種苗保護へ規制強化 法改正で自民提言 登録品種増殖 許諾制に
2019年11月29日
自民党は28日の農林合同会議で、来年の通常国会での種苗法改正に向けた政府への提言を決定した。新品種の流出を防ぐため、海外への持ち出しを規制し、品種登録した品種(登録品種)の増殖は許諾制とするのが柱。農家に過度な負担とならないことや、優良種苗の安定供給なども求める。
提言では、新品種の海外流出を防ぎ、開発を一層促すため、知的財産として適切に保護する必要性を指摘。種苗法を改正し、開発者が輸出禁止や栽培地域の限定といった条件を付けた場合、条件に違反する持ち出しを差し止め可能にするよう求める。都道府県などが開発した品種の地域外栽培の規制も念頭に置く。
法改正に当たり、登録品種は、農家が次期作用に自家増殖するのも含めて許諾制とするよう要望。草丈や葉・花の形、成熟期や香りなど品種の特徴を記録した「特性表」を使い、海外流出を含む権利侵害の立証をしやすくすることも求める。
一方、生産現場には自家増殖の許諾制に懸念がある。このため在来種や、品種登録されていなかったり登録期間が切れたりした「一般品種」の増殖は、制限されないことの説明も促す。利用者が許諾を得やすくし、農家に過度な負担とならないことも求める。
主要農作物種子法(種子法)の廃止による農家の不安を受けて、優良種苗が持続的・安定的に供給されるよう、種苗法改正を踏まえて必要な措置を取ることも盛り込んだ。海外での品種登録の促進や、新品種の研究開発予算の充実なども求める。
農水省は来年の通常国会に、種苗法の改正案を提出する。提言は、同党野菜・果樹・畑作物等対策委員長の武部新氏を座長としたワーキングチームがまとめた。
武部氏は「日本で開発した品種が流出して海外で栽培が広がり、日本からの輸出品と競合している。国内農業への影響が大変懸念される」と法改正の意義を強調した。
提言では、新品種の海外流出を防ぎ、開発を一層促すため、知的財産として適切に保護する必要性を指摘。種苗法を改正し、開発者が輸出禁止や栽培地域の限定といった条件を付けた場合、条件に違反する持ち出しを差し止め可能にするよう求める。都道府県などが開発した品種の地域外栽培の規制も念頭に置く。
法改正に当たり、登録品種は、農家が次期作用に自家増殖するのも含めて許諾制とするよう要望。草丈や葉・花の形、成熟期や香りなど品種の特徴を記録した「特性表」を使い、海外流出を含む権利侵害の立証をしやすくすることも求める。
一方、生産現場には自家増殖の許諾制に懸念がある。このため在来種や、品種登録されていなかったり登録期間が切れたりした「一般品種」の増殖は、制限されないことの説明も促す。利用者が許諾を得やすくし、農家に過度な負担とならないことも求める。
主要農作物種子法(種子法)の廃止による農家の不安を受けて、優良種苗が持続的・安定的に供給されるよう、種苗法改正を踏まえて必要な措置を取ることも盛り込んだ。海外での品種登録の促進や、新品種の研究開発予算の充実なども求める。
農水省は来年の通常国会に、種苗法の改正案を提出する。提言は、同党野菜・果樹・畑作物等対策委員長の武部新氏を座長としたワーキングチームがまとめた。
武部氏は「日本で開発した品種が流出して海外で栽培が広がり、日本からの輸出品と競合している。国内農業への影響が大変懸念される」と法改正の意義を強調した。
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2020年02月19日
農高→連携で研究深化→農大校 和牛肥育で成果 熊本
熊本県で農業高校と農業大学校の連携が進んでいる。各農高に担当者がついて農大校のデータを提供したり、関係機関を紹介したりすることで農高の研究が深まった。農高卒業後、農大校に進学すれば最大5年間継続して同じ研究テーマが学べる。担当者は「生育期間が長い和牛肥育などは、各段に取り組みやすくなった」と話す。
昨年度から始めた「農高・農大一貫プロジェクト」の取り組み。農業関係の学科を持つ県内11の高校が参加している。各農高が研究テーマと取り組む生徒を決定。テーマに近い専門分野を持つ農大校の教官が担当者になり、農高の教諭と学習過程について相談する。
同県あさぎり町にある南陵高校は、肥育牛の血中ビタミン濃度が与える枝肉への影響をテーマに設定。子牛2頭を肥育して、和牛甲子園への出場も果たした。農大校が、肥育実績で得た「飼料摂取量調査結果」「発育調査結果」「枝肉成績」などを情報提供。農高生が飼養する肥育牛の生育を見比べることで研究が円滑に進んだという。
