鼻の病気
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鼻出血
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新生児・乳児の鼻閉と喘鳴
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【副鼻腔炎】

 副鼻腔炎は、鼻への細菌感染によって、副鼻腔の粘膜に炎症を生じた状態です。人間には、上顎洞、篩骨洞、蝶形骨洞、前頭洞という4つの副鼻腔があり、それぞれ鼻腔と小さな穴を通じて交通しています。鼻の粘膜に炎症を生じ、粘膜が腫れることで交通路が狭くなるあるいは塞がれてしまうと、それぞれの副鼻腔内に膿が溜まった状態になり、慢性化することになります。

 お子さんの副鼻腔炎では、以前と比較して重症型が減少し、鼻・副鼻腔の構造および機能が成熟する10歳頃に自然治癒する例が多くなっているようです。また、化膿型が減少し、アレルギー型が増加傾向を示しているとも言われています。一方で、鼻の奥にあるアデノイドの存在が副鼻腔炎の重症化・遷延化の原因となっている可能性や、鼻かみが不十分なことが症状を遷延化させている可能性があることも小児副鼻腔炎の特徴と言えます。さらに近年、多剤耐性菌が増加していることにも注意する必要があります。

 症状としては、鼻閉、鼻汁(粘性~膿性)、後鼻漏、いびき、頭痛、頭重感などが挙げられます。また、小児の慢性の咳や痰の原因として、副鼻腔が関与する副鼻腔気管支症候群も少なくありません。

 診断は、自覚症状に加えて、鼻の中の観察で粘膜の肥厚と中鼻道を中心に粘膿性の鼻漏を認めることで行います。必要に応じて、レントゲンやCTで上顎洞・篩骨洞を中心とした副鼻腔に陰影を確認することもあります。

 副鼻腔炎に対する治療としては、抗生剤や炎症を押さえる薬の内服、鼻の粘膜を収縮させる作用のある点鼻薬の投与に加えて、鼻汁の吸引処置、ネブライザーによる局所療法を併用します。鼻かみにより鼻汁を溜めないようにすることが重要であり、乳幼児で鼻かみが不十分となる例では、市販の「鼻吸い器具」の利用が考えられます。学童期以降では、鼻腔側壁から上顎洞内に針を刺して洗浄し、さらに薬液を注入する上顎洞穿刺洗浄療法も可能となります。手術は、重症例を除き小児期に行うことはほとんどなく、行う場合でも学童期以降に、侵襲の少ない内視鏡下手術で行うことが例外的にある程度です。