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【自転車競技】つかめ、東京切符! ベルリンで火花散る激走 自転車トラック競技世界選手権2020年2月25日 紙面から
自転車トラック競技の世界選手権(世界選)が26日から3月1日まで5日間の日程でドイツ・ベルリンで開催される。優勝者のみ与えられるジャージ「マイヨ・アルカンシエル」を身に着けるのは最高の名誉とされるが、今年の大会は東京五輪の出場枠が決定する重要な大会。各選手にとっては五輪出場選考のために結果が求められる最重要かつ最後の戦いだ。特に注目が集まるのは日本の短距離男子で、大きなカギを握るのがチームスプリント。五輪ポイントランキングは現在7位。8位以内を維持できれば、個人種目のケイリン、スプリントも2枠ずつ確保できる。まさに勝負駆けの大会だ。日本から参戦するのは短距離が脇本雄太、河端朋之、新田祐大、深谷知広、雨谷一樹、小林優香、太田りゆ(いずれも日本競輪選手会)。中距離では橋本英也(日本競輪選手会)、梶原悠未(筑波大)がメダル候補だ。 (八手亦和人) 自転車トラック競技の今シーズンの世界一を決める世界選。今年に限っては、さらに2つの意味を持っている大会だ。それは東京五輪出場枠確保と選手選考。自転車競技は開催国枠がないため、日本のナショナルチームも結果が求められる最終決戦の場となる。 そもそも競輪選手で構成される日本のトラック短距離は東京五輪でメダルを狙えるのか。ロンドン、リオデジャネイロと直近の五輪はメダルにはほど遠い内容の0個。2004年アテネのチームスプリント銀、08年北京のケイリン銅とメダルを獲得できたのは10年以上も前で、世界のトップクラスとの実力差は大きく広がってしまった。 だが、2大会連続で五輪メダルを逃した屈辱と五輪の自国開催が日本のナショナルチームを変えるきっかけとなった。リオで中国チームにメダルをもたらしたフランス人のブノワ・ベトゥをヘッドコーチとして招聘(しょうへい)。ブノワは選抜した競輪選手を五輪会場の伊豆ベロドローム付近に住まわせ、練習法、食事、出場レースなどあらゆる面を完全管理。メダル獲得に情熱を持つ選手も競技中心の生活にシフトした。 1000万円単位の大金を稼げる競輪から距離を置き、競技に全てを捧げた選手の才能は花開いた。特に今シーズンの飛躍ぶりは目覚ましく、中でも際立つのがチームスプリントである。 ◆W杯連続「金」 五輪メダル候補に急浮上10月のアジア選手権で2連覇を果たすと、W杯第3戦(香港)こそ6位に終わったものの、第4戦(ニュージーランド)と第5戦(オーストラリア)で連続金メダル。第4戦の勝利は、W杯では03年以来16年ぶりの金メダルでもあった。 注目すべきは勝ったという事実だけではない。雨谷(1走)、新田(2走)、深谷(3走)の3人が第4戦で刻んだタイムは、1日で日本記録を2度更新しての42秒790(決勝)。この数字は昨年の世界選なら2位フランスの42秒889を上回る好タイムだった。41秒台を刻めるオランダが飛び抜けて強いのは事実ながら、日本チームは世界のトップで争うレベルまで成長し、到達した。 さらにこのチームスプリントが強いと、五輪出場枠も大幅に増える。昨シーズンから2シーズンにわたって争われているのが五輪ポイント。各大陸選手権、W杯、世界選手権の成績によって得られるこのポイント上位8カ国には、チームスプリントはもちろん、ケイリンとスプリントに各2枠ずつが与えられる。世界選開幕前の時点で日本は7位。W杯連覇によって大きく順位を上げることに成功した。ただ世界選は高いポイントが設定されているため油断はできない。9位以下の場合は各種目ごとのランキングに応じて確保はできるものの、1枠ずつしか手に入らない。 今年の世界選のチームスプリントは、もちろん日本記録をマークした雨谷、新田、深谷の最強布陣。5日間の大会の初日に組まれている。ここで8位以内を確定させて、2日目以降の個人種目メダル獲得へ。きっと今の日本チームならやってくれるはずだ。 ▼中野浩一選手強化委員長 「本当に今回は久々に期待できる世界選手権だと思う。五輪選考などについては全て世界選の結果次第になる」 PR情報 |