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【社会】

出所者の再起、学生が後押し 専用求人サイト設立「孤独に寄り添う」

サイトを運営する(右から)小泉義貴さん、杉田光さん、松本大海さん、アドバイザーの高山敦さん=東京都渋谷区で

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 刑務所を出所した人などが前科を隠さずに就職できる機会をつくろうと、東京・渋谷を拠点に活動する大学生らが専用求人サイト「SAIKI(サイキ)」を立ち上げ、今年中に「百社掲載・百人採用」を目指している。代表で通信制のサイバー大四年の杉田光さん(22)は「再起を誓う人の頼みの綱になりたい」と、サイト名に込めた思いを語る。 (天田優里)

 「もう過去を隠さなくていい」「あなたを必要としてる会社が必ずここにあります」-。昨年末にスタートしたサイトのトップページには、こんな言葉が並ぶ。元受刑者らの求人を出しているのは現在、配達ドライバーや介護職員を募る二十社ほど。会員登録して働きたい場所や職種などで検索すると、条件に合う企業が表示される。

 サイトは会社形式で運営しており、メンバーは杉田さんの他、営業部長で専修大三年小泉義貴(よしき)さん(21)、マーケティング部長で通信制のビジネス・ブレークスルー大三年松本大海(ひろみ)さん(22)、アドバイザーとして参加する元受刑者の高山敦さん(60)。利用者が就職した後もメールなどで相談に応じる。

 メンバーは企業と直接やりとりし、掲載に結び付ける。「怖い」「すぐに辞めそう」などの先入観から掲載や雇用を断られるケースも多く、企業に出向き、担当者と顔を合わせて理解を求める。

 前科がある人を雇用する業種も建設関係や介護サービスなど体力仕事に偏る傾向があるという。女性や高齢の人には必ずしも適した仕事とはいえず、杉田さんは「もっと業種を増やして、利用者の希望に合うようにしたい」と話す。

 杉田さんは数年前、ミャンマーの銀行でインターンシップ(就業体験)をした。貧しい人々を資金面で支援する銀行のプロジェクトにより生活が好転するのを目の当たりにし、「社会的に排除されている人を支えたい」と思った。前科のある人の再就職について問題意識を持っていたこともあり、友人の松本さんらに声を掛け、サイトを設立。高山さんには、服役経験をつづった著書を読み、連絡を取って参加を依頼した。

 高山さん以外の三人は現役大学生で学業を抱えながらの活動だが、松本さんは「前科のある人は孤独だと思うので寄り添いたい」、小泉さんも「やり直せるチャンスを提供できたら」とやりがいを感じている。

 サイトは「saiki 受刑者」で検索。

前科のある人の就職を支援するサイト「SAIKI」のトップページ

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◆再犯防止へ 就職支援重要

 刑法犯で摘発される人の数は減少しているが、再犯者の割合は増加傾向にある。再犯時に無職だったケースも増えており、再犯防止の点からも社会復帰支援は重要だ。

 法務省の「再犯防止推進白書」や「犯罪白書」によると、刑法犯の摘発者は二〇〇四年(三十八万九千二十七人)以降、減少が続いている。

 一方で、再犯者率(摘発者数に占める再犯者の割合)は〇四年の35・7%から一八年は48・8%に上昇。再び服役した人のうち犯行時に無職だった割合は、一九九八年は男性66・1%、女性74・6%だったが、二〇一八年は男性71・0%、女性85・2%になった。

 法務省によると、昨年四月時点で、出所者らの就労を支える「協力雇用主」は全国約二万二千社が登録している。ただ、実際に雇用している事業主は約九百にとどまるという。

 同省は就労奨励金などの制度を設け、幅広い業種の事業主に協力を呼び掛けている。

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