★新型コロナウイルスの厚労省のずさんな対応に国民はうんざりしている。だがその根底には政権の対米従属のみならず、中国にも何も言えなくなっている経済依存の実態が浮かび上がる。2つのニュースをどう見るか。23日朝6時のNHKニュースは「クルーズ船『ダイヤモンド・プリンセス』の対応について日本側が当初、米国人乗客の早期帰国を提案したのに対し、米側はCDC=疾病対策センター=などと議論した結果、『乗客を下船させ、横田基地などに移動させれば、感染リスクが高まる』として船内にとどめるよう要請していた」と報じた。ニュースソースを含め見方はさまざまだが、横田基地を優先させたとも聞こえる。

★また、春節の時期に大挙して押し寄せる中国観光客を食い止められなかった初動の失敗についても政府筋は、習近平国家主席の国賓来日を控えて中国側から「大ごとにしないでほしい」と要請があったと今更言い訳を始めたが、不安定な日本経済を支える外国人観光客のインバウンド効果を無視できずに、目先の収入を当てにした結果にほかならない。政府は今後、米中の外圧によってウイルス対策が予定通りいかなくなったとの言い訳を拡大させていくことだろう。

★もう1つの懸念は、このままイベント中止や消費自粛がエスカレートすると、日本経済が回らなくなり、インフルエンザの致死率との比較を示して自粛を打破しようとする経済優先勢力だ。イベントを中止せよとは言わない厚労相、イベントに行くなと言わない首相、景気が停滞するから予定を変えるなという声。パンデミック(爆発的流行)は人災と言われても、やむをえまい。今から数カ月は本来我慢の時ではないのか。「自己責任」を売り物にしている政府は、大雨や大雪の時にも普通通りの生活をしたがる人々を止めることをしない。(K)※敬称略