大野家の両親が指針となってくださるので不安がありません(林)
愛情深いご両親にたくさん助けていただいています(福田)
-父・大野忠信役マギーさん、母・陽子役財前直見さんの印象を教えて下さい。
林さん「信作という役はコメディっぽいシーンが多く、見ている方にクスっとなっていただかないといけないのですが、その笑いのバランスがとても難しいんです。そんな時、大先輩のマギーさんと財前さんが指針になってくださるんです。幼なじみのシーンでは戸田さんもそうです。マギーさんは演出もされているので、『ここをもうちょっとこうすれば分かりやすく笑えるよ』などアドバイスを下さるので、コメディっぽいシーンを演じる時も、お二人のおかげで不安なく演じることができますし、撮影が終わったあとも不安がありません。
信作が反抗期でお母さんとあまりうまくいっていない頃、彼女を家に連れてくるというシーンがありましたが、台本を読んだ時から僕はあのシーンが大好きなんです。僕は自分が反抗期だった頃を思い出しながら演じていたのですが、確か財前さんは『うちの息子はこんなんじゃない』とおっしゃっていたと思います(笑)。でも僕は、向き合い方、接し方、距離感など、財前さんのことを完全に自分の母だと思ってやらせてもらっています。そんな僕を財前さんはいつも受け止めてくださっています」
福田さん「お二人とも『もう、さすがやな』のひと言です。お二人と一緒のシーンは安心感がすごいです。喫茶『SUNNY』でお父ちゃんが病気になったことを話すシーンがありましたが、ちょうどその頃、大人になった百合子がどういう人間になったのか、私の中で少し悩んだ時期だったんです。そのことを財前さんに相談したら、『百合子自身も子どもから大人になる過程で悩んでいると思うし、百合子が悩んでるから麻由ちゃんも悩んでるんだよ』っておっしゃってくださって。財前さんのおかげで今のままでいいんだと思うことができました。財前さんのことばで特に印象的なのは『人への愛は絶対に画面に映るから』ということばです。いくら喜美子姉ちゃんのことが好きです、愛していますという演技をしても、私自身が本当に戸田さんのことを愛していないとそれは画面に映る、ということをおっしゃっていて、改めてその通りだと思いました。これだけ長く第一線で活躍されてきた財前さんがおっしゃると、その説得力は本当にすごいです。
マギーさんは本当に優しい方で、全員を見て、全員がやりやすいように、とても愛のあるやり方で動いてくださるんです。例えば私が間違えてしまって『もう一度やらせてください』と言うと、とても大きい声で『大丈夫よー』っておっしゃってくださったり。本当に周りへの気遣いがすごい方で、まさに縁の下の力持ちという存在で私たちのことを支えてくださっています。マギーさんがいるから成立するというシーンがたくさんあって、とても勉強になりますし、たくさん助けていただいています」
プロポーズのシーンは頭の中に常治さんの顔が浮かびました(林)
結婚写真を撮影している時、お父ちゃんのことを思い出しました(福田)
-結婚写真も完成し、晴れて夫婦となった二人ですが、今の思いを教えてください。
林さん「財前さん演じる母が『常治さんがいてくれたら、お前なんか門前払いされてた、そういう厳しい目に遭わせたかった』と言うシーンがありましたが、それは僕自身もそう思います。きっと信作の気持ちもそうだったと思います。常治さんに結婚の許しをもらいに行くことはきっとものすごく怖いことだったはずですが、信作は絶対に常治さんに聞いてもらいたかったし、二人が結婚した姿を見てもらいたかったと思うんです。
百合子が『あかまつ』に行き始めた頃、『お父ちゃんと「あかまつ」で飲んでみたかったなあ、お父ちゃん「あかまつ」でどんな風に飲んでたんやろ、そんなこと思いながら行ってんねん』と百合子の気持ちを言い当てていますが、あのシーンで信作の心の中にもいつも常治さんがいるということが描かれていたので、プロポーズの時は頭の中に北村さんの顔が浮かんでいました。そういった責任感も背負いながら、ひとつひとつのことばを百合子にかけていました」
福田さん「結婚写真は写真館で撮影した風にスタジオで撮影したのですが、喜美子姉ちゃんが結婚したときからずいぶんと豊かになったなあ、これも八郎さんのおかげだなと思いました。鮫島さん(正門良規)も武志(中須翔真)もいて、こんなに家族がそろうことはもうないかもしれないので、本当に宝物だなと思います。そして自然とお父ちゃんを思い出してしまうんですよね。お父ちゃんはどう思うんやろな、喜んでくれるかな、と。やはり川原家にとってお父ちゃんの存在は大きかったと思います」
共感できる平和な夫婦の在り方を楽しんでください(林)
おじさんと陽子さんのような夫婦の雰囲気を出せたら(福田)
-最後に視聴者のみなさんにメッセージをお願いします。
林さん「百合子と信作の間には大きな事件がないことがおもしろいところだと思っています。今後年齢を重ねていく中で、『ああ、夫婦ってこういうことあるよね』ということが描かれていくので、そういうところも楽しみにしていただきたいと思います。
そして、現場に行くたびに感動させられるのですが、戸田恵梨香さんは本当に命を懸けて演じておられます。撮影の都合上、年月をまたいだシーンの撮影を行ったり来たりする中、最近もらったばかりの台本を演じなければいけないタイミングがあったのですが、そのもらったばかりの台本がもうぼろぼろなんです。台本ってあまりぼろぼろにならないものなんですよ。本当に驚きました。とてつもないスケジュールの中で、ご自身が納得がいくまで突き詰めて、愛を持って作品に取り組んでらっしゃる戸田さんの姿にいつも感動します。そして自分も頑張らないと、という気持ちになります。そんな戸田さん演じる喜美子の生きざまを、最後までしっかりと見届けていただきたいと思います」
福田さん「信作と百合子、二人の夫婦の形を今後、大事に積み重ねていきたいと思います。喜美子姉ちゃんと八郎さん、直姉ちゃん(桜庭ななみ)と鮫島さん、いろんな形の夫婦が見られるところも楽しみにしていただけたらと思います。信作と百合子がこれからどんな夫婦になっていくのか私自身も楽しみですが、互いに思いやる夫婦になっているんじゃないかと思います。そして大野家のおじさんと陽子さんのような空気感も出していけたらいいなと思っています」