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スキマ時間に働く『ギグワーク』って?100万人超が利用...働く側・雇う側がギグワークするワケ

2020年02月25日(火)放送

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『ギグ(gig)』とは、ジャズミュージシャンなどが一晩限りの契約でライブ演奏に参加することを指す言葉ですが、転じて“単発契約でのアルバイト”のことを「ギグワーク」と呼びます。今、スマホ世代を中心に支持されていて、あるアプリでは、登録者は100万人を超え、受け入れる店舗数も1万店舗を超えているといいます。『働きたい時に働きたいだけ働きたい場所で働く』という、ちょいサキの働き方を取材しました。

100円ショップで1時間だけアルバイト

実際に「ギグワーク」をしている方に会うため、大阪・天王寺区にある100円ショップ「ワッツ天王寺アポロビル店」にやって来たMBSの辻憲太郎解説委員。お店には飲料水の品出しをしている男性がいました。大学1年生の長谷川峻生さん(20)、長谷川さんは隙間時間を利用して働いている「ギグワーカー」です。

取材した日の長谷川さんは1時間だけのアルバイトで、しかもこの店で働くのは初めてだそうです。長谷川さんはなぜ、一般的なアルバイトではなく、「超」短時間のギグワークを選んだのでしょうか。
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(辻解説委員)「ギグワークのメリットは?」
(長谷川さん)「大学でサークルとか色々やっていて、固定のバイトは時間が取られて厳しいので、今日みたいに空いている時間だけで働けるのがいいなと思っています。」
(辻解説委員)「サークルが優先?」
(長谷川さん)「そうですね。僕は優先したいんですけど、サークルをするにもお金がかかるので、どうしても働かないといけないので、自分の隙間時間を見つけて働くことができていいと思っています。」
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他にも様々なギグワークを経験してきた長谷川さんですが、お客さんの質問にも臨機応変に対応します。洗濯ネットの品出しをしていると、女性が商品について尋ねてきました。

   (女性)「大きいの(洗濯ネット)これ?」
(長谷川さん)「こちらは60cm×60cmですね。」
   (女性)「えらい大きいね。」
(長谷川さん)「丸型の35cmもあります。」
   (女性)「じゃあ、そうしようか。」
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長谷川さん、ショップ店員のように商品の説明を行っていました。びっくりした辻解説委員も思わず、長谷川さんに質問します。

(辻解説委員)「商品について聞かれていましたが、この店に入ってまだ30分ぐらいですよね。説明できちゃう?」
(長谷川さん)「今のはたまたま品出しをしながら、色々考えながら出していたので…自分の出来る範囲で頑張るという形ですね。」

わからないことがあればわかる人に聞くのがギグワークの基本です。時間も経験も、出来る範囲で無理せず働くことが、続ける秘訣だそうです。
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企業側は『ギグワーク』という働き方でもいいのでしょうか?

「普段は在籍しているアルバイトやパートで回っているんですけど、商売ですので繁閑の波がある。例えば売り場のリニューアルで大規模な模様替えをする時とか、突発的に人が必要な時にお手伝いに来て頂きたいという需要がありまして、その需要と(ギグワークが)ぴったりはまったという感じですね。」(ワッツ総務部 田中良太人事課長)

柔軟な働き方を実現した『Timee』

柔軟な働き方を可能にしたのはスマホアプリ『Timee(タイミー)』です。企業は働き手が欲しい時間や条件などを登録します。一方、働きたい人は希望の時間や場所などを検索し、条件があえばマッチング。面接や書類選考は一切無く、アルバイト当日にお店に向かうだけだといいます。
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このシステムを開発したタイミー創業者の一人、村上太一さん(22)。実は現役の大学生ですが、タイミーの関西支社長です。

「今は30代40代の登録者も徐々に増えてきているんですけど、最初は大学生向けにスタートしたサービスでした。大学生だからこそ、大学生目線で物事を見ることができますし。」(タイミ―関西支社 村上太一支社長)

