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長野飯田でも「柿のオーナー」を展開 元代表逮捕のケフィア事業振興会
出資法違反容疑で元代表らが十八日に逮捕された通販業「ケフィア事業振興会」。同社が取り扱う商品を生産していた飯田市内の関連会社の関係者が取材に応じ、多額の資金を集めた加工食品の「オーナー制度」の問題点や、二〇一八年九月に破産開始決定を受ける以前の同年春から、グループの経営が厳しくなっていたことを明らかにした。 ケフィアグループは、干し柿など加工食品のオーナーになれば数カ月後に10%前後の利息を払うとして多額の資金を集め、負債は千億円を超える。かぶちゃん農園など複数の関連会社があった飯田市などでは、〇六年から「かきの森一万本プロジェクト」と銘打って柿の幼木を植栽。柿の木一本ずつにオーナーがいた。 市内の地権者によると、自身の畑では一六年ごろから毎秋、全国のオーナーやその家族らが柿の木を見に来るバスツアーが開かれていた。木には名札が付けられ、実をつけた自分の木を見て笑みを浮かべていた様子が印象に残っているという。 一方で、ツアーは短期間に複数回あったが、この地権者は「各ツアーの前日に従業員が名札を他のオーナーの物に取り換える姿を目撃した」と証言。「一本一本にオーナーがいるなんてうそ。制度は以前からあやしいと思っていた」
関連会社の元従業員によると、ツアーではオーナーらを温泉旅館に無料で宿泊させ、関連会社が運営したテーマパークでの買い物やリンゴ狩りなども楽しんでもらっていた。一方で経営は火の車に。元従業員は「破産前の一八年春に上層部から突然、お金がないからケフィア以外の販売先を見つけるよう命じられた。老朽化した草刈り機のメンテナンスや軽トラなど必要な物も買ってもらえなくなり、あやしいなと思っていた。逮捕を知ったときは、やっぱりと思った」とも語った。 ◇ ◇ 飯田市の牧野光朗市長は十八日の会見で、同市を拠点としていたかぶちゃん農園に触れ「市田柿のブランド化や地域活性化に寄与してくれただけに、こういった結果を招いたことは大変残念。今後の捜査を見守る」と述べた。 かぶちゃん農園はケフィアのオーナー制度で取り扱った特産の干し柿「市田柿」などを生産し、一八年十月に破産手続き開始決定を受けた。市が〇五年から同市川路の天龍峡IC近くで進めていた企業立地事業の最初の進出企業。他にもかぶちゃんの関連企業が同所に立地していたが、これらの施設は現在、別会社が買い取るなど後利用が進んでいる。 市農業課によると、農振農用地の借地料の補助制度に基づいて市が補助金を支出したかぶちゃんファームが破産したため、補助金三百四十万円余の返還を破産管財人に求めているという。 (寺岡葵、伊勢村優樹) PR情報
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