外国人労働者が増加するなか、懸念されるのが社会保障制度のグレーな利用だ。現行制度はあまりに外国人に有利にできている。フリーライターの清水典之氏がレポートする。

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 昨年の本誌・SAPIO11・12月号で、3か月超の在留資格(ビザ)を持つ外国人ならば日本の健康保険に加入でき、日本人よりも外国人のほうがその制度を最大限に“有効活用”しているのではないかという医療現場の疑問の声を取り上げた。

 例えば42万円もの出産育児一時金は海外で出産しても受給可能なため、現地の病院が発行した出生証明書さえあれば支給される。だが、それが本物かどうか行政は確認していないのが実情だった。

 また、何百万円もかかる高額医療も「高額療養費制度」が適用されれば8000円から最大でも30万円程度で受けられる。そのため日本で高額医療を受ける目的で外国人が「留学ビザ」を取得すれば、渡航費、学費を払っても自腹で医療を受けるより安くつくケースが多々あると指摘した。

 こうした外国人による日本の健康保険「タダ乗り」の問題を提起したところ、他メディアへの波及も含めて、大きな反響があった。

 なぜこのような問題が起きているかというと、2012年に外国人登録制度を廃止し、行政が外国人を原則、日本人と同じ扱いにするようになったからだ。形式上は同じ扱いだが、外国人には脱法的な利用が可能なため、外国人を優遇する制度になってしまっている。
※写真はイメージです(ゲッティイメージズ)
※写真はイメージです(ゲッティイメージズ)
 実は、こうした在日外国人に対する過剰優遇は健康保険だけに限らない。所得税の扶養控除も、在日外国人の不正が蔓延している疑いがもたれているのだ。

68.8%が所得税ゼロ

 2014年に会計検査院は、「日本国外に居住する控除対象扶養親族に係る扶養控除の適用状況等について」という調査報告を公表した。

 日本の税制における扶養親族とは、自分の6親等内の血族と3親等内の姻族(配偶者の親族)で、収入がない、あるいは少ないため、自分が家計の面倒をみている親族を指す。16歳以上が対象で、基本的に扶養親族一人当たり38万円が所得から控除されるが、19歳以上23歳未満なら63万円、70歳以上で同居していれば58万円、同居していなければ48万円が控除される。