こんにちは、東大ハロプロ研究会のまりぽん&愛理です!!今回はモーニング娘。楽曲の中でも、特に「9期メンバー鞘師里保のコーラス」に着目し、分析を行ってみました。
コーラス参加者まとめ
今回は編集ソフトやアプリを使用して楽曲のコーラス抽出を行い、鞘師里保(以下、鞘師)がモーニング娘。在籍時にエースとして活躍した期間のシングル楽曲を主な分析対象としました。具体的には、鞘師がセンターを務め始めた50th sg「One・Two・Three/The 摩天楼ショー」から、モーニング娘。卒業により最後の参加となった60th sg「冷たい風と片思い/ENDLESS SKY/One and Only」までのシングル楽曲、全24曲です。(道重さゆみソロ歌唱曲 57th sg「シャバダバ ドゥ〜」を除く)
まずは、全24曲のコーラス参加者を表にまとめてみました。
(敬称略)
※One・Two・Threeのコーラス参加者は「モーニング娘。」表記
鞘師は全24曲中、なんと21曲にコーラス参加していたことがわかりました。コーラスはもちろん、ボーカルとしても多くの歌割をこなしていた鞘師は、楽曲を表と裏の両方から支えていたのだと実感させられます。
分析① One・Two・Three 〜 愛の軍団 (2012ー2013)
楽曲のEDM路線への転向、そしてフォーメーションダンスの導入を踏まえ、鞘師をセンターに据えた転換期の2012年と、高い歌唱力を持つメンバー、田中れいなと小田さくらの卒業と加入(初参加)があった2013年。この時期のシングル楽曲に共通しているのは、コーラスにCHINOさんが参加していることです。2012-13年の全8曲のうち、CHINOさんは「ワクテカTake a chance」のみを除く全7曲にコーラス参加しています。
CHINOさんは、モーニング娘。のみならず、数多くのハロプロ楽曲にコーラス参加しています。この時期のモーニング娘。楽曲では通常のハモりの音域に加えて、当時まだ中学2,3年生の鞘師にはカバーしきれない音域、主に裏声を要する高い音域の多重コーラスのほとんどをCHINOさんが担当していました。(ex.「Help me!!」"ピンチから掴み取る 栄光"、「君さえ居れば何も要らない」"まるで僕たちを祝福してる様に"etc.)
また、この時期の楽曲におけるサビや特徴的なフレーズはほとんどがCHINOさんのコーラスであり、 まさにこの時期のメインコーラスはCHINOさんであるといえます。 鞘師による高い裏声を使ったコーラスも数か所見つけることができましたが、 幼さを感じさせる高い地声を使ったコーラス(ex.「ブレインストーミング」"トリプル良いことがあった")の方が比較的に強い印象を残します。この事から、当時の鞘師はまだ声質や歌い方が変化途上であった時期であると考えられます。それでも鞘師がコーラスを一任されていたのは、後に小田さくらがインタビューで述べた様に、幼い頃からダンスで鍛えられた圧倒的なリズム感を持っていた為でしょうか。
メインボーカル的存在であった田中れいなの卒業後、鞘師は更にボーカルとして重要なパートを担当する機会が増え、歌唱力がどんどん向上していきました。それに伴い、コーラスとして担当するパートでも音域や種類がどんどん多様になっていきます。田中れいな卒業後の初シングルの1曲「愛の軍団」(“世間を知らず街を飛び出し ここで暮らす今“)では、ボーカルとしての歌割の音程の更に1オクターブ下の音程を、コーラスとしても同時に担当する音域の広さなど、高い技術も確認できます。
分析② 笑顔の君は太陽さ 〜 見返り美人 (2014)
モーニング娘。’14の楽曲は、歌とダンスの実力を兼ね備えた鞘師里保を絶対的エースかつセンターとしながら、絶対的リーダー道重さゆみの特徴的な声質を活かしたEDM路線とフォーメーションダンスを前面に押し出しています。そんなモーニング娘。’14楽曲のコーラスの特徴は前項と対照的に、CHINOさんが一切コーラス参加していないということです。
