キャンセル相次ぎ…愛知の老舗旅館、コロナ感染拡大影響で経営破綻 ビニール傘などにも品薄の可能性

[ 2020年2月26日 05:30 ]

薬局でマスクを買い求める北京市民(共同)
Photo By 共同

 新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)の感染拡大の影響は大きくなるばかりだ。愛知県では、中国人観光客のキャンセルが相次ぎ老舗旅館が廃業。東京商工リサーチによると、新型コロナの影響による経営破綻は全国初という。

 感染の影響が、ついに実体経済にも表れた。廃業に追い込まれたのは愛知県蒲郡市の老舗旅館「冨士見荘」。主力にしてきた中国からの団体客のキャンセルが響いた。代表取締役の伊藤剛さん(31)は「先代が守ってきた大切な旅館だが、客がいなくてはどうしようもない」と話した。今月14日に旅館を閉めた。

 冨士見荘は1956年創業。ホームページによると地区で「最も歴史のある老舗旅館」。数年前から中国人の団体客に目を付け、毎月約40~50の団体を受け入れてきた。40室の客室はほとんどが中国人で満室だった。

 影響は感染が確認された直後から始まり、中国人客は徐々に減少。中国政府が1月27日に海外への団体旅行を禁止し、伊藤さんは「もう駄目かもしれないと思っていたが、中国政府の方針で決断するしかないと覚悟を決めた」という。「早く終息してほしいが、影響は地方経済にもじわじわと襲いはじめている」と危ぶんだ。

 観光業だけではない。中国は「世界の工場」。影響は製造業にも及ぶ。ウイルスの感染源となった中国湖北省に工場を持つ日産自動車やホンダへの打撃は深刻だ。九州にある日産の工場では、中国製部品の調達が困難との理由から操業を停止する日もあり、従業員は「長期化するのではないかと不安になる」と表情を曇らせた。

 生活に欠かせなくなった100円ショップも例外ではない。安価な商品のほとんどは中国製。輸入が滞れば、体力のない個人経営のショップなどは立ち行かなくなる。ビニール傘や割りばし、除菌シートなどもほとんどが中国から来ている。今後品薄になることも予想される。

 化粧品への影響も懸念されている。中のクリームは日本製でも、実はボトルやチューブなどの容器、プラスチックノズルなどは中国製が多い。いくら中身を作っても、それを入れる容器がなくては市場に出回らないからだ。

 中国人が来ない、中国から商品が来ないことで、経営難に追い込まれる。“コロナショック”が日本中に広がっていく可能性も否定できない。

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2020年2月26日のニュース