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(喜美子)「あ~」やないで? 言うてみ。「喜美子」言うてみ。
(八郎)喜美子。
ちゃうなあ。もう分からへん…。
何もないねん もう何もないねん。
さっぱりとな? お互い さばさばいこうやなっ 分かる?
うち できるで。もう 手ぇ触っても 何ともない。
ほら こんなんもできるで ほらほら。
お~ ハチさん 久しぶり おうおうおうおうおうおう…。
・片づけて はよ行こう。
♪~
♪「涙が降れば きっと消えてしまう」
♪「揺らぐ残り火 どうかここにいて」
♪「私を創る 出会いもサヨナラも」
♪~
♪「日々 恋をして 胸を焦がしたい」
♪「いたずらな空にも悔やんでいられない」
♪「ほら 笑うのよ赤い太陽のように」
♪「いつの日も雨に負けるもんか」
♪「今日の日も涙に負けるもんか」
(八郎)これな…何回も壊そう思うた。
新人賞取ったやつやん。うん…。
「前に進むんは壊しながら行くいうことや」。
昔 喜美子が言うてたん思い出してな。
何回も壊そう思うた。
陶芸やってへんて ほんま?
今は休んでる。
やりたいいう気持ちはあるん?
陶芸を始めた頃の感じになれへんかな思てる。
どんな感じ。
ドキドキしてた。
土触ったり 形作ったり…あの感じな…陶芸に対する あの感じ…。
恋やな。
もっかい好きになりたい。
純粋にな。
ほな 壊したらええやん。
壊して 前に進みぃ。
ほんで うちともな。新しい関係 築こうや。
♪~
(戸が開く音)
(武志)ごめん 聞いてた。
それ お父ちゃんの大事な皿 ええの?
割ってええの?
壊して前に進むんよ。 聞いてたやろ。
せや。
ほな ちょ 貸して。
えっ…。えっ。
あ… ま… まっ…。
あっ。あっ。
いや…。
・(鼻歌)
(信作)武志~面白おじさんが来た… えっ。
よ… 呼んだよな? 呼ばれたよな 俺。えっ うん?
ケガせんかったか?あ… うん。
割るつもりやなかったんのやけど…ごめん。
割るつもりやなかったん?
あ… いや割るつもりやったんのやけど…もっと こうかっこよく シュ~投げてやろう思て…。
ハハハ… シュ~って お前野球やないねんから。
ほんで 武志が割って どないすんねん。
あ… ほんまやな…。ハハハハ…。
手ぇ滑ってしもうた ごめん。ええねん ええねん。
もともと壊すつもりやったし。
はあ… すっきりしたわ。
むしろ ありがとうや。
ハチさん これで前に進めるんちゃう?
(八郎)いや~…。
きれ~いに割ったな。
(笑い声)
♪~
ハチ…。うん。
それ 新人賞取った時のやつやろ。せや。
そやんな? やっぱり そやんな?覚えてくれてたん。
懐かしいなあ…。
焼き上がった時 見に来てくれたもんな。ああ。
貸して。うん?俺にも供養さしてくれ。
ありがとう。ちょっ! ちょっ ちょっ もう優しくやれ 優しく。 もう繊細さがないわ。
おっ アリや。えっ?
アリだ。 ヘヘヘ…。
さっき 喜美子 「ハチさん」て呼んでたな。久々に聞いたで…。
何や あいつ 明るかったな。
普通にしよう言われた。普通?
まあ 普通が何か よう分からんけどな。
まあ 意識し合う感じがな…。
意識せんとこうと思うてもそう思うこと自体が…。
嫌いで別れたわけやないもんなあ。
普通にして… フッ そんで ハチさんか。
新しい関係 築こう言われた。
女やなあ… 女は そういうことケロッと言いだしよる。男は よう言わん。
女は 強いなあ。
何してんの? いつまでやってんねん。カレー食べへんの?