農大校に進学後も、農高で取り組んだ研究を継続できる体制も取っている。果樹や和牛の生産は時間がかかる。何度も実験を繰り返して知見を得るには、高校生の在学期間では足りなかった。
農大校で研究を続けられれば最大5年間、研究に取り組める。南陵高校の松村研太郎教諭は「研究結果を受けてどうするか、生徒が考える猶予ができた。有益なプロジェクトだ」と強調する。
熊本県立農業大学校でハトムギの研究をしている神田健さん(18)は、昨年農高生として同プロジェクトに参加。よりハトムギの研究を深めようと農大校に進学した。
農高時代の活動を踏まえた指導を農大校の教官から受けている。「農高在学中は生産で手いっぱいだったが、今は加工にまで手を広げて研究が充実している」と強調する。
県は来年度も連携事業を続けていく方針だ。
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2020年02月22日
動画チャンネル 農Tuber好評 個性派青年部員6人活躍 日常や思いを発信
JAグループが動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」に開設した、JA青年部員が農業について発信する動画チャンネル「農Tuber(ノウチューバー)」が人気だ。現在全国各地の青年部員6人が、農作業や農家の暮らし、思いを紹介する動画を投稿。複数回投稿している農チューバーもおり、再生回数が4万回を超える動画もある。
専用チャンネルは、2015年まで放送していたテレビ番組「アグリンの家」を配信する「アグリンch」内に設けた。日本テレビの無料動画配信サービス「テレビバ」内にある。農Tuberは、同番組だけでなく、今の若い農家の姿や思いを伝えようと始めた。動画は「アグリンの家」と同じ制作チームが作成。来年度以降も続け、投稿を増やしていく計画だ。
現在登場しているのは、6都県6人の青年部員ら。イチゴやミカンなど自ら手掛ける農業に加えて、ギターやキックボクシングの経験など、部員の個性も前面に出す。
16日に4回目の動画が投稿された東京都足立区で野菜を栽培する横山辰也さん(38)は毎回、「農Tuberの横山です」のコメントから動画を始める。畑の映像を中心に、トウモロコシやダイコンなどの農作業や収穫期の様子を紹介。農家の食卓も伝えようと、家族も出演し、自ら栽培した野菜を使った料理も発信する。直売でのお客さんの声も交え、農家の日常を伝える工夫をしている。
1回目、2回目では、昨年の台風被害状況も報告。他産地では、より大きな被害が出ていることを踏まえ「ぜひ農産物を買い支えてほしい。おいしい野菜を皆さんに届けたい。農家も努力しています」と訴えている。
JA全中は「テレビ離れも進む中で、若い人に農業の実態を伝えたい。より共感を得るために、世代の近い青年部員の日常を発信していきたい」(広報課)としている。
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2020年02月18日
タイ TPP加盟申請へ
タイのソムキット副首相は17日、東京都内で西村康稔経済再生担当相と会談し、4月にも環太平洋連携協定(TPP)への加盟申請を正式決定する方針を示した。会談後、西村氏が記者団に明らかにした。新規加盟交渉入りについて西村氏は、加盟国が8月にもメキシコで開くTPP委員会での決定を目指す方針を示した。
西村氏によると、副首相は会談の中で「4月ごろにも正式な決定ができるよう、調整を進めている」と説明した。
新規加盟を希望する国は、協定の窓口を担うニュージーランドに通知する。交渉入りは加盟国全ての承認が必要。協定の最高意思決定機関のTPP委員会で正式決定する。西村氏は同委員会の開催時期を「8月ごろ」と説明した。
加盟に向けては、各国の同意を取り付ける必要がある。西村氏は「よく連携してスムーズに交渉開始ができるよう、全面的に支援していきたい」と述べ、各国との調整にも協力していく考えを示した。
交渉入りした場合、農産品などの関税は2国間交渉を基に決める。タイは農産品の対日輸出額で世界4位。鶏肉、米、砂糖などは屈指の規模だ。
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2020年02月18日
農産物輸出政策 農業所得向上の追求を
2019年の農林水産物・食品の輸出額は政府目標の1兆円には届かなかったが、7年連続で過去最高を更新した。だが、伸びている品目の中には、農業所得の向上につながるか疑わしいものもある。政府は輸出額だけにこだわるのではなく、農業所得の向上に貢献する“質の高い輸出”を追求すべきだ。
