Interview

家入レオ ニューシングルで描いた虚無感とは? そして“悩んでいたい”という音楽への想いとは?

家入レオ ニューシングルで描いた虚無感とは? そして“悩んでいたい”という音楽への想いとは?

今の時代って、その人を愛してるようでいて、実は自分を愛してる人って、私も含めてすごく多いと思うから。

でもこの歌詞、とても心に残りますね。

“また誰かを 愛せるかな?”って自分に問うてる時点で、この主人公は誰のことも許せてないじゃないですか。でも夜明け前が一番暗いのと一緒で、そこまで闇が深くなった心であっても、それに耐えながら前に進んでいけば、その先に……みたいな。

何度も聴いているうちに、もしかしてこの人が許していないの自分なんじゃないかな、と思うようになりました。

そう、ほんとにそう。だから“僕は僕を 許せるかな?”っていう言葉をどうしても入れて欲しかったんです。今の時代って、その人を愛してるようでいて、実は自分を愛してる人って、私も含めてすごく多いと思うから。そういう人間の業みたいなものも表現してる曲なので、この言葉は絶対に歌いたかったんです。

そういうテーマの曲だと、ボーカルも難しかったのでは?

難しかったですね。この主人公は“生きてくんだろう?”って言ってる、ってことはある意味、もう生きるのをやめたいってことじゃないですか。だから私も何も求めない、欲さない、メロや歌詞を引きとめず、自分の中をただ通過させていくような、無の境地で歌おうと思って。“どうして 憎むほどに~”のDメロだけは唯一「それでもやっぱり……」っていう気持ちを出してますけど、そこ以外はとにかく淡々と無表情に歌ってます。マイナス196度くらいの世界で歌ってる気持ちでした。

そういう感じのボーカルって今までありました?

ないですね。『Silly』も何かを求めている暗さなので。この曲は何もいらないって言っちゃってる感じですから。

メガネ姿はできるだけ見られたくないんですけど、それを受け入れてくれる人たちがいるっていうのも、くすぐったいけど嬉しいことだなと思って。

続く『めがね』はちょっとコミカル路線のラブソング。

これは『もし君を許せたら』と『あおぞら』が収録されることが決まってから、カップリング曲として書いた曲なんです。2曲とも心構えがないと聴けないような曲だから、もうちょっとラフな曲があったほうがいいかなと思って。メロディ自体は1年くらい前に家のピアノで作ったままにしてた曲なんですけど、収録するにあたってもう一回メロディを練りつつ歌詞を書きました。

歌詞のテーマなどは?

私、とても目が悪くって。乱視も強いんですね。なのでコンタクトレンズを取ったら何も見えないし、薄型レンズでメガネを作っても瓶底だから、それをかけると目がちっちゃくなっちゃって(笑)。メガネ姿はできるだけ見られたくないんですけど、それを受け入れてくれる人たちがいるっていうのも、くすぐったいけど嬉しいことだなと思って。っていうところから着想を得て作っていきました。主人公が女の子だと甘くなりすぎると思って、男の子を主人公にしました。

最近、自分のことを歌っている歌詞が少なくなってきたかもしれない。

そして、すでに配信でリリースされている『あおぞら』は、いきものがかりの水野良樹さんの作曲ですね。

この曲、実は1年くらい前からあって。でも、その時は、水野さんとご一緒するのは今このタイミングじゃないかも、という気がしていたんです。子供たちに向けた“ライオンのグータッチ”のお話をいただいたとき、老若男女みんなに愛されるメロディの、あの曲がすごくハマると思って。前はラブソングだったんですけど、ヒューマンなラブソングに書き直して完成させました。

素直に気持ちを重ねられる曲ですね。

水野さんの曲って誰かの前で歌うことによって曲がさらに育っていく、そのスピードがすごく速いんです。だからライブで大っきい曲になるというか。本当にみんながいい顔をしてくれるんですよね。笑ったり涙を流したり、そういうハートフルな空間を作る力があるメロディだと思います。

