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神の創造し魔法世界

作者:グングニル

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光の魔導士

 新たなスターダストの一員となったアカリ。カイキはアカリとパーティーを組むうえでお互いの戦力を確認するためにさっそく二人で大型魔物の討伐依頼へと向かった。依頼書に指定されている場所はサカイヤ近くの森の中。どうやら餌を求めて森までやってきて、数週間前からそこに住み着いているらしい。報酬だけ見ればそこまで強そうな魔物ではなさそうだが、互いの戦力確認するのには十分な相手だ。何より日帰りできる距離というのがかなり大きい。


 カイキは森の中で依頼対象の魔物を探している間にアカリへいくつかの情報収集をしておくことにした。


 「ところでアカリってなんの魔法を使えるの?」

 「私?私はね、光属性の魔法を使うよ」


 その一言でカイキの足が止まった。この世界には様々な属性の魔法が存在する。原初魔法と呼ばれる光・地・火・水・風・無という6つの基本属性に加え、これまで人類の研究によって開発してきた属性も加えると現在では50を超える属性が存在する。そんな数ある属性の中でも光属性と地属性は最上位属性と呼ばれ、習得することが特に難しく習得するだけで50年の歳月を費やした魔導士もいるという。それほどの高度な魔法だというのに、魔法歴推定10年のアカリが習得しているなんてまさに魔法世界全土が驚愕するべきことである。


 「ま、マジで言ってんの・・・」

 「まぁねー」


 カイキの反応を見たアカリは自慢げに返した。もしかしたらアカリはカイキの思っていた以上の実力の持ち主かもしれなかった。そう考えたカイキは突然手が震えだした。パーティーを組んだとはいえ、これまでは王女のお守りをしなければならないという懸念に襲われていたが、もしかするとその逆。カイキはとんでもない魔導士を仲間にしてしまったのかもしれなかった。カイキは初めてだった。まだ実力も知らない魔導士にここまでの期待を持つのは。


 単なる興味本位な質問で、思わぬ成果を得ることができた。そんな時、二人の目の前にようやく依頼対象の魔物が現れた。『ピュートーン』と呼ばれる巨大な蛇型の魔物。そのあまりの大きさからドラゴンと見間違われることも多いらしい。元々は沼地に住んでいることが多い魔物のはずだが、食料を探してこんなに街の近くに来るなんて放っておいたら街に被害が出る可能性もある。


 とはいってもこれはお互いの力を見せ合うことを目的とした依頼である。本来ならば複数人で討伐すべき魔物なのだが、今回はアカリ一人で戦ってもらい、もし危なくなったときはカイキがサポートに入ることにした。間違いなく最終的にカイキがサポートに入ることになるだろうが、一人でどこまでいけるかカイキは楽しみで仕方なかった。そんなカイキの期待をアカリはいい意味で大きく裏切ってくれた。


 「降り注げ!『ホーリー・レイン』!!!」


 アカリの全身から放たれた光のエネルギーがまるで雨のように降り注ぎながら魔物に襲い掛かる。その威力はかなり半端なく、エネルギー一つ一つが地面に着弾するたびにわずかに地面が揺れるほどだった。先ほども述べたとおり、本来なら複数人で討伐するべき魔物のはずだが、なんとアカリはそのたった一発の攻撃で大型の魔物を戦闘不能にまで追いやっていた。確かに習得が難しい分、光属性の魔法はかなりの高威力の魔法なのだがアカリの魔法はその平均値を大きく上回っているように思える。カイキはこの戦闘でアカリの戦闘における立ち回りも見ておきたかったのだが、アカリの実力が想像をはるかに超えていて叶わぬものになってしまった。


 アカリは再び自慢げにカイキの方を見てにこりと笑った。その笑顔に僅かながら恐怖を覚えたカイキだった。何はともあれ、依頼を無事に達成することができたし、アカリの実力の一部を知ることができた。今日の成果は上々といえるだろう。しかしここで、戦闘内容とは別にとある問題が浮かび上がった。


 「ねえカイキ、依頼を達成した時の報酬ってパーティーで平等に分けるんだよね」


 普通ならそうである。しかし今回は、アカリの独壇場でカイキは何一つ成果を上げてない。というか、上げられなかった。そんな立場のカイキが、アカリが得た報酬を分けてもらうなんてできるわけなかった。パーティーを組むとこういう面倒くさいこともあるんだと、カイキはまた一つ学んだ。今回はやむなく、カイキはアカリに報酬の全てを譲ることにした。だがこれは、カイキがアカリの実力を見誤った結果でもあるし、報酬以上の成果を得ることができたから今回は良しとすることにした。


 報酬に関してもこれで解決し、カイキは討伐した魔物を異空間ボックスというマジックアイテムに収めた。異空間ボックスとはその名の通り虚無空間という異空間に繋がる、片手で持てる大きさの不思議な箱である。どんなに大きなものでも収納することができ、魔導士にとっては必須のマジックアイテムである。討伐系の依頼の場合、依頼主から渡された異空間ボックスで討伐した魔物を収納し、そのボックスを依頼主に返すことで依頼完了となる。


 二人はサカイヤへ戻り、討伐した魔物が入った異空間ボックスを依頼主に渡して報酬を受け取った。カイキはこの報酬でアカリが住む部屋を借りれればと思っていたが、たった一つの依頼で部屋を借りれるほどのお金を得られるはずもなく、今日のところはアカリにはホテルに泊まってもらうことにした。明日の最終目標としてアカリの住まいを見つけなくてはいけない。世間知らずの王女様のため、場所はカイキと同じアパートにすれば問題はないが、部屋を一つ借りるためには最低でも五つの依頼をこなさなくてはならない。

それを一日でやらなくてはいけないのだから、明日はカイキにとって久しぶりに忙しい一日になりそうだった。


 そして翌日、カイキとアカリは魔導士ギルドスターダスト内にある様々な依頼が貼られたボードを見ながら今日行う依頼を探していた。今日は依頼を最低でも五つはやらなくてはいけないが、ギルドの規則で一度に受けられる依頼は三つまで。依頼を達成した後にギルドに帰ってくることを考えると、場所を考慮しなくてはならない。アカリの実力なら討伐系の依頼なら早々に達成できるだろうが、近場でいくつも討伐系の依頼があるはずもない。これならサカイヤ内の一般市民の手伝い系の依頼をしていた方が効率がよさそうだった。討伐系より報酬が少ない分、依頼の数を増やさなくてはならないし、実力を披露する場面もなくなってしまうが仕方のないことだ。しかし、これまで自分の思うがままに依頼に挑んできたカイキにとってこの選択は憂鬱であることは間違いなかった。


 アカリにとってはそれほど苦ではないようだった。いやむしろ、直接一般市民の役に立てるという嬉しさの方が勝っているようだった。アカリも不服ではなさそうだし、カイキが手伝い系の依頼書に手を伸ばそうとしたその時、後ろから突然叫び声が聞こえた。


 「やっと見つけたー!!!」

ここからいろんなキャラクターとの出会いが始まります。お楽しみに!

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