農水省によると、19年の農林水産物・食品の輸出額は前年比0・6%増の9121億円だった。このうち加工品を含む農産物は3・8%増の5877億円。品目別に見ると、主力の牛肉が20%増の296億円で、同じく主力のリンゴも3・7%増の144億円と好調だった。
一方、振るわなかったのが林産物と水産物だ。特に水産物はサバの不漁などが響いて5・2%減の2873億円と低迷。全体額が伸び悩む要因となった。
香港や中国、台湾など20か国・地域が輸入規制を続けている。輸出拡大に向けて政府は、4月に設置する輸出本部を中心に、各国・地域に規制撤廃を働き掛けていく方針だ。江藤拓農相は「今年は必ず伸ばせる。1兆円を当然突破する覚悟でやっていきたい」と意欲的だ。
もちろん輸出を増やしていく方針に異論はない。問題なのは、今の輸出が農業所得の向上に結び付いているか、疑問を拭えない点があることだ。
その代表例が加工食品。5・5%増の3270億円で輸出額全体の3分の1超を占める。内訳を見ると、アルコール飲料(6・9%増の660億円)、ソース混合調味料(3・4%増の336億円)、清涼飲料水(7・9%増の303億円)など。また「各種の調製食品のその他のその他」という名称で分類されている加工食品もある。896億円と輸出額全体の1割弱を占めるが、他に分類できない雑多な食品の寄せ集めで、同省は「中に何が入っているか全く把握できていない」という。これらをはじめ加工食品には、海外の原料に依存しているものが多いと指摘されている。
政府は13年4月に決めた「農林水産業・地域の活力創造プラン」に「農業・農村の所得倍増を目指す」と明記。達成への具体策の一つに輸出を挙げる。農業所得の向上につながる輸出の実現は政府の約束である。
江藤農相は、輸出額の新たな目標を設定する考えで「どのぐらいの水準が適切か、基本計画ができるまでに詰めたい」と強調。次期の食料・農業・農村基本計画に位置付ける方針を示している。それなら、所得倍増目標の達成に向けて、輸出による農業所得の向上についても目標を設定すべきではないか。
輸出を農業所得の向上に結び付けるには、まず現在の輸出額のどれくらいが農業所得になっているかを分析し、明らかにする必要がある。その上で伸ばすべき品目は何か。伸ばすためにはどんな施策が必要か。政府はいま一度知恵を絞り農業所得向上に向けた道筋を示すべきだ。
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2020年02月20日
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新型肺炎 農業分野の影響分析 自民が農水省に指示
自民党は21日、中国を中心とした新型コロナウイルスの感染拡大による農業分野への影響を分析するよう、農水省に指示した。中国から受け入れる技能実習生の入国の見通しが立たないことや、日本人の外出自粛による観光農園などへの打撃、中国産農産物の輸入減といった影響が広がりつつあるとみて、対応も検討する。……
2020年02月22日
基本計画骨子案 現場の体制強化課題 自治体支援が必須 農政審企画部会
農水省の食料・農業・農村政策審議会企画部会は21日、新たな基本計画の骨子案を検討した。現場で各種施策を推進する自治体の体制が縮小していることを問題視し、体制の拡充を課題に挙げる意見が相次いだ。食料自給率目標は、食料安全保障の指標となるカロリーベースを基本とし、国産農産物の重要性を国民全体で共有していくため、情報発信に力を入れるよう求めた。……
2020年02月22日
20年自民党運動方針案 輸出・6次化に重点
自民党は21日の総務会で、2020年の運動方針案を了承した。11の政策課題の一つに農林水産業を挙げ、「農林水産業の成長産業化と美しく活力ある農山漁村の実現に向け全力をあげる」と明記。輸出促進や6次産業化、知的財産保護・侵害対策などに取り組む。
農業では輸出促進に加え、スマート農業の導入加速や和牛の増頭など、政府が新たにまとめた「農業生産基盤強化プログラム」の柱を盛り込んだ。農業収益向上・防災につながる土地改良事業を推進する。
担い手対策は「家族農業経営をはじめとする多様な担い手の育成・確保を推進する」と打ち出した。農地集積に向けては、「人・農地プラン」や農地中間管理機構の活動支援を挙げた。
豚熱、アフリカ豚熱などの家畜伝染病や重要病害虫対策も盛り込み、「発生・まん延防止対策を徹底する」と明記した。
