@chablis777
シャブリ

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(敏春)珍しいなあ。
(信作)今日だけです。敏春さん 出張ですか。
ああ 今 帰ってきたんです。あっ 朝帰りや。
(敏春)ハハッ昨日から 仕事で京都行ってて。
(百合子)いつものでええですか?うん いつもので。
はい。いつものて?ホット。
ホット…。 「ホ ッ ト」「い つ も の」。
ホットって言った方が早ない?濃いめのホット。
「濃 い め の ホッ…」。しょうもないなあ。
あ~ あっ 俺がいれるわ。
あかん。 うちがいれないつものコーヒーならへんやろ。
何でえ 練習せな。「いらっしゃい」しか言えへんやん。
(百合子)お客さんに出すコーヒーで練習しんといて。
敏春さん。(敏春)うん?僕の 一番最初のお客さんになって下さい。
(百合子)あかん。様になってはるなあ マスター。
ほら! 俺がいれた方が おいしそうや言うてはるやん。
そんなん言うてはらへん。百合子さん 頼みます。
は~い。
やらせて それ。ああ… マスター やめて下さ~い。
何や。
♪~
♪「涙が降れば きっと消えてしまう」
♪「揺らぐ残り火 どうかここにいて」
♪「私を創る 出会いもサヨナラも」
♪~
♪「日々 恋をして胸を焦がしたい」
♪「いたずらな空にも悔やんでいられない」
♪「ほら 笑うのよ赤い太陽のように」
♪「いつの日も雨に負けるもんか」
♪「今日の日も涙に負けるもんか」
あっ そうや。 たまたまなんやけどね。はい。
京都で 信作君のことよう知ってるいう人に会いました。
京都?うん。僕の学生時代からの友人の奥さんです。
(百合子)奥さん?(敏春)うん。
女の人? 女の人?何で うれしそうやねん。
気になるやん 聞きたいやん。
これを言うたら分かる言うて。「お見合い大作戦」。
(2人)お見合い大作戦!
 回想 あっ 知ってます? 集団見合いいうの。
(常治)集団見合い?はい。(マツ)どういうこと?
ともちゃんが言うてた大勢で いっぺんにお見合いするやつや!
そや! 百合ちゃん それや。 東京でもえらい盛り上がったらしいですわ。
ほう~。そういうのを信楽でもやろういう話になって名付けて「お見合い 大 作 戦」! バ~ン!
喜美子にも参加してもらいます。
はあ~。(常治)おう おう おう おう…! お~!
(八郎)せや 川原さんも参加しはんのん?お見合い大作戦。
(喜美子)お見合い大作戦?信楽の若いもん集めて集団見合いいうのやるんです。
参加します?そんなんしいひん 興味ないわ。
せやけど 信作が。
そや 喜美子お見合い大作戦ちゅう企画があってな今 おじさんに話してきたんやけどもう 「おうおう」言うて喜んでた。
ニッコニコやで。はあ…。
ハチも出るで 喜美子も頼むな?
知らんわそんなん。 おやすみ。おいおい…。
頼むでぇ。 喜美子が参加すれば申し込みが殺到するねん。
マスコットガール ミッコーやからな!
それ 一生言われ続けるん?
おう 来たか。百合子から聞いた。おう 上がれや。
あかん あかん あかん あかん あかん!まだ言うとるわ。
嫁入り前や 男の1人暮らしの部屋に上げるやなんて あかん。
お前は どの口が言うてんねん!あ~あ! ああ!
(信作)お前も なに しおらしい顔してんねん。はよ入れって。
お邪魔します。ああ ああ… もう!
なに 布団と戯れてんねん アホなん。
信作がやったんやないか…。ええから寝とけ言うてるやろ。おう 喜美子。 こいつな足 ひねってしもたみたいやねん。
えっ…。大変やったな えらい目に遭うたで。
そやから 交代な。 看病したってくれ。
俺 もう行かなあかんから。 大事なお見合い大作戦が始まってまうさけ。
ごめんな?ごめんな?
まあ 盛り上がるように祈っといてくれや。ほな。
ありがとう ごめんな。
いつからなん? ハチと。照子 知ってんのけ?