’14楽曲のコーラスを聴くと、これまでCHINOさんが担当してきた高い裏声を使ったコーラスの音域を鞘師がカバーできる様になっただけではなく、サビ等の多重なハモりを担当できる程、安定した力強い高い裏声を出せる様になったという歌唱力の成長を感じ取ることができます。(ex. 「What is LOVE?」”たった一人を納得させられないで“、「TIKI BUN」”都会は案の定一人ぼっち Lonely Night” etc.) コーラスとしての鞘師の実力の急成長は、前シングルの「わがまま気のまま愛のジョーク/愛の軍団」以降、ベストアルバムである「The Best!〜Updated モーニング娘。〜」の発売も関与しているかもしれません。シングルでの発売形態ではないため本記事では扱ってはいませんが、実際に既存曲のUpdatedによるEDMアレンジ曲のほぼ全てに鞘師がコーラス参加しています。
メインの音程の1オクターブ下という低音から、オクターブ上の高い音域の裏声までを自在に扱い、抜群のリズム感をもつ鞘師里保。エレクトリックな加工をしても、無加工の素のままでも、EDM路線に欠かせない特徴的な声質をもつ道重さゆみ。そして、アクセントやインパクトの強いフレーズに多く登場するつんく♂さん。この3人のコーラスがモーニング娘。’14のスピーディーかつ大迫力な楽曲を裏から支えています。
分析③ 青春小僧が泣いている 〜 One and Only (2015)
道重さゆみの卒業と12期メンバーの加入を迎えたモーニング娘。’15のシングル楽曲は、以前からのEDM路線とフォーメーションダンスという強みを残しながらも、’14楽曲の特徴の一つであるスピーディーな部分は際立っていません。 実際に 、’14のシングル楽曲(卒業曲除く)のBPMの平均値は約146、対して’15のシングル楽曲のBPMの平均値は約126と、その差は曲のテンポ(BPM)にも大きく現れています。(モーニング娘。楽曲のテンポ分析に関するガチ研記事はこちらから!)
さらに、この時期のコーラスに見られる特徴は、鞘師がメイン(単独)でコーラスを務めていることです。’14楽曲のコーラス鉄板トリオのうち、道重さゆみとつんく♂が離脱し、残った鞘師が’15最初のシングル楽曲では単独でメインコーラスを務めています。(ex. 「夕暮れは雨上がり」「イマココカラ」「Oh my wish!」)
モーニング娘。’15の時期は、コーラスを以前から継続して担当する鞘師に加え、曲ごとにコーラス参加者が様々に異なっているのも特徴的です。2012年以来、シングル楽曲のコーラス担当はあまり入れ替わりが激しいとは言えず固定のメンバーが布陣を固めていたため、この事からはモーニング娘。’15のシングル楽曲のバリエーションの多様さが伺えます。例えば「スカッと My heart」では10期メンバーの佐藤優樹がサビのハモりに参加していたり、「冷たい風と片思い」と「ENDLESS SKY」では、2013年のシングルぶりにCHINOさんがコーラス参加しています。
また、ALISAさんは「スカッと…」のサビ部分の"Paradise"や、全編英詞の「One and Only」といった、英語の歌詞でのコーラスを多く担当されています。加えて、当時EDM路線が主流だったモーニング娘。のシングルでは珍しい、シャ乱Qのたいせい氏が作曲した「今すぐ飛び込む勇気」においては、ALISAさんが単独でコーラスを務めました。本格的につんく♂さん以外の作家による楽曲提供が解禁となった本曲ですが、鞘師はコーラス参加していません。
まとめ
ここまで、鞘師里保エース期のシングル楽曲のコーラスの分析を行ってきました。今回の記事では、コーラスの変遷を簡潔にまとめると以下のようになると考えました。
- 2012〜13年 「CHINOさん × 鞘師」
- 2014年 「鞘師 × 道重 × つんく♂さん」
- 2015年 「鞘師 + α」
いつの時代のどの楽曲においても、鞘師は表では魂をこめて熱く歌い上げるメインボーカリストでありながらも、裏からもテクニカルに曲を支えるコーラスでもあったのだと改めて強く実感させられる調査結果となりました!!
チームメンバー:まりぽん、愛理
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