ダイエットの目的は体重を落とすことではなく身体を引き締めること。多くの人は見た目を良くすることが目的ではないでしょうか。
実際体重が落ちなくても体脂肪が落ちれば身体は引き締まって見えます。体重が落ちるのは結果に過ぎません。さらに筋力と心肺機能が向上してマラソンが楽々こなせるようになり登山やクライミングでも自在に動ける。そんなアスリートボディが理想ではないでしょうか。
去年ヒマラヤの8300m地点あたりに用事ができたため、そんな身体が必要となり2ヶ月かけて海外登山用の本来の体型に戻しました。
結果はご覧の通り、2ヶ月で体重67kg→61kg、体脂肪率18%から11.5%まで落としています。
そのために行ったトレーニングをまとめてみます。自分の身体に不満がある人や登山やクライミングでパフォーマンスを上げたい人が覚悟を決めたなら試してみるのも良いかもしれません。
※運動習慣がない人はトレーニングの専門知識を有したトレーナーの元、数ヶ月かけて下地をつくることをオススメします。
トレーニング後の身体能力はハーフマラソンで1時間25分、クライミングはオンサイトで5.12bくらいのパフォーマンスになりました。
ダイエットは辛いものと割り切る
まずトレーニングとダイエットで大事なのはモチベーション。何かを手に入れるためには何かを失う必要があります。言い換えれば覚悟を決めるということです。
断言すると運動せずに楽して短期間で痩せる手段はありません。あったとしたらそれ確実にリバウンドするやつなのでやるだけ時間の無駄です。もう一度いいます、無駄です。それを受け入れることがスタートとなります。
健康を維持して体重を落とすには筋トレと睡眠がメインになります。それと食事制限を組み合わせます。できれば筋トレ+質のいい睡眠の組み合わせを推奨したいですが、心肺機能向上と短期間での減量を目標にするならば有酸素運動は避けて通れません。
登山のためのトレーニングは何が最適なのか。日本の北アルプスを縦走するのであればロードバイクがおすすめです。もちろん山を歩くのが一番ですが故障リスクがあり、多くの人が毎日登山する時間が取れないからです。
詳細は以前書いたロードバイクの記事ご参照ください。
ではそれ以上の高所登山やクライミングのための体づくりはどのように行うのがいいのか。これは完全に自己最適化の領域なのでアクティビティとその人の体質によります。
私が行ったトレーニングの目的を例にご紹介します。
目標の体脂肪率は12%
気温が低い地域での行動はエネルギーを蓄えられる脂肪が多い方がいいのですが、標高が高いと寒さよりも高度障害の方が辛いです。障害が出ても動けるように体脂肪も必要なだけ残して削り軽量化します。
また必要以上の筋肉も酸素消費量が増えてしまうため必要ありません。一度筋肉をつけすぎてまったく動けなくなった苦い経験があります。
20-30kgの荷物を背負える筋肉量を維持しつつ要らないものを削り取ると、168cmの私の体型で61kg 体脂肪12%なります。これが私のベストコンディション。
今回はそれほど登攀技術を必要とする山ではないためクライミングは相性のいい岩でのオンサイトで5.12a、機材を背負っての登山はAD+(Add Difficult)が余裕を持ってこなせる程度に調整しました。
ちなみに日本での平均体型は66-7kg 体脂肪18%のぽちゃぽちゃ体型です。こちらの方が風邪引かないし冬の撮影でも温かいしお風呂でジロジロ見られないしメリットがたくさんあります。
高度障害のでない山では極寒の中でも撮影時間が長く取れ、生命力の高いこちらのほうが機能的です。見た目にこだわりがないのでこの体型が一番好きです。
体脂肪10%付近になるとクライミングのパフォーマンスが劇的に向上しますが、寒いし食事制限はあるし、ひたすら肉を食べないと筋肉量維持できなかったりといいことがありません。
トレーニング
筋肉量をできるだけ維持して脂肪を最適値まで落とし心肺機能を向上させるトレーニングになります。コンセプトにしたのは【体重は極力落とさずに体脂肪率を落とす】という作業です。しかしそれは理論上不可能なので体重はやっぱり激減します。
トレーニングのメインであるロードバイク・ランニング・ウェイトトレーニングすべてで心拍や消費カロリーなどのデータ管理はSUUNTO SPARTAN ULTRAを使用して行っています。とにかく細かいデータを分析できる上に専用アプリであるMovescountと接続しておくだけで自動で同期、アップロードしてくれるため管理が非常楽です。
ロードバイク
安全に心拍に負荷をかけ故障リスクの少ないトレーニングとしてロードバイクでのヒルクライムを行っています。食事制限をしているため距離は40-55kmとその日の体調で決めています。これを週3〜週4のペースで行います。
高負荷長時間の運動
心拍を160以上を維持しながらどれだけペダルを回せるかをひたすら続けます。これは心肺機能を上げるといった目的と同時に、高度障害が出ても身体を動かせるように身体を慣らせておくという経験からの調整です。