俺から 俺から言うていい?
言わんでええ。何でやねん 言わしてえや。
言わんでええ。言いたい 言いたい 言いたい!
いい いい。言いふらしたいねん!もう行け 行け…!
行け 行け もう。はい はい はい さいなら。
西村いいます 僕の友人。
で 奥さんが… よし子さん。よ…。
西村よし子さんです。
よし子さん?よし子さん?
あ…? よし子さん…。おったかな… よし…。
ハハッ それより 敏春さん相変わらず 照子は野菜作ってるんですか?
よし子さん…。もうええ。 知らんて。
よし子さん 聞いたことない?ほやから 知らんて。
お見合い大作戦のよし子さん。敏春さん もう一杯どうですか。
まだ 一口も飲んでへんし。分かった!
13番目の女 よし子さん。
13番目の女?
言うてたやん。
お見合い大作戦で ただ一人 企画運営側の大野信作に ほれてしもた よし子さん。
 回想 (よし子)大野さん。
すんません。 何度も言いますけど俺は 企画した側やねん。
企画した俺だけうまいこといくわけには いかへんねん。
俺は あかんねん。よし子です。
ほやほや ほやから よし子さん。俺は あかん言うてるやろ…。
うん 何で近づいてくるの 真面目な顔して話の途中…。
(陽子)その気がないのに何で連れてくんねん!
連れてきたわけやないて暇や言うて 勝手に顔出したんや。
勝手に顔出しに来て すみません。
あ…。あ…。また来ますぅ。
あっ ゴミ。
では。(陽子)ああ…。
ほな どう思ってんのん?はっきりしてほしい。
ええ~。
好きか嫌いか聞かれたら 7:3いや 8:2?
いや 9:1で嫌いや。
あっ けど よし子さん言うてはりましたよ。「あん時 信作さんに出会うてなかったら今の幸せはないんです。信作さんのおかげですぅ」て。ええっ…。
きっと 信作さんに出会って 傷ついてほんで もっとええ人見つけたる思て幸せにならはったんやわぁ。
ええことしたなあ。それ 全然 褒めてへんやんけ。
心当たりあるんやろう。
今は 京都の和菓子屋さんのおかみさんです。(百合子)へえ~。
知らん知らん。有名な老舗やからいや 名前ぐらいは聞いたことあるんちゃうかなあ。
ふ~ん。 今度 一緒に行ってみる?行かんでええ もう。
(笑い声)
13人の女の人みんな 幸せになってはったらええね。
ほんまは 13人とちゃうんですよ。え~。
よし子さんのあとも何人も彼女いたもんなぁ。
覚えてへん。うそやぁ。
年や もう 全く覚えてへんねん。
うちが 彼女のふりして追い返してしもた人もいはったんですよ。
(敏春)ほんまに?敏春さん 座り直さんでええです。
 回想 ええ加減 ほんまのこと言うて下さい。
好きか嫌いで言うたら 8:2いや 9:1で好きや。
うそや!
♪~
(智子)どういうつもりなん?
こういう… こういうことなんで…。
♪~
ふんっ!あっ さとちゃん… あ…。 うん!
ちょっと! さとちゃん!
お酒 お水 ビールう~ん… 靴 靴 かばん 自転車。
それは?かけられたり しばかれたりよし子さん以降の女の人にされたことやそうです。
自転車いうのは?後ろから ド~ン!
ああっ。フフフッ。時代とともに女性が強うなってきてんのがよう分かるな。
感心せんでええですって。まあ それでも こんな話 してても嫌な顔一つせんとうまいコーヒーを飲ませてくれる女性が一番 強い思いますけどね。うちのことですか?
聞いた? 強い女性やて。強い強い 最強や。
何せ うちは信作 20番目の女ですから。
なあ?覚えてへん。言うてたやん。
記憶にございません。あっ それ 誰かのまねやろ。
誰やっけ 聞いたことあるぅ。ほの… あれやわ ほら あの~ 事件の…何とかいう あの…。
まあ その… ううん…。それ 誰のまねですか?
ほな ほな ほなずばり 昨日の晩ごはんは?