安倍晋三首相(党総裁)が目指す憲法改正については「国会発議に向けた環境を整えるべく力を尽くす」とするなど、改憲への意欲を強く打ち出した。次期衆院選に向け、議員の任期が2年を切ったことを踏まえ、「常在戦場を改めて肝に銘じる必要がある」と態勢強化を求めている。
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2020年02月22日
指定20件 伸び悩み 保全期待も認定進まず 棚田地域振興法
棚田地域振興法に基づく支援対象となる「指定棚田地域」の指定が始まった。政府は2019年8月の法施行後、4県の20地域を指定。補助事業の優遇措置などの利点があるため、指定地域では「今後の保全活動の後押しになる」と期待が高まる。半面、自民党では、支援が全国に広がるよう、政府に早急な指定を求める声が出ており、今後の制度運営の課題となりそうだ。……
2020年02月20日
種苗法改正案を了承 農家負担減で指摘 自民農林合同会議
農水省は18日、今国会に提出する種苗法改正案を自民党農林合同会議に示し、了承された。品種登録時に利用条件を付け、優良品種の海外流出や育成した地域以外での栽培を制限できるようにするのが柱。悪質な違反には個人で最大1000万円、法人で同3億円の罰金を科す。品種登録した農産物(登録品種)の自家増殖は許諾制にする。
改正案では、品種登録の出願時、輸出してもいい国や国内で栽培を認める地域を指定できるようにする。条件に反した海外への持ち出しや指定地域外での栽培は育成者権の侵害となり、差し止めや損害賠償を請求できる。悪質な違反には、10年以下の懲役か罰金1000万円(法人は3億円)以下の刑事罰を科す。
農家が収穫物の一部を種苗として使う自家増殖は、登録品種に限り、育成者権者の許諾を必要とする。手続きが円滑にできるよう、同省はひな型を作成し、JAなどによる団体申請も可能にする考えを示した。
在来種や品種登録されたことがない品種、品種登録期間切れの品種に当たる「一般品種」は従来通り、農家の自家増殖を制限しない。同省によると、一般品種が米では全体の84%、ミカンでは98%を占める。
現行法では、植物の新品種の保護に関する国際条約(UPOV)加盟国には、登録品種でも持ち出し可能だ。海外での無断栽培や、日本産の輸出品との競合が問題となっていた。農家による自家増殖は認められていたが、増殖後の海外持ち出しは現行法でも違法。同省は、増殖の実態を把握しないと抑止できないとして、自家増殖を許諾制にする必要性を説明した。
改正案は、同省の有識者検討会や同党の提言などを踏まえて策定した。合同会議では「品種を守るのは重要だが、農家の事務や費用の負担が増えないようにしてほしい」(山下雄平氏)といった意見が出た。
同会議では、和牛の精液などの不正流通を防ぐための新法・家畜遺伝資源の不正競争防止法案と家畜改良増殖法改正案の条文も了承した。
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2020年02月19日
立憲・国民などWT設置 自給率、担い手不足、農地確保 安倍農政を検証
立憲民主、国民民主両党などの共同会派は、安倍政権の農政の検証に着手する。作業部会を新設して集中的に議論。食料自給率や担い手、農地、輸出などについて、政府目標と照らし合わせながら問題点を検証する。3月末の食料・農業・農村基本計画の閣議決定に合わせて今後必要な施策を盛り込んだ提言をまとめる。……
2020年02月19日
新型肺炎の混乱長期化 中国産輸入が激減 国産で代替の動き 2月第2週
主力のタマネギ9割減
新型コロナウイルスが猛威を振るう中、中国産野菜の日本への輸入量が急減した。農水省の植物検疫統計によると、2月第2週(2~8日)の輸入数量はタマネギが前年同期比で9割減で、ネギやニンジンなど他の品目も8、9割減となった。現地で人の移動が制限され、収穫や流通が停滞している。混乱は長期化する様相で、一部の日本の外食業者には国産に切り替える動きが出ている。
例年、2、3月にかけて、タマネギやニンジンなどの輸入野菜が多くなり、中国産が主力となる。しかし今年は、国産が暖冬でもともと潤沢で輸入野菜の引き合いが弱まっていた。そこに、新型コロナウイルスの影響が直撃した。中国国内では、収穫や出荷作業に制限が掛かっている。
現地で皮むきなど加工して輸入されるケースが多いタマネギは、2月第2週の輸入量が579トンと前年同期比89%減。第3週も不足が続き、「輸入の在庫分が一時的になくなった」(輸入業者)という声があった。
