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【大相撲】

[はなわの相撲オタク対談]朝乃山は相撲するために生まれてきたような人

2020年2月26日 紙面から

はなわ(右)の渾身のぶつかりを満面の笑顔で受ける朝乃山=東京都墨田区の高砂部屋で(神代雅夫撮影)

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◇はなわの相撲ヲタク対談

 春場所で、いよいよ大関とりに挑む朝乃山。3月1日に26歳の誕生日を迎える期待の星に、26歳のとき「佐賀県」で歌手デビューし、NHK紅白歌合戦に出場したはなわさんがエールを送りつつ、人物像に迫ってきました。 (構成・岸本隆)

 はなわ「ずっと会いたいと思ってたんです。対談が実現してほんとにうれしいです。富山の知り合いがけっこういて、関取の活躍をめちゃくちゃ喜んでます」

 朝乃山「ありがとうございます」

 はなわ「それこそ去年は富山の年。(NBAウィザーズの)八村塁君もそうだけど、朝乃山関が出てきて、富山がめちゃくちゃ盛り上がってる。ぼくも佐賀県の歌で佐賀を盛り上げた人間。2019年は『翔んで埼玉』が話題になったけど、今年は朝乃山関の力で富山を盛り上げてもらって、富山の歌を歌わせてもらいたいなって。大阪が勝負になりますね」

 朝乃山「勝負の場所になります。近大で4年間過ごした大阪なので、地方場所だと一番力入りますね。決めたいけど、そういう意識をしちゃうと硬くなるんで」

 はなわ「あまり意識せず、一番一番ですか。去年の5月場所で優勝して、ワーッと勢いが」

 朝乃山「自信がつきました。優勝したことがうれしかったですし、ここで終わりじゃないと改めて思ったので。また頑張ろうと思いました」

 はなわ「あそこでつかんだ感じが」

 朝乃山「つかんだというのは別に、特になかったんですけど、自信持ったらこうやって勝てるんだなと思いました」

 はなわ「上手取って速攻で攻める」

 朝乃山「それが僕の相撲だと思うんで。ここまで番付がきたなら、目の前の大関を目指したいと思っています。入ったからには横綱を目指してるんですけど、まず大関にならないと、やっぱ次の階段には上れないと思うので。目の前のことだけ目標にして」

 はなわ「もうすぐ誕生日」

 朝乃山「26歳になります」

 はなわ「26はお笑い界でいうと、みんな化ける年なんです。お笑いのみならず、大物は26で化けると言われていて。お笑いでいうと、売れてる人は26にきっかけがある。ちなみに、ぼくも26で佐賀県の歌を発売しています」

 朝乃山「のぼっていきたいですね」

 はなわ「趣味は」

 朝乃山「趣味は今ないんですよ。探し中っすね。けっこういろんな人に聞かれるんすけど。思いつかなくて」

 はなわ「昔から相撲一本ですか」

 朝乃山「何回もやめたいという時期はありましたけど」

 はなわ「えーっ。それはいつごろですか」

 朝乃山「中学校はハンドボール部に入って。やっぱ走るので、みんなとランニングするのがとてもきつくて、追いつけなかったので。それでやめて、もう一回(小4からやっていた)相撲をやってみようかなと。中学校の相撲部です」

 はなわ「富山って相撲があまり盛んじゃないイメージ」

 朝乃山「力士もあまりいないです。ぼくが入るとき、力士3人しかいなかったんで」

 はなわ「プロに行くとき悩みましたか」

 朝乃山「やっぱり悩みました。でも、入るからにはてっぺんを目指しますし、有名になりたかったですね」

 はなわ「目標の力士はいるんですか」

 朝乃山「右四つなんで白鵬関とか、栃ノ心関とか」

 はなわ「徳勝龍関の優勝もありましたけど、初場所中に近大の伊東監督が亡くなった」

 朝乃山「突然、連絡が来たんです。たまたまぼくも起きていた。夜中の1時ごろ。いや、うそやろって。その2日前に監督から連絡もらっていたんで。2連敗してるときですかね、『関取のいいところは切り替え。チャレンジャー精神でいきなさい』ってアドバイスもらってたんで。急すぎて頭が追いつかなかった。そのまま病院行って、本当に亡くなったんだなあと」

