政府の借金1000兆円は誰かの資産。1京円を超えていた日本の資産

2018年5月12日

2016年時点で、日本の総資産は約1京500兆円です。これはトンデモ論とかではなく、内閣府が発表している数字なので間違いないはずです。その数字が何かを意味するのかは別としてですが。

お金、現金

以下の内閣府のHPで確認できます。

2016年度国民経済計算(2011年基準・2008SNA)

「ストック編」→「統合勘定(Excel形式:87KB)」をクリックするとダウンロードします。

以下が、2016年度の日本のバランスシートになります。

1.期末貸借対照表勘定    
(単位:10億円)    
  平成28暦年末  
       項          目    
  2016  
1.非金融資産 3,001,543.5  
  (1)生産資産 1,812,593.2  
     a.固定資産 1,747,082.8  
     b.在庫 65,510.5  
  (2)非生産資産(自然資源) 1,188,950.2  
     a.土地 1,182,635.0  
     b.鉱物・エネルギー資源 1,413.8  
     c.非育成生物資源 4,901.5  
2.金融資産 7,495,124.0  
  (1)貨幣用金・SDR等 6,864.4  
  (2)現金・預金 1,886,742.6  
  (3)貸出 1,398,241.2  
  (4)債務証券 1,267,386.0  
  (5)持分・投資信託受益証券 1,016,659.7  
     うち株式 701,204.5  
  (6)保険・年金・定型保証 549,102.1  
  (7)金融派生商品・雇用者ストックオプション 83,519.1  
  (8)その他の金融資産 1,286,608.9  
     
  期末資産 10,496,667.5 ☜ 日本の総資産
     
3.負債 7,146,012.0  
  (1)貨幣用金・SDR等 1,934.0  
  (2)現金・預金 1,874,830.7  
  (3)借入 1,441,224.5  
  (4)債務証券 1,410,330.7 ☜ いわゆる「国の借金」
  (5)持分・投資信託受益証券 1,246,637.4  
     うち株式 927,262.3  
  (6)保険・年金・定型保証 549,102.1  
  (7)金融派生商品・雇用者ストックオプション 89,337.8  
  (8)その他の負債 532,614.8  
4.正味資産 3,350,655.5 ☜ 日本の純資産
     
  期末負債・正味資産 10,496,667.5  
     
 (参考)歴史的記念物 615.7  
 (参考)インターバンクポジション等(負債) 224,093.2  

いわゆる「国の借金」は、本当の国の借金の一部に過ぎない

この表をみれば明らかなのですが、メディアを騒がせ日本国民が心配しているいわゆる「国の借金」は、本当の国の借金約7100兆円の、債務証券約1400兆円の中の政府の借金に過ぎないのです。でもその額は1000兆円を超えており、毎年赤字国債を発行することで残高が増えているのが問題だとの声もあります。それに対し、ほとんどの国債が国内かつ自国通貨建てで消化されているので問題ないとの声もあります。

国債が国内かつ自国通貨建てで消化されるということは国内に潤沢な現金と預金があることを意味し、国債を発行しても負債だけが増えるのではなく、家計の金融資産も増えることになります。国内全体でみれば、原則として負債か資産の一方だけが増えることはありません。

こちらも「国の借金」であるはずの借入金約1400兆円ですが、メディアでは全く問題にされませんし、国民もその借金自体について無関心です。こちらも資産側の貸出約1400兆円とバランスしており、企業などの民間の生産資産や土地などの資産となっています。

借金の返済能力でいえば、民間は自分で稼いで返さないといけないのでリスクは大きいはずです。一方で政府の借金は、税金の徴収や通貨を発行することで返済できますので、リスクは少ないのです。そのリスクの違いが、国債金利銀行の貸出金利の差なのです。

過度なインフレにならない限り、日本の場合は政府債務は問題ではない

国債をいくら発行しても問題ではない、というわけではありません。政府は2%のインフレを目標にしていますが、巨額な国債(特に建設国債)を発行すると確実にインフレに向かいます。

国債を発行すると、確実にお金が国民に渡ることになります。年金などの赤字国債の場合、受け取り側が消費しなかったらインフレになりませんが、多くの人が消費に回すとモノやサービスの価値があがりますのでインフレになります。建設国債の場合は企業にお金が渡り、雇用や資材購入のために使われ、長期的な大プロジェクトになると設備投資などでさらにインフレが加速することになります。

そのため2%インフレを達成したければ、国債を適度に発行すればいいのですが、財政黒字化を目標とする政府は国債発行を抑える政策を進めているのでなかなかデフレから脱却できないのです。

以上のことから、いわゆる「国の借金」はすべて悪ではなく、増やすべき時期があることがわかります。そして、日本の資産1京円超えのような出鱈目(数字自体に意味がないという意味で)な状況にありながら平和に日本人が暮らせるのは、お金がそれぞれ役割を果たしているからです。

家計の借金の場合必ず返す必要がありますが、通貨発行権のある政府の借金の場合は、過度なインフレや金利上昇にならない限り借り換えで対処できますので国債残高の数字自体にあまり意味はありません。過度なインフレにならないのは、日本の供給力が高いからです。その供給力は、国や民間が借金をすることで強化されてきたのです。

いわゆる「国の借金」を返すことは、国の資産を減らすことを意味します。わざわざ国の資産を減らそうとしているのが今の政府で、それを多くの国民が支持しているのです。「未来の世代につけを残すな」との号令で、未来の世代から資産形成の機会を奪っているのが今生きている世代の人たちなのです。

まとめ

  • 国の資産は1京を超えている
  • 本当の国の借金は約7000兆円で、国の純資産は3000兆円
  • メディアで騒がれるいわゆる「国の借金」は、正確には政府の借金
  • 国債が円建てで国内で消化できる日本では、政府の借金が増えると国の資産も増える
  • 過度なインフレと金利上昇にならない限り、国債をいくら発行しても問題ない