種苗保護へ規制強化 法改正で自民提言 登録品種増殖 許諾制に

 自民党は28日の農林合同会議で、来年の通常国会での種苗法改正に向けた政府への提言を決定した。新品種の流出を防ぐため、海外への持ち出しを規制し、品種登録した品種(登録品種)の増殖は許諾制とするのが柱。農家に過度な負担とならないことや、優良種苗の安定供給なども求める。

 提言では、新品種の海外流出を防ぎ、開発を一層促すため、知的財産として適切に保護する必要性を指摘。種苗法を改正し、開発者が輸出禁止や栽培地域の限定といった条件を付けた場合、条件に違反する持ち出しを差し止め可能にするよう求める。都道府県などが開発した品種の地域外栽培の規制も念頭に置く。

 法改正に当たり、登録品種は、農家が次期作用に自家増殖するのも含めて許諾制とするよう要望。草丈や葉・花の形、成熟期や香りなど品種の特徴を記録した「特性表」を使い、海外流出を含む権利侵害の立証をしやすくすることも求める。

 一方、生産現場には自家増殖の許諾制に懸念がある。このため在来種や、品種登録されていなかったり登録期間が切れたりした「一般品種」の増殖は、制限されないことの説明も促す。利用者が許諾を得やすくし、農家に過度な負担とならないことも求める。

 主要農作物種子法(種子法)の廃止による農家の不安を受けて、優良種苗が持続的・安定的に供給されるよう、種苗法改正を踏まえて必要な措置を取ることも盛り込んだ。海外での品種登録の促進や、新品種の研究開発予算の充実なども求める。

 農水省は来年の通常国会に、種苗法の改正案を提出する。提言は、同党野菜・果樹・畑作物等対策委員長の武部新氏を座長としたワーキングチームがまとめた。

 武部氏は「日本で開発した品種が流出して海外で栽培が広がり、日本からの輸出品と競合している。国内農業への影響が大変懸念される」と法改正の意義を強調した。
 

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