2019年6月15日土曜日

Elden Ring 考察6 ダークソウル3のDLCとElden Ring

ダークソウル3のDLCとElden Ringの繋がりについて考察したいと思う

なぜ過去作のDLCと新作との繋がりを見いだそうとするかというと、前例があるからである

たとえばダークソウル1のDLCに登場した素晴らしいチェスターがそうである
このチェスターは、ダークソウルの世界観とは異質の衣装を身につけている


どうしてこのようなキャラクターデザインなのか、DLC本編では明かされることはついに無かった
しかしながら、ブラッドボーンが発売されたときその疑問は氷解したのである

素晴らしいチェスターのデザインは、ブラッドボーンの世界観と完全に一致したのである


このことから、チェスターは次作の世界観なりモチーフなりを予告していたのではないか、という仮説が提唱され、考察勢に受け入れられていったという経緯が存在する

ただしこの時点では偶然の一致であるという反論を覆せるだけの根拠はなく、「そうだったら面白いね」程度の話でしかなかったのである

そんなときに登場したのが、ブラッドボーンのDLCであった

このDLCには、やはり異質な世界観をまとうキャラクターやアイテムが登場する

ヤマムラとガラシャの拳である



ヤマムラはその和風の名前からして世界観に合っておらず、チェスターと共通する立ち位置であるが、フロムソフトウェアの新作と関連付けて考えるものは少なかった

次に発売されたのがダークソウル3ということもあり、DLCによる次回予告仮説は外れたと思われたのである

ところがSekiroが発表されるに至り、ヤマムラはSekiroを予告していたのではないか、というDLC次回予告仮説がおもむろに息を吹き返したのである

またガラシャの拳に関しては、Sekiroの時代背景が発表されて初めてその関連に気付くことができるほどに、巧妙に関連性を隠秘されていたのである

Sekiroの舞台は戦国末期ということになっているが、この戦国末期にガラシャという名をもつ人物が実在していたのである

細川ガラシャである(Wikipedia)

あくまで後から考えた場合であるが、DLC次回予告仮説をブラッドボーンのDLCに当てはめると以下のようになる

ヤマムラ→舞台は日本
ガラシャ→時代は戦国末期

Sekiroの舞台背景と完全に一致するのである

以上の前例から、DLCにはフロムソフトウェアの新作を予告するようなキャラクターなり、名前なりが登場するという法則がある。ただしそれは、「次回」ではなく「次々回」の予告である

宮崎氏の関わったゲームを発売順に並べると以下のようになる
ダークソウル+DLC
ダークソウル2+DLC
ブラッドボーン+DLC
ダークソウル3+DLC ※デラシネ
Sekiro

※このうちデラシネはPSVRタイトルであり開発規模としても0.5であるので数には含めない(あるいはダークソウル3 DLCと共に、Elden Ringを示唆しているとも考えられる)

つまり、ダークソウルDLC→ブラッドボーンブラッドボーンDLC→Sekiro、という流れが存在し、その法則を敷衍するのならば、ダークソウル3DLC→Elden Ringになるのである

では、ダークソウル3のDLCにおいて、Elden Ringを予告するキャラクターとは誰か?

ゲールとミディールである



この二者にはどちらもケルト神話と関わりがある、という共通点が存在する

ケルト神話についてはそのうちまとめて解説してみたいと思うが、大別すると3つに分けられる

    1.古代ケルト宗教(基本的に筆記史料はなく、主に考古学史料を通して知られる)
    2.ゲール語の神話。アイルランド神話(Irish Mythology)とスコットランド神話(Scottish Mythology)に代表される。
    3.ブリソン諸語の神話。ウェールズ神話(Welsh Mythology)に代表される。(ケルト神話 Wikipedia)

このうち2.のゲール語の神話であるトゥアハ・デ・ダナーンにミディールという地下の神が登場するのである(ミディール Wikipedia)

もしDLC次々作予告仮説をこの二者に当てはめるとしたら、新作の舞台はケルト神話、それもアイルランド神話をモチーフにしている、という推測が得られるのである

そしてすでに、DLC次々作予告仮説を裏付けるような実例が登場しているのである

輪の都である


Elden RingのRingとは、宮崎氏のインタビューによれば「」のことであるという
DLCに登場した輪の都は、Elden Ringの「」をすでに予告していたのである

また上記で法則から除外したデラシネであるが、この作品には妖精が重要な存在として登場するが、妖精はアイルランド神話においても重要な存在である



直截にいうと、世界の神話伝説のなかで最も妖精を重要視しているのは、ケルト神話なのである(ミディールも妖精の王である)

ダークソウル3 DLCからはゲールとミディール。そしてデラシネからは妖精
これらを合わせると、ケルト神話、それもアイルランド神話が強く想起されるのである



蛇足

インタビューによれば、Elden Ringは宮崎氏とマーティン氏がイメージとテーマを共有したうえで、宮崎氏がメインストーリーを、マーティン氏が過去の神話を創作したという

よって、ケルト神話(アイルランド神話)の神や人がそのまま登場する可能性は低い

それはあくまでもElden Ring独自の神話であろう

しかしながら宮崎氏の手法は、対象の神髄をつかんだ上で自由に組み替え、まったく新しいものを創造するというものである

その大本となる対象がケルト神話ではないか、というのが今回の考察である

それは形を変え、要素を変更し、新たに解釈し、既存のアイルランド神話とはかけ離れた神話でありながら、それでもどこかケルトの香りのする神話であろうかとも思う

※ラヴクラフトにせよ、ロード・ダンセイニにせよ、イェイツにせよブレイクにせよ、優れた神話作家には、どことなくケルトの香りがするものが多いのは偶然だろうか

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