麒麟がくる感想あらすじレビュー

麒麟がくる第6回 感想あらすじレビュー「三好長慶襲撃計画」

麒麟がくる第6回 感想あらすじレビュー~視聴率は2/25に発表です

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麒麟がくる感想あらすじレビュー

天文17年(1548年)、秋――。

京都は、細川晴元三好長慶が覇権を争い、一触即発の状況でした。

下克上が横行する京都は不気味な静けさに包まれていたのです。

三好長慶が馬で駆けてゆく中、その姿を見るこもをかぶった男の目つきは鋭い。

名も無き者すら、不穏さを見せる。丁寧な演出が光ります。

 

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    お忍びで連歌会に参加する

    三好長慶は、右腕である松永久秀と語り合っております。

    細川晴元が摂津から兵を挙げ、攻め寄せて来るのではないかと疑心暗鬼に陥っている。

    幾たびも裏切り、裏切られてきたゆえ、疑うことが習い性となってしまい、仕方ないと笑い話にしております。ストレスフルな状況です。本人たちは笑い飛ばしていますが、精神的にはよろしくないでしょうね。

    そんな中、殿がお忍びで京都にいると知れば驚くだろうと、笑い飛ばす久秀。

    しかも目的は、公家衆との連歌会。なんとも呑気といえばそうではあります。

    久秀は、その連歌に晴元を呼んでしまったらどうかとすら言い出す。長慶としては、師の宗養もいるからには、悟られないようにお会いしたいと言います。彼なりの敬意がそこにはあるわけです。

    ここで久秀はお供仕ると言い、武器を長押から引き出す。どこにでも武器を隠しておくあたりに、治安の悪さがわかります。

    馬の嘶きも聞こえる。緊迫感が伝わって来るのです。

     

    伊平次が耳にした陰謀

    その頃、光秀は伊平次の技量に感心しております。悪童から成長したものだと感心しております。

    そのうえで、玉の通り道の美しさに感動している。

    「はぁ……うつくしきものじゃ」

    それを見て美しいとおっしゃったのは、十兵衛様と松永様だけだと伊平次は言います。久秀は、人が工夫を凝らしたものは皆美しいという理念があるそうです。

    殺傷に使えるものを美しいと褒めるのは、ちょっとおそろしいものがある。ただ、この二人の美的センスはかなりのもの。無邪気に日を愛でる素直さとも言えるのかもしれません。

    伊平次は、世間では怖い方と言われているが、松永様はよい方だと言います。

    本作の松永久秀は、最新の研究をふまえた造形だと感じられます。

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    久秀にせよ、光秀にせよ。

    どうしてその人物が悪名に塗れたのか? そこに偏見、後世のバイアスはないか? それが試されています。

    彼ら自身のことではなく、見る側の偏見が試されているとも言える。

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    そんな伊平次は、その松永様も今日という日を切り抜けられるかどうか。ご主人と討たれたらそれまで……そうつぶやくのです。

    聞けば伊平次は、遊女屋で耳にしてしまいました。三好長慶、松永久秀、二人を斬る――そんな相談をする計画を。

    遊女屋で聞いた企み

    標的は?:三好長慶、松永久秀

    警護の数は?:お忍びの連歌会ならば多くはない

    襲撃者の数は?:20

    場所は?:万里小路家

    戯言ならばよろしいのだが……。そうは言っても、あまりに具体性のある計画です。

    本作の特徴として、事件の詳細をきっちり語るところがあります。不確実な情報では動かないのです。

    ちなみに日本の遊女屋は、これが筒抜けでして。幕末に来日した外国人は、

    「こんなプライバシーのない場所で遊べないよ! 声が全部聞こえるでしょ!」

    と、驚いたそうです。うーん、刺客よ、そこは部屋を選ばなくちゃ。

     

    三淵藤英邸にて

    三淵藤英の邸宅に、足利義輝がいます。能を楽しんでいるのです。

    それにしても、公方様は今日もおうつくしい。透き通った烏帽子。たたずんでいるだけで美しい。けれども、その美しさは儚い。

    何が素晴らしいか?
    それは向井理さんが美形であるということだけではありません。役者は美形が当然ともいえます。

    その上で憐憫がある。散る前の花の悲哀がある。『三国志』ならば献帝のような佇まいがうっすらとあるのです。

    なまじ「剣豪将軍」であるだけに、いかついイメージを抱かれるかもしれませんが、私はこれが義輝としての最適解ではないかと思ってしまう。その答えは、この儚さにあります。

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    そんな席に、藤英の近習がやってきて何事か耳打ちします。

    「しばしお待ちいただけ」

    考え込み、待っているのは十兵衛です。

    「これは明智殿、いかがなされました」

    藤英も愚かではありません。よくここがわかったと探りを入れている。理由もなく探り当てたとなれば、それこそ不審なのです。光秀から伊平次に案内をさせたと聞き、納得があるようです。