ハンバァーグ。そんな伸ばさんでええですぅ。
おとといの晩ごはんは?
記憶にございません。
あっ それ ほんまに忘れてるんちゃう?
おとといの晩ごはん 思い出せんのって老化らしいで。
えっ そうなん?(百合子)敏春さんもですか?
あっ すんません 僕のことは気にせんと続けて下さい。
いや…。ほな 第3問。
冬の間 うちが巻いてたマフラーの色は?記憶にございません。
ほな 次! うちらは 結婚して何年目?記憶にございません。
うそやろ。俺は 忙しいねん。
課長やからなあ。 あ~ 忙しい。忙し 忙し。
どんなに忙しなっても 喜美子姉ちゃんは何でも よう覚えてはるけどなあ。
喜美子… う~ん おったな そんなやつ。
真面目に やる気ないやろ。あっ あっ 今 イラッとしたやろ。
あっ あ~強い女性が イラッとしてるでえ。
まあ まあ まあ まあ まあ…。
はあ~ しょうもな。うん?
すんません! 僕が余計な話 したせいで。
やめて下さい敏春さんのせいちゃいます。
誰かさんがしょうもないことしぃなだけです。
あ… 誰かさんて 誰ですかあ。うわっ ヒィ~ ヒィ~。
あ~ 照子に…。照子に。
照子に 今度 うまいコーヒーのいれ方教えてやってもらえへんかな?
かまいませんけど 自分でコーヒーくらいいれはるんちゃいます?
いや~ もう それが全然。
インスタントコーヒーしかいれたことないんですわ。
あっ この前 ここでコーヒー豆を分けてもろうてましたね。
ああ 先月。
そしたら 豆ひかんと そのまま上からお湯入れたんですわ アッハッハッ…。
(せきこみ)もう~。
ああ…。あ… すんません。 拭いて 拭いて。
照子は 料理も苦手で…僕やお義母さんの血圧を気にして野菜も作ってくれるんやけどまあ 元はといえば 照子の料理でみんな血圧が高うなったんちゃうか言うてハッハッハッハッハッ…。
あ~ あいつ こないだすき焼き食べた時もしょうゆ 豪快に バア~ 入れてましたわ。
今は カレーかて ルー買うてくるだけで簡単に作れるようになったのにいや もう あきませんわ。ハッハッハッハッハッ…。
隠し味に コーヒー入れるとええんですよ。
へえ~! カレーにコーヒーを。
仕上げに ほんのちょっと入れるだけでコクが出るんですぅ。
へえ~ さすがやねえ。
リンゴとか果物とか あとチョコレート入れても おいしいんですよ。
(敏春)チョコレート?(百合子)入れ過ぎはあかんけど。このお鍋やったら 3つくらいですかねえ。
(敏春)はあ~ どこで学びはったん?
(百合子)う~ん 雑誌とかテレビとか…何か お料理番組に はまってて。(敏春)はあ…。
味見しはります?ほな 一口。はい。
(敏春)ええ匂いやわ。 ハハッ…。
(敏春)おなか すいたわ。(百合子と敏春の笑い声)
(百合子)はい。あっ ありがとう。 ほな。
うん? 違う。 うん? 全然 違う。プロの味。照子の作るカレーも色は おんなじなんですけどね。味に繊細さがないいうかまあ 大ざっぱなんやなあ。
照子の性格が隠し味になってたりしてねえハハハハッ。
ほんま うまいわ。 止まらへん。
あ… あっ いや あっ!ほやけど ほやけどいっつもおいしいお野菜を持ってきてくれはるしええ奥様やないですか。
その家庭菜園のせいで最近は 日に焼けてしみも増えてしもうて。一日 土にまみれて。うちの丸熊の若い連中より泥臭うなってます。寝る時も大きい口開けてほんまに もう…。(いびきのまね)
あっ! ゴホッゴホッ。いびきも うるさいし ほんま…。
そうそうそう こないだもね 照子のね履いてる長靴からね ほんま…ハハハハッほんまに もう すんごい…そうそうそう こういうな こう…。
うわあ!
照子…。
♪~


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