発疹だけじゃなく激痛も!「帯状疱疹」ってどんな病気?
名前の割に症状や原因が知られていない「帯状疱疹」
帯状疱疹になると、まず皮膚に神経痛のような痛みが起こり、その部分に水ぶくれや赤い発疹が帯状に出てきます。通常、強い痛みや皮膚の症状は体の片側だけに帯状に現れ、3~4週間続きます。また、症状は上半身に出ることが多く、最も多くみられるのは胸から背中にかけて。顔や首など目立つところに症状が出ることもあります。
皮膚に水ぶくれや赤い発疹が帯状にあらわれます
痛みは、しびれとして感じる程度から、ピリピリ、ズキズキ、チクチク、針で刺されたようなものから、焼けるような激痛まで、人によってさまざまです。皮膚の違和感やかゆみとして感じられる場合もあります。
帯状疱疹になると、痛みのために仕事や家事に集中できなかったり、よく眠れないなど日常生活に支障をきたしたりすることがあります。なかには、失明や難聴、顔面麻痺など重篤な合併症を引き起こしてしまうことも。また、皮膚の症状が治った後も長期間にわたって痛みが続く人もいます。
帯状疱疹になってしまったら…
- 痛みがひどくて、体を動かすのがつらい
- 痛みが気になって家事や仕事に集中できない
- 痛みのせいで、ぐっすり眠れない
- 顔や首の発疹が気になり、外出がおっくうになる
痛みで日常生活に支障をきたすこともあります
「弱っているとき」は気をつけたい!原因は水ぼうそうと同じウイルス
帯状疱疹の原因は、水ぼうそうと同じウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)です。最初にこのウイルスに感染すると、水ぼうそうとして発症します。ところが、このウイルスは水ぼうそうが治った後でも体外に排除されずに、体内の神経節と呼ばれる神経の集まった部分に潜んでいるのです。時間が経って、加齢や病気、疲労、ストレスなどにより、ウイルスに対する免疫力が低下すると、潜んでいたウイルスが再び活動を始め、神経節から神経を伝わって皮膚に出てきて帯状疱疹として発症します。日本では「あまり症状が強く表れなかったため自覚がない」という人を含めると、成人のおよそ9割が水ぼうそうにかかったことがあるといわれています(引用:国立感染症研究所感染症疫学センター. 年齢/年齢群別の水痘抗体保有状況, 2016年. ) 。その人たちは体内にこのウイルスをもっています。つまり、帯状疱疹はほとんどの人がかかる可能性のある病気だということです。
帯状疱疹は加齢などによる免疫力の衰えが目立つ50歳代から増加します。その後60代、70代と徐々に発症率は増加していき、80歳までに約3人に1人が帯状疱疹になると推測されるデータもあります。
対象・方法:1997~2011年に宮崎県の46施設で帯状疱疹と診断された75,789例について年代別に帯状疱疹の患者数及び発症率を算出した。(1)外山望. 日臨皮会誌. 2012; 29(6): 799-804 より一部作図.)
どんな生活を送ればいい?「免疫力」を落とさない心がけとは
帯状疱疹の治療には抗ウイルス薬などが使われます。また、痛みを抑えるために鎮痛薬を使用する場合もあります。治療が遅れると合併症を起こしてしまう可能性もあるため、体の片側だけに皮膚のピリピリとした痛みや違和感、発疹が出た場合は、なるべく早く皮膚科に行きましょう。予防法として心がけたいのは、免疫力を低下させないこと。規則正しい生活とバランスの取れた食事を心がけましょう。睡眠時間の確保につとめ、疲れたと感じたら休むこと。適度な運動などでストレスを解消するのもおすすめです。
ワクチン接種での予防も。50歳以上になったら選択肢のひとつに
帯状疱疹には予防するワクチンがあります
予防接種は帯状疱疹を完全に防ぐものではありません。しかし、たとえかかったとしても、症状が軽くすむというデータもあります。
接種は皮膚科、もしくは内科などで受けることができますので、まずはかかりつけの医療機関で相談をしてみましょう。こちらから病院を探すこともできます。
高齢になって帯状疱疹にかかると、完治するまでの間外出を控えるなどして運動量が落ちてしまいます。そうすると筋肉量が減り、少し動いただけで痛みを感じたり、思うように動けなくなったりして、どんどん動かない生活になってしまうこともあります。50歳を越えたら元気なうちに予防接種をしておくことも選択肢のひとつです。
【関連リンク】
帯状疱疹.jp
提供:一般財団法人阪大微生物病研究会