ネギが291トンと前年同月の81%減。ニンジンが同77%減、ゴボウが同84%減と、他の主力品目も軒並み減った。輸入業者は「仕入れ値は一時、通常の7割高に跳ね上がった」と、今後の価格動向を注視する。
輸入減を受け、国産に切り替える動きが始まった。九州の輸入業者は「一部の外食といった業務筋では、キャベツなどを国産に切り替える動きが出ている」という。一方、他の業者は「タマネギは国内の皮むき加工体制が不十分で、国産への切り替えは難しい」と話す。
中国産輸入減少は長期化する見通しだ。中国政府は、輸出向けの在庫を切り崩し、国内供給を優先する姿勢だ。日本の内閣府に当たる国務院は12日、各地方政府に、地方政府の長が責任を持ち住民へ農産物を安定供給すべきだと指示した。関係者は「農産物の生育周期を考えると正常に戻るには、最短で40日くらいはかかるだろう」とみる。
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2020年02月18日
新規就農を一貫支援 地域ぐるみ体制構築 農水省
農水省は、新規就農者の確保と定着を見据え、相談から準備・研修、就農後の各段階で支援していく体制の構築に乗り出す。市町村や関係団体でつくる協議会などが指導・助言し、活動経費を助成。地域ぐるみで一貫してサポートするのが狙い。農業技術や経営知識の習得の他、住居の確保なども視野に入れ、将来の担い手となる人材の掘り起こしを目指す。……
2020年02月18日
タイ TPP加盟申請へ
タイのソムキット副首相は17日、東京都内で西村康稔経済再生担当相と会談し、4月にも環太平洋連携協定(TPP)への加盟申請を正式決定する方針を示した。会談後、西村氏が記者団に明らかにした。新規加盟交渉入りについて西村氏は、加盟国が8月にもメキシコで開くTPP委員会での決定を目指す方針を示した。
西村氏によると、副首相は会談の中で「4月ごろにも正式な決定ができるよう、調整を進めている」と説明した。
新規加盟を希望する国は、協定の窓口を担うニュージーランドに通知する。交渉入りは加盟国全ての承認が必要。協定の最高意思決定機関のTPP委員会で正式決定する。西村氏は同委員会の開催時期を「8月ごろ」と説明した。
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2020年02月18日
牛肉SGなお課題 TPP新規加盟は加速
タイの環太平洋連携協定(TPP)加盟交渉入りに向けた動きが具体化してきた。8月のTPP委員会での交渉入りの正式決定を視野に入れるが、タイは農産品の輸出大国だけに、慎重な対応が求められる。TPPを巡っては、米国の離脱を受けた牛肉セーフガード(緊急輸入制限措置=SG)の調整なども積み残したままだ。日本が抱える課題は多い。
「全面的に支援し、緊密に連携していく」。西村康稔経済再生担当相は17日、タイのソムキット副首相との会談後にこう述べ、タイの新規加盟を全面支援する考えを重ねて示した。4月に新規加盟方針の正式表明、8月にTPP委員会で正式承認という道筋にも何度も言及した。
タイには日本の自動車メーカーなどの工場が多い。TPPに加盟すれば、完成車や部品の関税が優遇される供給網が広がるため、日本政府はタイの加盟を強く歓迎する。
一方、農産品の扱いには懸念が残る。2007年に発効した経済連携協定(EPA)では、対日輸出が大きい米、砂糖は除外・再協議の対象にした。鶏肉や鶏肉調製品は関税を削減した。
TPPの加盟国に対しては、こうした品目で日・タイEPAよりも市場を開放している。TPP加盟後の扱いは、今後の2国間交渉次第だ。
西村氏は、副首相との会談で農産品の議論はなかったと説明した。ただ、今後の対応方針は「守るべきものは守り、攻めるべきは攻める。日本の主張はしっかりしていきたい」と述べるにとどめた。
TPP委員会は、加盟国の閣僚らが集まり、新規加盟以外の論点も解決する場になる。日本が積み残しているのが牛肉SGの扱いだ。
日本は米国との貿易協定を踏まえ、米国とTPP国からの輸入量の合計でTPPのSGが発動する仕組みになるよう、22年9月までに加盟国との調整を終える方針だ。
昨年10月にニュージーランドで開かれた同委員会で日本は、日米協定の内容を説明するにとどまった。具体的な調整を進める場にできるかが焦点になる。
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