    光秀は断りもなく訪れた無礼を詫びつつ、「卒爾そつじながら……」と切り出します。本作は語彙が盤石で心地よいですね(卒爾=軽率な、失礼な/デジタル大辞泉)。語彙といっても、当時そのまま再現すればそれは『タイムスクープハンター』になる。そこは、最近の時代ものですらちょっと遠かった語彙ということで。

    三好長慶暗殺計画

    いつ?:本日

    どこで?:三好長慶、松永久秀が参加する連歌会

    何を?:不逞の輩が、標的の三好長慶、松永久秀を討つ

    十兵衛の話を聞いた藤英には迷いがある。松永殿のご家来衆の耳に直接入れるべきだと誘導します。

    そこはぬかりがありません。光秀は既にご宿所訪れたものの、姿がなく、やむなくこちらに来たと告げるのです。

    光秀はすぐに参らねば手遅れになると焦りを見せる。

    しかし、藤英からすれば駆けつける理由がないということにはなる。三好長慶も、松永久秀も、昨年まで将軍家と争っていた。そう苦い顔の兄に、異母弟・細川藤孝は苛立ちを見せます。

    確かに主にとっては敵。とはいえ、彼らと協力して京を安寧に保つと兄上は仰せではないか。そう弟は訴えるのです。

    藤英もわかってはいる。しかも、その連歌会は、細川晴元が裏で動いていることも把握している。つまり、黒幕は細川晴元だとわかりきってはいるのです。

    やはり藤英は優れています。その程度のことは情報収集できていればこそ、光秀の訴えを退けなかった。

    だからこそ、こう言い切る。それは所詮、細川の家の内輪揉め。手を出すまでもない。そうそっけなく言うのです。

    兄より熱いところがある弟は、こう反発します。

    「私は細川晴元は嫌いです!」

    去年まで、義輝様が去年まで近江に身を潜めるまでに陥れたのは、細川晴元。そこまで追い詰めたのは細川晴元であり、三好長慶・松永久秀ではないと言い切るのです。

    兄上もわかっておられよう。そう言う口調からは、苛立ちが滲んでいます。そして、晴元では京都の安寧は持ちませぬぞ、そう言い切るのです。

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    なにせ、晴元は義輝様の前で、平気で鼻をかむ男。兄上も見ておられたはず、あのような者に!

    そう言い切る藤孝は、完全に気高さが出ている。マナーには言いたいことがある。そういう性格です。

    このことを、再来年まで是非とも覚えておくと良さそうです。同じ武士でも『鎌倉殿の13人』の鎌倉武士と、この時代の武士はまるで違う。マナーのレベル、文明や文化の発展として、覚えておくとより歴史が楽しくなりますから。

    たかが鼻、ちーん。されど、鼻ちーん。そこにはプライドの問題がある。

    三淵藤英と細川藤孝。この兄弟の性格の違いが出ていると思います。兄は受け流せても、弟はできない。演じる谷原章介さんと眞島秀和さんが、これまた素晴らしいものがあります。

    冷静で陰性な兄と、優美さの中に陽性、熱い滾りを秘める弟。本作は二人いる人物を対照的に見せる、そういう仕掛けが抜群にうまい。それに応じる役者さんも本気です。

    「三好が斬られれば、晴元を抑えるものが皆無となる。あんな無礼者がこの都を!」

    藤孝は人を集めるのですが、行くことはあいならぬと藤英は止めるのです。

     

    武士の誇りゆえに

    そのうえで、光秀に詫びます。わざわざお越しいただいたが、我らは将軍義輝様に仕える身。もしも動けば、将軍の御上意だと受け止められる。それは困ると。そのことをお含みいただき、お帰りいただくよう。そう言おうとすると、光秀は食い下がるのです。

    「私が幼き頃、父から教わったのは、将軍は武家の棟梁であらせられるということです。すべての武士の頭であり、すべての武士の鑑であり、すべての武士を束ね、世を平かに治める方であると。今、この世は平かではありませぬ。この京都も家臣同士が争い合う。それを目にしたなら、武士をひとつにまとめ、将軍が争うなと一言お命じになれば、世は平かにはなりませぬ! 三淵殿が将軍のお側にいるのであれば、そう申し上げていただきたい! 私情ではない。武士の一人として、お願い申し上げておるのです!」

    武士の誇りを忘れぬ男――キャストビジュアルでそう語られる、そんな明智光秀。彼は誇りゆえに、そう言うのです。

    その場で光秀は誰にも相手にされぬようではありますが、彼の言葉を義輝その人がじっと聞いています。静かながらも、何かを動かされたような、それでいて哀しい表情なのです。

    武家の棟梁という宿命を背負い生まれて、世が乱れ、何もできぬ存在。そのことがどれほど彼を苦しめているのか。そのことそのものを、義輝自身は考えないようにしてきたのかもしれない。

    義輝はこうそっと言うのです。それは……。
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