この曲は、またちょっと声の色が違いますね。

そうですね。よくこんな小っちゃい体で生きてるんだ~、すごい尊いな~っていう気持ちで歌ったんですけど、そういう歌い方をしたのは初めてだったかもしれない。なんだか最近、母性というものが少しずつ分かってきたような気がしてて(笑)。この曲はデビューしていなかったら絶対歌えていなかったし、こういう歌詞も書けなかったと思います。誰かの背中を少しでも押したい、って思わせてくれたみんなに出逢えたからこそかけた歌詞ですよね。でもそう思うと、最近、自分のことを歌っている歌詞が少なくなってきたかもしれない。

アレンジまで全部自分でやるアルバムもあるだろうし、メロディも歌詞も何も作らないアルバムもあるだろうし

なんだか、ここへきてまたいろいろ変化があるようですね。

そうなんです。『TIME』を作ってた頃は、誰が作った曲でもいい、いろんな人の楽曲を歌いたいっていうシンガー欲が強かったんですけど。今は自分で書いた曲は誰にも絞り出せないものだからこそ、曲を作るって大事なことだなって改めて思っていて。そういう気持ちの繰り返しなのかもって思うようになりました。だから私は3年後はシンガーやってて、5年後はシンガーソングライターやってて、10年後にもう一回シンガーに戻ってるじゃないけど、そういうタイプなのかもしれない。その時々で肩書きが変わる、というか。アレンジまで全部自分でやるアルバムもあるだろうし、メロディも歌詞も何も作らないアルバムもあるだろうし、みたいな。

正直でいいじゃないですか。

これまで自分ってなんだろっていろいろ思ってきたけど、その時々で変わるのが私かなって。だから次にリリースするアルバムとツアーで、また今と違うことを思うんでしょうね。そうやって、いっぱい音楽のことで悩んでいたいです、これからも。

そんなことを言われると、これから出てくる家入レオが作詞作曲した楽曲が嫌でも楽しみになりますね。

ぜひ楽しみにして欲しいです。きっとそこで今日と全然違うことを言ってるだろう私も、楽しみにして欲しいです(笑)。

その他の家入レオの作品はこちらへ

ライブ情報

ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2018
8月11日(土) 国営ひたち海浜公園

EXCITING SUMMER in WAJIKI 2018
8月13日(月) 大塚製薬徳島ワジキ工場 野外ステージ

その他の詳細などはオフィシャルサイトで

家入レオ

福岡出身。13歳で音楽塾ヴォイスの門を叩き、青春期ならではの叫び・葛藤を爆発させた「サブリナ」を完成させた15の時、音楽の道で生きていくことを決意。翌年単身上京。都内の高校へ通いながら、2012年2月メジャー・デビューを果たし、1stアルバム「LEO」がオリコン2週連続2位を記録。
第54回日本レコード大賞最優秀新人賞他数多くの新人賞を受賞。翌1月より開催の初ワンマンツアーは全公演即日完売に。
翌2013年春高校を卒業。以降数多くのドラマ主題歌やCMソングなどを担当。
昨年2月にはデビュー5周年を記念し初のベストアルバム「5th Anniversary Best」を発売。4月には同じく初の日本武道館公演「5th Anniversary Live at 日本武道館」を開催し、チケットは即時完売・大成功に収める。7月には13thシングル「ずっと、ふたりで」(日本テレビ系日曜ドラマ「愛してたって、秘密はある。」主題歌)を、9月には大原櫻子・藤原さくらとのコラボレーション楽曲「恋のはじまり」を配信限定でリリース。
今年2月21日には家入自身CM初出演となった「Relax」(「はじめてのClova WAVE 家入レオ(音楽)篇」CMソング/TBS系テレビ「CDTV」12月・1月度オープニングテーマ)などを収録した約1年7か月ぶりとなるニューアルバム「TIME」をリリースし、5月に「あおぞら」(フジテレビ系「ライオンのグータッチ」テーマソング)を配信限定でリリース。現在、全国ツアー“家入レオ6th Live Tour 2018 ~TIME~”を開催中で、8月1日には14枚目となるシングル「もし君を許せたら」をリリース。

オフィシャルサイト
https://leo-ieiri.com

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