結果として心肺機能は向上しますが、毎回吐くまで追い込むのでとにかくツライです。ちなみに朝食の前にロードバイクのヒルクライムを行います。理由は吐いても胃液しか出ないから。
ランニング
やりすぎると脚を痛める危険があるため、週に2〜3回ほど軽く流す程度です。筋トレでジムに行く際はトレッドミルを使用することがあります。
トレッドミルの注意点としては走った気になっていても実際は上に飛んでるだけなので足の筋肉がつきにくいことです。カロリー消費ではなく、ランニングに必要な筋肉を使い発達させる目的でしたら5度くらいの傾斜をつけたほうが良いかと思います。私は7度くらいを使用します。
ハーフマラソンで1時間半切れるくらいのパフォーマンスになれば心肺機能は問題ないかと思います。
ウェイトトレーニング
身体を作る時も減量するときもメインはウエイトトレーニングです。有酸素運動だけだと脂肪と当時に筋肉量も落ちて体脂肪率が逆に上がってしまうなんてこともよくあります。
そのためボディメイク(痩せてキレイなボディラインを作る)という目的であれば有酸素運動は2の次でまずは筋トレです。
今回は心肺機能を向上させて短期間で体脂肪を落とす作業ですので、有酸素運動の割合が大きく筋肉量の激減が予想できます。それを防ぐためウェイトでの筋トレは限界まで追い込みます。
- ベンチプレス(胸筋)
- ラットプルダウン(背筋)
- ショルダープレス(肩周り)
- レッグプレス(大腿四頭筋)
- レッグエクステンション(太腿前面)
- レッグカール(ハムストリング)
- ヒップアブダクション・アダクション(太腿内側)
基本はこの種目を15回を3セットで限界まで追い込む設定で行いました。バランスのいい筋肉バランスを作るためジムにあるマシンを一通りこなす考えでいいと思います。クライミング系で使う腕周りの筋肉はフリーウェイトでダンベルカールなどを行っています。
筋トレは追い込むことで筋繊維を傷つけ、回復させることで以前よりもパワーアップする(超回復)という考え方が一般的です。ですので上半身の日・下半身の日・休息日を作り効率のよいスケジュールを組むことが大事です。
また筋肉の回復は睡眠時に行われているため、質のよい睡眠を取ることも必須と言われています。
今回は睡眠の質を高めるためにマットレスを東京西川のAIRシリーズに変更しました。背中への負担が少なく快適睡眠が取れ、寝起きが非常に楽になりました。
食事
身体は食べたものから作られるため食事にも気を使う必要があります。
体脂肪を落とすので当然食事制限です。しかし筋肉量はできるだけ維持したいので基本的には肉ばかり食べる生活になります。
高タンパク質摂取が基本で脂質と炭水化物(糖質)は最低限の摂取にとどめます。米やパンなど、いわゆる主食というものは排除しておかずのみを食べる生活です。
やってみればすぐに気づきますが、米やパンなどの主食を抜いた食生活にすると食費がとんでなくかかります。まっとうな金銭感覚をしている人でしたら否応がなしにスーパーのタイムセールを駆使することになります。
食事内容は単純。1日の摂取タンパク質を自分の体重(kg)x2.5g以上にし、1食のトータルカロリーを500kcal程度に調整します。これを守れば何を食べても大丈夫というルールにしました。
その際によく食べたものをご紹介します
サラダチキン
ダイエットの定番鶏胸肉です。最近はどこのコンビニでも購入できるためメニューに組み込みやすいのもポイント。個人的にはファミリーマートのタンドリーチキンが好みです。250円と他のコンビニよりも高いですがその分美味しくてジューシーなので毎日食べるものなのでイヤにならないように美味しいものを選んでいます。
西友のアンガス牛ステーキ
身体のパフォーマンスを保つため、健康の面でも最低限の脂質は必要です。そこで摂取するのが西友で売っているアンガス牛の肩ロースステーキ。100gで200円を切るコストパフォーマンス。陳列されているものの中で一番油が入っていないやつを選ぶとちょうどいい脂質とタンパク質のバランスになります。
しかし美味しく食べられないと長続きしません。多少のカロリーが増えてしまっても牛脂を使って焼くことをおすすめします。ミディアムレアに焼ければジューシーで美味しい肉ですのでダイエットの中で数少ない楽しみになります。
セブンイレブン冷凍焼き鳥
1パックで225kcal、タンパク質30gという神の食べ物。しかし脂質も11gあるため1日ひとつまでにしています。基本的に美味しい食事が取れない減量生活の中でも美味しい食事の部類に入ります。
豆腐
植物性蛋白質摂取のために必要なもの。動物性のものだとどうしても限界があります。食べ過ぎると下痢になりますし。
豆腐はいくら食べても太るものではないので(太る程のカロリー摂取の前に満腹になる)味噌汁やスープの中に入れてもよいですし、冷奴としてそのまま食べても大丈夫。困ったら豆腐に相談だ!