現在100万人いる登録者のうち7割が20代。若者の支持を得るため、特にこだわったのが“入金のスピード”だといいます。

 (村上さん)「すぐ働けて、すぐお金がもらえたらいいよね、と。」
(辻解説委員)「入金も早い?」
 (村上さん)「働き終わったら1分ぐらいで入金される。」

アルバイト1時間終えて…「即金」されるシステム

実際、100円ショップで1時間のアルバイトを終えた長谷川さんも、店長とスマートフォン上で何やら操作をしていました。
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(長谷川さん)「1時間の時給1000円と交通費の500円で合計1500円。」
(辻解説委員)「入った?今入った?」
(長谷川さん)「そうですね。」
(辻解説委員)「即金?」
(長谷川さん)「そうですね。」
(辻解説委員)「この1500円はどうするんですか?」
(長谷川さん)「今からご飯を食べに行きます。」

アプリに入ったバイト代は指定した銀行口座に入金することができます。

メリットは「募集が簡単なこと」「すぐに人材が確保できること」

2日に1回は隙間時間で働いている長谷川さん。この日は、大阪・難波の御堂筋沿いでメガネ店「MEGANE SUPER ekimoなんば店」のティッシュ配りをしていました。この店では今までに、ティッシュ配りなどに今までのべ50人ほどをアプリで採用しました。初対面の学生を雇うということに対して、ストレスなどは無かったのでしょうか。
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「最初は不安がありました。仕事に対する姿勢はどうなのかなと思っていたんですけど。来て頂ける方は真面目な方が多く、凄く一生懸命してくれるので好印象にとらえています。」(MEGANE SUPER ekimoなんば店 西村勝治店長)
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雇う側はパソコンに打ち込むだけで募集ができ、アルバイト雑誌などに頼らなくてもいいことがメリットになっているといいます。

「2~3分でマッチングしたこともある。凄く簡単にできる。(Q人材が欲しい時にすぐに募集出来る?)そうですね。早い時は2~3分で決まって、(募集から)1時間後には来て頂ける。非常に助かっています。」(西村店長)

ギグワーカーと雇い主が「互いに評価し合うシステム」

1時間後、ティッシュ配りを終えた長谷川さんが戻ってきました。

 (西村店長)「寒かったでしょ?大丈夫ですか?」
(長谷川さん)「結構、暖かかったです。」
 (西村店長)「沢山配って頂いて、ありがとうございました。またよろしくお願いします。」

なぜこんな丁寧な気遣いの言葉を交わすのでしょうか。
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実は『Timee』では、仕事が終わった後に、ギグワーカーと雇い主がお互いに評価をし合うシステムになっていて、どちらも良い評価を得たいというのが理由のようです。アルバイトからの評価を店側はどのようにとらえているのでしょうか。

「緊張はしますけど、アルバイトの方に対して真摯に対応することを常に思っています。楽しく仕事が出来るのが大事なので、(双方からの評価があれば)関係も良好に出来ると思います。」(西村店長)

ギグワーカー「色々な飲食店を経験できる」店側「人件費コントロールしやすい」

特に人手不足が深刻化している飲食業界でも、このサービスが広がっていました。取材班が続いてやって来たのは「あたりや食堂なんば店」。ここで、手際よく接客をこなすのは、大学生の皿澤雄太さん(24)。ギグワーカーです。接客が好きで、色々な飲食店を経験できる事に、メリットを感じているといいます。

「初めての所で働くのも慣れたかなって感じです。(Qこのお店はどんな感じ?)いい印象です。働きやすい感じです。」(皿澤さん)
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一方で店側は、固定費削減の苦労をにじませます。

「1時間だけでも、30分だけでも人が欲しいという時に来てくれるので、1か月間の人件費というところでもコントロールしやすい。助かっていますね。(ギグワーカーには)お料理を運んだり、簡単な片付けとかを優先的にやってもらって。(Qアルバイトの補助という感じ?)そうですね。1人として考えるより、いてくれるだけでもという考えでとってますね今は。」(あたりや食堂なんば店 廣田真利店長)

ちょっと先の未来、「ギグワーカー」は若者以外にも定番の働き方となっているかもしれません。

(2月25日放送 MBSテレビ「ミント!」内『辻憲のちょいサキ!』より)

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