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このたび、「山写」氏のヒマラヤ登山歴が疑われ、ネット上で炎上状態にあることを知りました。私は山写氏と直接面識があり、ツイッターでは相互フォローもしている関係にあります。これまで信頼して交流してきただけに、今般の状況に少なからず当惑しております。
まずは事実確認が必要と考え、山写氏本人に連絡を取りました。しかしその返答は要領を得ないもので、ご本人からのなんらかの反論ないし弁明の発表もないまま2週間が過ぎました。その後の再度の連絡にも返事はいただけず、さらには、当方で調べた資料でも山写氏の主張を裏付けるようなものは発見できず、大変残念ながら、疑念を晴らすのは困難であるという結論に達しました。
同時に、穂高岳山荘の代表である私が公に交流していたことが、山写氏の信頼形成の一端を担う結果となったであろうことに責任も感じております。このことについてはお詫びしなくてはなりません。申し訳ございませんでした。
以下、少し長くなりますが、交流の経緯などをご説明させていただきます。
私は、山写氏が平湯温泉観光協会に在籍していた頃、都市で開催された山岳関係のイベントにて知り合いました。
地元の温泉が、都市での山岳イベントに出展していることに驚いたことを覚えています。
挨拶を交わした際、山写氏は、登山で訪れる方に平湯温泉をもっと利用してほしいと語っておられました。
平湯温泉は私も幼い頃から訪れている温泉地で、穂高岳山荘へ至る登山口のひとつである新穂高と同じ奥飛騨温泉郷に属しております。以前は登山者のハブターミナルとして賑わっておりましたが、現在は上高地側に比べて訪れる方(特に登山者)の流れは少なく、地元の人間として少し寂しく感じておりました。ですので、山写氏の言葉は心強く感じました。
その後、平湯でお話する機会がありました。外部から来られたと聞き、こんな田舎の観光協会が外の人を雇えるほど余裕はないのではないかと疑問に感じ、失礼ながら「お給料などはどちらから発生しているのですか?」と尋ねました。すると山写氏は所属する海外の団体名をおっしゃり、「日本の山を調べてほしいとの意向があり、北アルプスの麓であるこちらへ来ている」と説明されました。
観光協会のウェブサイトや宿のチラシ等のリニューアルは、山写氏ご本人が写真提供からデザイン、コーディングまですべてお一人でされたとのことにも驚きました。地域には少ない現代的なデザインを、多くの作業量にもかかわらず、自分の手を動かして働いてくださる方だなと感じていました。「平湯に登山者を増やしたい」「ネイチャーや山岳の写真を志す若者がもっといたらいいと思っている」「宿のチラシや、ウェブのデザイン・色・写真に少し力を入れるだけで全然変わる」ともおっしゃっていました。
また、登山用品メーカーに平湯温泉とのコラボ協賛をお一人で提案して実現させたり、乗鞍岳登山道整備のクラウドファンディングを立ち上げたり、それにともなうメーカーさんの現地作業参加などもすべてご自分で交渉、調整したりなど、行動力と営業力にも長けた方だと拝見しておりました。
当時、「所属する団体ではヒマラヤなど海外山岳の写真を撮りに行く。ピークまで行くわけではない」旨おっしゃっていたと、記憶しています。
登山行動については、お話をうかがう限り、ソロ行動が多め、リスク高め、独自の登り方、体力でカバーする、そういったタイプとの印象を受けました。山岳で撮影をされる方は、荷物の重量や、特定の場所に長時間滞在する行動パターンなどが、一般の登山者とは少し異なるので、山写氏の言うことに特に不自然な印象は受けませんでした。
槍ヶ岳や涸沢などで撮影した写真を平湯の宿に飾っていたり、チラシに使用されたりしていたので、北アルプスの登山も問題なくされているようだと認識し、それ以上の登山歴についてはこちらから細かく問うようなこともありませんでした。私が産後すぐだったということもあり、実際に登山の現場でお会いすることもありませんでした。
初めてお会いしたときから2年ほどして、山写氏は平湯を離れられたようで、その後はたまにツイッター上で交流をさせていただく程度でしたが、昨年10月には久々に飛騨にいらっしゃるということを知り、数年ぶりに短時間ですがお会いしたりもしました。
以上が、山写氏との経緯になります。
この間、山写氏の登山実績やその他の経歴に疑いを持つことはなく、むしろ地域の活性化に尽力してくださったポジティブな印象しか私にはなかったというのが実情です。
今回、経歴詐称を指摘されていたひとりである山岳ライターの森山憲一氏とも私は付き合いがあることから、両者の間に入って場を設けることも山写氏には提案しました。もし誤解があるのならばそれを解き、あるいは、登山技量と実績を表すなんらかの証拠があればそれを示してもらう場が作れればと思ったのです。しかしこの提案についても山写氏から前向きな反応はいただけませんでした。
不正確な登山実績を公表することは、それを目指している方に混乱を生じさせたり、実際に挑戦された方の尊厳を貶めることにつながります。登山に携わるものとして、それは決してやってはいけないことだという認識を強く持っております。そして、山写氏ご本人もそのようなことをおっしゃっていただけに、今回のことは大変残念であり、悲しく思ってもいます。
冒頭でも述べましたが、穂高岳山荘代表の私が交流を持っていたことで、山写氏の世間的な信頼形成に一役買っていた結果になったこと、責任を感じ、あらためてお詫び申し上げます。
山写氏ご本人に対しては、今後、適切な立場の方に、自らの登山について評価していただく機会を、なるべく早く作られることを希望しております。