「伊藤美誠ちゃん、大人っぽくなったねー」
先日全日本選手権のニュースを見た友達の、何気ない一言で、はっとしました。
2014年のドイツOP。平野美宇選手と組んだ女子ダブルスで、ワールドツアー初優勝。賞金額に驚く2人の可愛らしい表情は、皆さんも覚えているのではないでしょうか。
あれから5年。確かに年月によるものもあるかもしれませんが、それ以上に、どこか内面からくる何かを、目の強さから感じるように思います。
初めて伊藤選手を取材させてもらったのは、2014年の全日本選手権だったと記憶していますが、よく笑いよく喋る元気で可愛い中学生だなぁという印象でした。
卓球選手というよりも、なんだか周りの友達と卓球をするのが楽しくて仕方ありません!あはは!といった感じ。
それが今は…と言いたいところなのですが、今もよく笑いよく喋る元気で可愛い高校生なんです。
リオ五輪後にフィジカルトレーニングに力を入れたことを「好きじゃなかったのでこれまであまりやってなかったんです!」と申し訳なさそうに笑って見せたり、練習でトリッキーな技を遊びながら試して新しい技を生み出したり、「競って得点を取ったゲームは勝てるんですよ!」と独自の方程式をケラケラと笑いながら教えてくれたり。本当にいつも明るくてユーモア溢れる伊藤選手。
ただ、ここ最近、これまでとはちょっと違う雰囲気を感じるのです。なんだかものすごいオーラがあるように思います。
去年の世界卓球スウェーデン。日本女子は銀メダルを獲得しました。その中でも、ものすごい活躍を見せたのが伊藤選手。ただ一人負けなしで大会を終えたのです。
あの中国選手相手にただ一人勝利。さらに、その後のスウェーデンOPでは、劉詩文、丁寧、朱雨玲という中国のトップ3を倒して優勝を成し遂げたのです。
誰もが舞い上がってしまうであろう状況。だって、あの中国の3選手を破ったんですよ?DIOとフリーザとラオウを連続で倒すくらいすごいです。(伝わりますかね?)
そんな快挙を成し遂げたんですから、きっと、2014年のドイツOPで見せたような可愛らしい表情が見られるに違いない、と思いました。
しかし、その予想は大きく外れることに。
そこにあったのは、毅然といつもと変わらない伊藤選手の姿だったのです。
もう彼女にとって中国選手は怖くない。勝てる相手となったのです。
先日の全日本選手権。女子では初めての2年連続三冠を達成した伊藤選手。
その後のインタビューでは「4―0で勝つべき試合だったので」と、笑顔をあまり見せませんでした。ただ勝つのではなく、自分が納得できる内容で勝つ。
その姿に、背負うものの大きさと、受けて立つという意志の強さを感じました。
これが、私が感じたオーラの正体なのかもしれません。
先日、世界卓球2019のシングルス代表メンバーが男女4人ずつ発表されました。そこには彼女の名前もありました。
これまで数々のドラマを生み出してきた世界卓球。今年は一体どんなドラマが見られるのでしょうか。2014年から世界卓球に関わらせてもらってから今年で6年目。私は、今年こそ日本選手がシングルスで金メダルを獲るのではないかな、と本気で思っています。
それが伊藤選手なのか、はたまた他の日本選手なのか。
いずれにせよ、みなさん!歴史的瞬間をお見逃しなく!!