もちろん納豆もおすすめ。
オートミール
炭水化物のオールカットは筋肉量の低下、栄養失調につながるので最低限摂取します。その中でもGI値が低くビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富なオートミールを食べています。特に決まった時間に食べるというわけではなく、口寂しいときに一口食べるやり方でこまめに摂取しています。
無脂肪ヨーグルト
食事量が少なくなるため便秘になりやすいため、わずかながらの抵抗として食べています。
これはお腹が減って我慢できないときの緊急用としても使っています。
炭水化物とタンパク質のバランスもよいのでおすすめです。
プロテイン
筋肉量を維持し、体脂肪を落としアスリートボディを目指すならとにかくプロテイン、大量のプロテインが必要です。今回はTwitterのフォロワーさんのおすすめもありMYPROTEINとビーレジェンドのプロテインを購入しました。
プロテインはホエイタイプならなんでもいいと思います。稀に体質が合わずお腹を下してしまう人もいますのでそのときはソイプロテインがおすすめになります。
筋トレ+プロテインが初めての人はとりあえずどこでも手に入るSAVASから入り習慣づいてきたら好みのプロテインを探す旅にでてはいかがでしょうか。
なおプロテインは減量中に口にする中で最も甘味なスイーツです。どうやって美味しく摂取するかはダイエット・筋トレ成功の鍵といっても過言ではありません。
プロテインの割り方
プロテインの摂取は水・牛乳・豆乳と色々な割り方がありますが、減量中は唯一と言っていいほどのスイーツであるため、タンパク質が多く味が濃厚になる豆乳を使用することで満足感を得ます。
豆乳200ml+プロテインで300kcal近くになるので飲みすぎると減量には逆効果。
減量にこの組み合わせを入れる場合は筋トレをしっかりやるか、有酸素運動を取り入れてカロリーを消費することをおすすめします。
私の行ったトレーニングでは毎日最低でも1000kcalはトレーニングでカロリー消費するため、朝・トレーニング後・就寝前の3回に分けてこれを摂取します。
BCAA
筋トレ・有酸素運動では体内のエネルギーが足りなくなり筋肉を分解するカタボリックがおきやすいため、代替エネルギーとしてBCAAを事前に摂取します。高負荷の筋トレであっても超回復を促し疲労を素早く抜いて次のトレーニングができるように摂取します。
トレーニングの前にBCAAを摂取することで筋肉量の減少を防ぎ、筋肉増量の手助けをしてくれるという単純な考えで使用しています。人工甘味料でとてつもなく甘いエクステンドのBCAAを愛用、スプーン1杯を500mmの水で薄めるとちょうど飲みやすい味になります。
マルチビタミン
食事制限をするとどうしても栄養が偏ります。肉ばかり食べて野菜を余り食べない(根菜はカロリーが多いので、もやし・葉物が基本)ので、ビタミンが不足しがちです。一応保険としてタブレットでビタミンを補給します。
心肺機能向上と減量に効果があるトレーニング
以上が高所登山用に組んだトレーニングと食事内容です。タニタさんからはプロアスリート判定もらいました。
このトレーニングで登山のパフォーマンスが上がることは間違いありません。ただ日本の3000m付近の山なら酸素量や高度障害を考える必要はないので筋肉量の調整は必要ないと思います。適度な体脂肪率を維持つつ筋トレという考え方で問題ないかと思います。
普段から運動習慣がない方が筋トレやダイエットを行うためには強い目的意識がないと頓挫しやすく、ストレスからリバウンドすることも少なくありません。RIZAPのような高額な入会金を支払い自分を追い込むやり方も個人的にはアリではないかと思っています。
ただしプライベートジムでの短期間減量メソッドは炭水化物カット+筋トレなので、その間に運動習慣をつけないとすぐリバウンドするため、その間にランニングやロードバイクの習慣をつけたり新しいスポーツの趣味を見つけることをおすすめします。
登山は長時間行動なので体重と筋力次第でパフォーマンスが激変します。特に心肺機能が強くなると行動中に息が上がらないため楽しく登山することができますし、疲労からの判断力低下を防ぐこともできます。
楽しく登山をするために最適なバランスを見つけてみてください。
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