(2人)食べます。
(武志)俺にとってはな 化学やねん。
(信作)化学? 釉薬がか?うん。
釉薬にはな いろんな材料があんねん。いろんな材料が熱によって溶け合って化学反応 起こすねん。ほうして 色が生まれる。
その色はな 無数や 無限にある。どの材料をどう組み合わせるかによっても色が変わってくんねん。
それが もう楽しいんや。(笑い声)
ありとあらゆる色が生まれるでな。
あっ ほやけどな 釉薬で作り出される色は穴窯とは また ちょっと違うねん。
武志は 色に こだわってるんか。
釉薬の奥深さや。釉薬が作り出す色を追っかけてる。
計算したとおりに色が出た時はそら もう たまらん。
「やった~!」思う。(笑い声)
色を コントロールしたいんやな。お父ちゃんもそやった?
まあ 計算どおりにいかんことも多いけどな。
分かってる。ほやけど それも それで楽しい。
どんな色を出したいん?そら 俺の… 俺だけにしか出せん色を…。
まだ見つかってへんのやな。
まだ出会うてないんやなあ「これや!」いう瞬間。
心が熱なる瞬間な。何 それ。
ジョージ富士川先生が言うてた。「自由は不自由」の。
うん。熱うなる瞬間なんて あんの?
あるで。 お母ちゃんにとってそれが穴窯やった。
出会えるとええな。
(八郎)楽しみやな。楽しみやな。
うん。
うちも 負けてられへんな。
よし パリ行くか。
えっ パリ?うん パリ行ってくるわ。
また けったいなこと言いだしたで。
小池さんに誘われた言うてたもんな。うん。
駅前のブティックも よう行かんやん。思い切って行ってみようかと。
大丈夫なん 飛行機。うん。
んっ お前 知ってるけ? 飛行機ってな乗る時 靴下脱がなあかんねん。
そうなん?ああ そやな ハチ。
せやで 靴と靴下はきちんと脱いで乗らなあかんねん。
ハチさん 乗ったことあるん?まあ 国内線やけど。
国際線は もっとすごいで お前。
あんな 乗る時に こう… こうやってこうやって 乗っていかなあかんねん。
そんな苦しい思いしなあかんの?ああ とにかくな全部ちっちゃくて狭いねん。えっ…。
お前 パリ 何十時間と こうやで。
どうする?そんな しんどいん…。ああ。
(八郎)うそや うそ。うそ?
(武志)信じてたん? お母ちゃんかわいいな。えっ…うそなん? えっ どこまで うそなん?
(アンリ)はい。はい。
いや~ 残念やわ パリ行かへんの。
行く気にはなったんですけど…。何で やめたん。
飛行機に乗る時靴と靴下を脱がなあかん言われて。
フフッ 何 それ。フフッ 冗談です。 それは 冗談で…前に小池ちゃんが教えてくれたやないですか。
うちの作品が小池ちゃんの人生を豊かにしてる。
ほんまに そうなら うちは まだ自分の人生を豊かにするより誰かの人生を豊かにしてあげたい。
今は パリに行くことよりここに座ってたい。
何か… 作りたいんです。
無性に 今 作りたいんです。
そうかあ…。
もう一個 教えたろか。えっ?
芸術以外で人の人生を豊かにするもんは 何や?
人を思うことや。
自分以外の誰かの人生を思うことや。
寄り添うこと 思いやることほんで 時には 背負ったりすることや。
あんな 誰かの人生を思うことで自分の人生も豊かになるんやで。
フフッ。 ええ作品作ってや。
また いつか 800万で買いに来たるわ。アハハハハッ はい。
楽しかったで。
うちも 楽しかったです。
ありがとう。
ありがとうございました。
ほな さっさと やりぃ。はい。
♪~
先生。
(掛井)うん?先生 これ…。
ああ 亜鉛結晶釉や。
結晶…。きれいやろ。
雪か… 花が開いたみたいやな…。
ええなあ…この感じ…。
<信作です><百合子ですぅ>
<第21週は 特別編「スペシャル・サニーデイ」>
<夫婦のあれこれがぎゅっと詰まったサニーの1日です>
これが 草間流柔道や!
ほんで… 何番目なん。
<ほな 多数決や。 見る人~?><はい!><はい!>
(2人)いらっしゃい。