 はなわ「2桁勝ち星は伊東監督からパワーをもらったということなんですかね。徳勝龍関もそうですけど」

 朝乃山「今回は徳勝龍関の方にパワーがいったと思うんですけど、僕もちょっともらって。2桁勝って恩返しできた。今場所(初場所)は2桁勝利が恩返しかなって思ってたんで。でも徳勝龍関は神がかってましたね。ほんとに監督が一緒に土俵の上で闘ってくれてたんじゃないですか」

 はなわ「じゃあ来場所はね、関取を」

 朝乃山「僕の方をちょっと。背中を押してもらわないと」

 はなわ「女性ファンも多い」

 朝乃山「全然(いない)です」

 はなわ「好きな女性のタイプは? 毎回聞いてるんです。芸能人でいうと、みたいなのを」

 朝乃山「昔からなんですけど、磯山さやかさんです。優勝したときテレビ局に昼の番組に呼ばれたとき、たまたま収録してたらしいんですよ、志村けんさんと。お会いしたいですって言って」

 はなわ「会えた?」

 朝乃山「お会いしました」

 はなわ「結婚したらどうですか(笑)」

 朝乃山「してもいいんだったら(笑)」

 はなわ「支えてくれる人がほしいとか、結婚したいとかありますか」

 朝乃山「結婚願望はありますね。今はちょっとないですけど、子供が好きなんで。結婚するなら年上の方がいいかもしれないですね。支えてくれて」

 はなわ「もう一つ聞きたかったのは、お笑い界はやたらと第7世代なんて言われてます。若手芸人がすごく活躍してる時期に入ってきてる。相撲界も大相撲第7世代と思ってまして。同世代は刺激になる?」

 朝乃山「なります。やっぱ同世代、年が近い人とは、これからもっと対戦すると思うんで、競い合って、みんなで相撲界を盛り上げていきたいっすね。負けたくないっすね」

 はなわ「自信がみなぎってる。兄弟は男ばかり? ぼくと一緒。ぼくは真ん中です」

 朝乃山「じゃあ、一緒ですね」

 はなわ「真ん中だ。真ん中はやっぱね、ちょっと変なやつが多いんですよ。兄弟も相撲を?」

 朝乃山「やっていないです、兄貴と弟は」

 はなわ「なんで自分だけ?」

 朝乃山「いやあ、分かんないです。道がちょっと外れましたね。ハンドボールだと飯食っていけないんで。好きな科目は体育。勉強することは嫌いだったんで。大嫌いです。勉強の仕方が分かんなかった。宿題やっても速攻答え見てました。答え見ながら書いてた」

 はなわ「それ、勉強じゃないでしょ。相撲するために生まれてきたんですね(笑)」

<はなわの独り言>「昔ながらのお相撲さん」3兄弟の2番目には親近感

 朝乃山関とこうやってお話しさせていただくのは初めてでしたけど、誠実でまじめ、昔ながらのお相撲さんっていう感じがしました。それにオーラもあって、自信にあふれていました。大関は通過点で、その上を目指してるっていうのが、話していて分かるくらい。その前にまずは大関ですけど、春場所で決めてくれるでしょう。

 富山県出身というのもいいですよねえ。ぼくも佐賀県出身ですから。田舎から出て来てるので共感が持てます(笑)。地方を盛り上げるのが相撲でもありますから。地方活性化に大いに貢献されてますよね。

 3兄弟というのもぼくと一緒なんですよね。しかも、関取もぼくも3兄弟の2番目。兄貴は両親の期待を背負ってますよね。3番目は末っ子でかわいがられてます。その間の2番目って独創的な発想をする人が多いと言われてませんか? 何かと親近感を感じてしまう関取の活躍を、心から期待しています。

<朝乃山英樹(あさのやま・ひでき、本名・石橋広暉)> 1994(平成6)年3月1日生まれ、富山市出身の25歳。188センチ、177キロ。近大時代は7つのタイトルを獲得。幕下付け出しの資格は得られなかったものの4年時に全日本選手権ベスト4などの実績を残し、2016年春場所で三段目付け出しデビュー。17年春場所で新十両昇進。同年秋場所で新入幕。19年夏場所では富山県出身力士としては太刀山以来、103年ぶりの優勝を飾る。家族は両親、兄、弟。

初優勝時には「米国大統領杯」をトランプ米大統領(右)から受け取った

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