マッシュアップとは、ある曲のボーカルトラック(アカペラ)と、全く別の曲の伴奏(インストゥルメンタル・トラック)を1つに掛け合わせることを言います。というわけで、今回は、マッシュアップの作り方を解説します。
最初に言っておくと、マッシュアップは、どんな曲でも掛け合わせることができるわけではありません。これを理解しないままにマッシュアップを作ると、不協和音の雑音が出来上がります。
では、どのような曲なら掛け合わせることができるのでしょうか? それぞれの曲にはキー(調)というものが存在します。下の表を見てください。
DJの人にはお馴染みの人も多いと思いますが、これはキャメロット・ホイールと呼ばれるもので、DJミックスをする際に相性の良いキーがまとめられた表です。DJ以外の人には馴染みがないものですが、Relative Key(平行調)をまとめた表です。
マッシュアップを作る際には、掛け合わせようとしている2つの曲のキーが一致するもの同士か、その上下のキーの曲を選ぶことが重要となります。たとえば、E Major(12B)のアカペラの場合、掛け合わせても大丈夫なものは、E Majorまたは、D-Flat Minor(12A)ということになります。
DJミックスをする際は、その左右のキーの曲も大丈夫ということになっていますが、マッシュアップの際には、これはうまくいかないと考えてください。
マッシュアップの大まかな手順としては、以下のようになります。今回の前編では、2の「アカペラのキーに合致するトラックを探す」までを解説します。
使用したいアカペラを決める。
アカペラのキーに合致するトラックを探す。
選んだ2曲をDAWに読み込み、テンポを調べて合わせる
アカペラ、伴奏トラックに合わせて、曲の構成を編集する
アカペラと伴奏トラックのバランスを整える
バウンスして完成
1. アカペラを決める
さて、実作業に移ろうと思いますが、まず使いたいアカペラを決めていきましょう。今回は、Nicky Romero & Vicetone の Let Me Feel を使いたいと思います。
このアカペラは、Beatportで購入することができます。
https://www.beatport.com/release/protocol-acapellas-vol-1/1671558
ここで少し困ったことが起こりました。このキーは、アカペラにはE Majと書かれていますが、オリジナルミックスの方を見ると、A Majと表記されています。
https://www.beatport.com/track/let-me-feel-original-mix/5846609
これは、アップロードされた曲をBeatportが機械で自動検出しているためだと思われますが、誤検出されることがあるのです。アカペラでは、構成音が少ないためにキー検出精度が下がることがあるようなので、オリジナルミックスの方も同時に確認すると良いでしょう。この場合A Maj(11B) が正解です。
2. アカペラのキーに合致するトラックを探す。
さて掛け合わせる曲を決めていきます。当然ですが、ボーカルの入っていないインストゥルメンタルのトラックを探します。
Beatportでは合致する曲を、様々な条件で検索することができます。
https://www.beatport.com/tracks/all
今回は以下の条件で、フィルタリングを行いました。
BPM: 128 to 128
GENRE: Bigroom
KEY: A maj
LABELS: SPINNIN’ RECORDS
テンポの欄は、同じ数字を入力することで、128BPMのみの曲がフィルタリングされます。アカペラのテンポが128だったので、これに合わせました。キーは、前述の通り、アカペラのキーがA Majなので、合致するのはA Maj(11B)か、F# min(11A)ということになります。ジャンルやレーベルは、お好みでいいでしょう。良く知られている曲で解説した方が良いと思い、今回はSPINNIN’ RECORDSの条件を追加しました。
検索した結果、CartaのShanghaiという曲がヒットしました。
というわけで、Nicky Romero & Vicetone / Let Me Feel と、 Carta / Shanghaiを使ってマッシュアップを作ってみたいと思います。
以上で、マッシュアップを作るための準備は完了です。次回は、いよいよ実際にマッシュアップを制作する作業をしていきましょう。
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