくると思いますね。今までは、"1秒でも1分でも早く自分が見たい景色を目にしたい"と思って音楽をやっていたんですけど、多保さんと一緒に曲作りをするようになって、"いつかたどり着けたらいいな"という変な力が抜けました」

荘口: 「今の話も『WE』の内容に繋がっていきますよね。最後に、ファンの方へメッセージをお願いします」

家入: 「7月6日にアルバム『WE』がリリースされます。私はこれからもずっとこの場所で音楽を続けていきたいと思っているので、みんなが悲しいときだけでも気が向いたときだけでもいいので、私のいる場所に戻ってきてくれるといいなと思っています。ぜひ最新アルバム『WE』を聴いてください」

(インタビュー/荘口彰久、文/トレンドニュース)

「僕たちの未来」(土曜ドラマ『お迎えデス。』主題歌)>>


家入レオ 「君がくれた夏」(ライブ ver.)>>



◆家入レオ プロフィール
福岡出身。13歳で音楽塾ヴォイスの門を叩き、青春期ならではの叫び・葛藤を爆発させた「サブリナ」を完成させた15歳の時、音楽の道で生きていくことを決意。翌年単身上京。 都内の高校へ通いながら、2012年2月メジャー・デビューを果たし、1stアルバム「LEO」がオリコン2週連続2位を記録。第54回日本レコード大賞最優秀新人賞他数多くの新人賞を受賞。7月6日には、大ヒットを記録した「君がくれた夏」から最新シングル「僕たちの未来」までを収録したニューアルバム『WE』をリリース。10代の瑞々しい感性はそのままに、大人の女性シンガーとして成長著しい。
座右の銘は、「凛として花一輪」"道端に咲いている花はどんな人が来ても凛として咲いている。自分らしくいればきっといつか誰かが見つけてくれるよ"という意味。

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作品には、関わる人の想いや意志が必ず存在する。表舞台を飾る「演者・アーティスト」、裏を支える「クリエイター、製作者」、これから輝く「未来 のエンタメ人」。それぞれの立場にスポットをあてたコーナー<視線の先>を展開。インタビューを通してエンタメ表現者たちの作品に対する想いや自身の生き 方、業界を見据えた考えを読者にお届けします。